日盲社協では、会員の専門分野に応じて、五つの「部会」を設けて活動しています。

点字出版部会

平成29年度点字出版部会職員研修会報告

点字出版部会職員研修会の様子

11月30日(木)・12月1日(金)、国立オリンピック記念青少年総合センター(オリセン)で点字出版部会職員研修会が開かれ、初日77人、二日目67人が参加した。

講演の一番手は、自動点字製版機「ブレイルシャトル」の製造元である(株)小林鉄工所小林博紀(ひろのり)代表取締役で、同社の沿革からブレイルシャトルの開発経緯やWindows対応型へのバージョンアップ、互換性についての他、質疑応答では、修理依頼に関する突っ込んだ議論も行われた。

次いで、日本ライトハウス点字情報技術センター金子研一主任による(株)仲村点字器製作所製点字自動製版機「ZPメーカー保守・整備上の課題と対策及びWinBred10の開発と普及」で、これまで同氏が経験した同点字製版機のトラブルと対処法が語られた。仲村点字器製作所は事業縮小で修理依頼に対応してもらいにくくなっていたため、ZPメーカーを使っている施設はメモを取りながら真剣に受講していた。

初日の最後は京都ライトハウス情報製作センター渡辺昭一所長、日本ライトハウス点字情報技術センター福井哲也所長、東京点字出版所白井康晴の三氏による「日本点字表記法改定案の論点」と題する講演。日本点字委員会は2018年に、日本点字表記法を改定する計画を進めており、三氏はその改訂案を具体例を交えて解説した。

二日目は筆者による「PUMAの導入と課題及び印刷機の保守・整備」と題した話からで、小林・仲村製以外の選択肢としてドイツ製の自動製版機も考えられるが、点字印刷機とセットで使う必要があり高価で、なにより規格がEU仕様なので点字印刷物の入札に適合しない問題を指摘した。

独自に自動製版機の開発を試みている雑草の会の高安弘明氏は、「試作二号機まで作ったが、自分たちが開発中の製版機は未だ実用には至っていない。今は試作三号機に取り組んでいる」と苦心談を述べた。

金子研一主任による「点字自動製版機新開発の動向と展望」では、「名古屋にある点字銘板製作会社で独自で点字を刻印する機械を試作して実用化している」と述べ、「このままでは使えないが、今後製版機を更新する際の新たな選択肢になるかも知れない」と期待感を語った。

最後に日本点字図書館図書製作部長和田勉氏による「点字サインに関するJIS改正のポイント」と題して、「日本が提案した点字規格が国際規格になったので、国際規格との齟齬をなくすために点字JISが改正されることになったことを、JIS改正の経緯から説き起こし、点字寸法の仕様がやや緩和されたこと、点字の配置やマス数の構成などが厳しくなったことなどを解説した。

 

情報サービス部会

平成29年度点字指導員講習会

点字指導員講習会の様子

日盲社協情報サービス部会(担当:点字指導員研修委員会)は、8月28・29の両日、「平成29年度点字指導員講習会」を大阪市の山西福祉記念会館で行った。

今年は点字指導員有資格者の研修会を行い、内容を凝縮して、はじめて二日間の日程で行った。

日本点字表記法の改正が進む中での今年の研修では、点字表記に関する講義が多く行われた。

28日には「日本点字表記法改定について」、「医学用語の分かち書き−−日本点字委員会からの答申を中心に」と題して、二つの講義が行われた。

29日の午前中には、点訳には必須事項であり、多くの指導員が苦労している「校正者の養成について」、視覚障害者の情報入手の手段として広く利用されるようになったサピエに登録する点字登録文書の基準について改正のポイントが講義された。また、午後からは点訳者のバイブル的書籍として広く使われている点訳のてびきの改訂状況が講義され、熱心に受講する指導員の姿が印象的だった。

今年の研修には、全国から定員100名に対し140名余の申し込みを頂いた。会場の都合とは言え、複数の方が申し込んだ施設・グループを中心に、人員を減らさざるをえなくなったことは申し訳ない限りである。

今回から指導員有資格者の研修を2日にしたことで、的を絞った中身の濃い研修を行うことができた。この研修のためにご多忙の中講師を引き受けて下さったみなさまをはじめ、スタッフのみなさま、そして受講して下さった指導員のみなさまにこの紙面をお借りし、心からの感謝を申し上げ、報告としたい。

 

第8回情報機器等の支援者講習会

情報機器等の支援者講習会の様子

日盲社協情報サービス部会は、8月2日〜4日、日本ライトハウス情報文化センター(情文)で、標記講習会を25団体29名の参加で次のように実施した(敬称略)。

 

<第1日目>

講義1 「スクリーンリーダー(PCトーカーとNVDA)の比較インストール編」 日本ライトハウス情文 松本一寛
講義2 「スクリーンリーダーの比較使用編」 日本ライトハウス情文 松本一寛

 

<第2日目>

講義3 「最新機器の紹介」 日本点字図書館 清水重人
講義4 「ロービジョンについて」 日本ライトハウス情文 岡田弥
講義5 「iOSとAndroid」 品川博之
講義6 「iOSアプリいろいろ」 福島県点字図書館 野地美行

 

<第3日目>

講義7 「IT指導疑似体験」 日本ライトハウス情文 岡田弥
「情報交換会」

 

まとめ

今回は今までに要望が多く、視覚障害者にはハードルが高いと思われるスクリーンリーダー・NVDAとAndroidタブレットを講習の中に取り入れてみた。その内容に対して受講された人も何人かおり、それらに対する質問も多く、関心の高さがうかがえた。情報機器に精通した視覚障害者にはこれらのものは大きな力となるが、大半の視覚障害者にとっては、やはりハードルが高い。NVDAはフリーソフトのため、不具合があっても自己責任であることと、Androidタブレットについては、いろいろなメーカーと機種がありすぎて、それらの「ジェスチャー」が若干異なっているので、何をお勧めしていいのかが応えられないのが現状である。これらのことを比較することにより、受講生に対して、十分に お勧めできないことが伝えられたと思う。

 

今後の課題

毎回、会場をお借りする施設には、機器のレンタル期間でのセットアップとなるため、多大な負担をかけてしまうのが現状である。今回は1 名のスタッフを前日に派遣することにより、ある程度その負担を軽減できたものと思われる。引き続き、このような方法でできればと思う。

また、最新機器の紹介、これから発売される機器の紹介となると、どうしても開発業者、あるいは発売元の業者の招聘が不可欠となってくる。業者にしてみれば宣伝も兼ねているものの、東京から大阪となると、その負担もかなりのものである。できれば、交通費など費用弁償があると依頼がしやすい。

 

平成29年度音訳指導員講習会(指導員認定講習会)

音訳指導員講習会の様子

11月15日(水)から17日(金)まで、玉水記念会館(大阪市西区江戸堀一丁目10-31)において「平成29年度(第36回)音訳指導員講習会」(第14回指導員認定講習会)を行った。

認定選考においては、はじめて最終日に認定試験を実施した。全国から106名の申込みの内、課題審査に合格した49施設94名の参加での開催となった。

講義内容と講師(敬称略)は以下の通り。

@「視覚障害者福祉概論」講師:東泰江(ひがしやすえ)

音声による情報を提供する側と利用する側の両方の立場から、情報提供者としての活動に不可欠である視覚障害等級や障害のとらえ方等を講義した。

A「ボランティア養成概論」講師:小林妙子(こばやしたえこ)

全視情協カリキュラムアンケート結果も踏まえながら、音訳者養成におけるカリキュラムの内容を説明、伝わる「録音図書」に必要なことはなにかを指導。

B「音声表現技術T 声を知る、聴覚を知る」〜本物の自分の声を見つけるために〜 講師:山附L子(やまざきひろこ)

発声のメカニズムから声と聴覚の関係、オーセンティック・ボイスについて、及び自分の声を知るための、実践方法を伝えた。

第2日目@「音声表現技術U 初心者への指導法」講師:恵美三紀子(えみみきこ)

書いてあるとおりに読むという音訳の基本事項から、内容が伝わる読みの実践まで、指導法を中心に理解しやすく講義した。

A「音声表現技術V 活動中の方への指導法」講師:安田知博(やすだともひろ)

音訳指導者としての心得や読みの問題点に関する具体的な説明。また、指導法の留意点と具体的な方法について公開レッスンとグループワークを体験させた。

B「処理技術T」講師:熊谷成子(くまがいしげこ)

事前アンケート回答を確認しながら、記号・符号について、具体的な事例を交えて処理についての指導法をわかりやすく講義した。

C「処理技術U」講師:堀江達朗

図表を処理するうえで基本となる考え方や方針について、事前アンケートの質問・疑問に回答する形でわかりやすく説明した。

第3日目@「調査技術」講師:苗村昌世(なむらまさよ)

府立図書館での豊富な経験による実際の調査方法を、府立図書館のサイト、参考資料の一覧などの具体例をあげ効率的に行うためのポイントを示した。

A「校正技術」講師:上野目玲子(かみのめれいこ)

録音資料製作における校正の問題点を校正表の事例を提示し、具体的対策について講義した。

事後アンケートでは、概念から具体的な指導法まで体系的に学べた。音声ジャーナリストによる自分の声について、現職司書による具体的な調査指導、実際の校正表による指導など専門的な講義・演習は持ち帰りすぐに実践できるとの高評価だった。

講義後の認定試験問題は講習会・マニュアル等から出題。各種「音訳マニュアル」を読み込まれたことで、音訳技術を深く理解でき、指導の自信につながるとの意見もあった。資料のまとめ方、講習会のマイク音量、スクリーンについての会場設備、認定試験での電子機器の利用可否についてなどの意見もあり次回の課題としたい。

全国で「障害のある人のコミュニケーション支援条例」が広がってきている。視覚障害者の情報を支えることのできる高い音訳スキルと柔軟な考えを持つ音訳指導員の養成が音訳の裾野を広げるため一層重要と思われる。当講習会は、このような現状を見据えながら、充実した指導員養成講習会となるように今後も努力していきたい。

最後になりましたが、講師のみなさま、施設・ボランティア団体等、講習会委員、そして何より参加された皆さまのご協力があり無事終えることができました。

感謝申し上げます。今後も、音訳指導員講習会へのご支援よろしくお願いいたします。

音訳指導員講習会の様子

 

自立支援施設部会

平成29年度自立支援施設部会職員研修会

自立支援施設部会職員研修会報告の様子

本年度自立支援施設部会職員研修会は、スマートサイトの全国的な拡がりを背景に、あらためて「医療と福祉の連携」をテーマに、利用者へのスムーズな医療と福祉のサービス提供体制のあり方について問題点・課題を整理し深めていく事を目的に、神戸臨床研究情報センターにおいて、平成30年2月22日(木)と23日(金)の二日間、17施設33名の参加で開催しました。

1日目は、部会長からの部会報告の後、神戸アイセンター内に昨秋より開設されたビジョンパークの見学を行いました。参加者のお目当てでもあったこの見学に際しては、運営団体である公益財団法人ネクストビジョン別府(べふ)あかね氏より、ビジョンパーク設立趣旨や経緯、内容についてていねいなお話を伺い、その後じっくりと見学 する事ができました。ロービジョン支援の新しいコンセプトとアイデア満載の構造や意匠に大変感銘を受けました。1日目の最後は、事例・取組発表として、日本ライトハウス情報文化センターサービス部長岡田弥(おかだあまね)氏より、「大阪あいねっと」の活動を中心に、医療との連携についての示唆に富んだ実践報告をいただきました。

2日目は、「医療と福祉の連携」についての講演をいただきました。講演予定だったネクストビジョン常務理事の仲泊聡(なかどまりさとし)先生のご都合により急遽、高橋政代(たかはしまさよ)先生が代役として講演していただくというめったにないサプライズでした。スマートサイトの現状やロービジョン支援における医療サイドからの問題意識などを判りやすくご講演いただきました。また、福祉サイドへの期待として、@重度障害者への支援、Aスマートサイトへの積極的なアプローチ、B制度・福祉サービスについての助言、各種訓練の充実、生き甲斐の提供(職業・娯楽・居場所等)を挙げられました。最後の全体会では、医療サイドからの期待を肝に銘じ、まずは自地域でのスマートサイトやロービジョンネットワークへの積極的な参画、福祉サイドとして現状でできることをこれからも議論していく事を確認し、大変有意義な2日間の研修が終わりました。

まことにありがとうございました。

自立支援施設部会職員研修会報告の様子

 

生活施設部会

平成29年度生活施設部会施設長並びに職員研修会

生活施設部会施設等並びに職員研修会の様子

平成29年度の生活施設部会の施設長及び職員研修会は、京都ライトハウス高齢者総合福祉センターライトハウス朱雀(すざく)が当番施設となり平成30年2月2日(金)から3日(土)にかけて開催されました。

2月2日には、開会式で京都ライトハウスの瀧本章(たきもとあきら)理事長からご挨拶をいただき、講演1では京都視覚障害者支援センターの田尻彰(たじりあきら)常務理事から「障害者支援施設洛西寮(らくさいりょう)の現状と課題」というお話をいただき、講演2では京都ライトハウス情報製作センターの渡辺昭一(わたなべしょういち)所長から「情報製作センターの現状と課題」というお話をいただきました。

田尻講師のお話は主として盲人の就労に関することであり、また、渡辺講師のお話は主として点字出版所の経営に関することであり、いずれも大変参考になりました。

一日目の会場は、京都市北区紫野所在の京都ライトハウス本部でしたが大変立派な施設でした。

夜の交流会は、京都市上京区東堀川通下長者町所在のホテルルビノ京都堀川という所でしたが、当番施設の皆さまの温かいおもてなしと大変豪華なご馳走とで思い出に残るひと時を過ごすことができました。

2月3日には、京都市中京区西ノ京新建町所在の高齢者総合福祉センターライトハウス朱雀での伊藤康子(いとうやすこ)施設長からのお話と施設見学でした。

高齢者総合福祉センターライトハウス朱雀は平成28年6月にオープンした5階建ての建物で盲養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスセンター、ケアプランセンターの5部門から構成されている近代的な施設です。

1階から5階まで色々な工夫がされており、関係者が総力をあげて建設した建物であるということがよく伝わってきます。先進施設を見学させていただきありがたく感謝申しあげます。

なお、今回研修会には15施設より24名の方にご参加いただきました。

終わりに、平成29年度の生活施設部会施設長及び職員研修会の当番施設をお引き受けいただいた京都ライトハウスの皆さまに、改めて感謝と御礼を申しあげます。

 

盲人用具部会

国際福祉機器展の盲人用具部会

国際福祉機器展の盲人用具部会の様子

9月27日から三日間、昨年に引き続き国際福祉機器展に日盲社協盲人用具部会として出展しました。

国際福祉機器展は、毎年9月または10月に、東京のビッグサイトで開催される展示会で、介護関連の機器を中心に福祉に関連する物が多数出展されます。来場者は10万人を超えますが、視覚障害に携わる人たちや当事者はあまり来場されません。現在は介護関連がかなり多く出展されています。

盲人用具部会の重要な活動の一つに、健常者にも視覚障害者用の関連機器を知ってもらい、理解の輪を広げていくというものがあります。国際福祉機器展は一般の来場者が多く、視覚障害関連機器を知ってもらうにはよい場所と考え参加しました。

会場では点字や白杖といった生活にはとても重要な物を体験してもらえるように配置しました。

その他生活を便利にする様々な機器として、携帯型の拡大読書器、紙幣/電子マネーの残高確認の機器、デイジープレイヤーなども実際に体験できるようにしました。また、「知っていますか? 目が見えない、見えにくい人の便利な用具」というガイドブックを作成し、会場で多くの来場者に配布しました。

この中で特に力を入れたのが「点字サイン」についてでした。最近多くの所に点字表記が行われるようになりました。これはとてもすばらしいことですが、中には読むことができない点字も存在しています。このような問題を日本点字図書館の図書製作部長の和田勉氏に取り上げてもらいました。

来場者からは初めて触る機器への驚きや、実際に白杖を使って点字ブロックの上を歩いてもらい、視覚障害者の歩行がどのように大変か少しだけわかったという声をいただきました。

国際福祉機器展の盲人用具部会の様子

このような取り組みは1企業で行うことは難しく、日盲社協盲人用具部会だからこそできた活動と、部会の参加者も共通認識を持つことができました。

視覚障害者は情報障害者と言われています。この「情報障害」を少しでもなくすためには、一般の人への認知がより必要と私は改めて感じました。

 




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