理事長 高橋秀治

著者近影

私は茂木幹央先生の後任として7月から本職に就きましたが、これはエライものを引き受けたと悔やんでいます。もう後の祭りです。時間をかけて日盲社協の全体像をつかみながら、前進したいと思います。攻めて耐え、石橋を叩いて渡ります。皆様のご指導・ご協力をお願い申し上げます。

ここ10年間は、本間昭雄先生のバランスの取れた寛容な組織運営、それに茂木先生の会館建設に示された果敢な運営と、お二人の個性がにじんだ期間でした。私はお二人に点字出版部会役員として、また一施設職員としていろいろ教えていただきました。しかしその中で、一番気を遣ったのは部会のまとまりです。日盲社協全体には関心が及びませんでした。従って、これから全体をみなさいと言われても、思うように的が絞れません。この迷いをよそに、仕事はどんどん続いていますから、のんびりできません。

さて、以前から気にしていたのですが、視覚障害関係の各種大会に行きますと、参加者の中で視覚障害当事者の姿が数えるほどしかいません。見える人が圧倒的に多いのです。パソコン関係の大会でもそうですが、スクリーンに映像を写して説明する例が多くなっています。早口の説明と早い画面展開では、視覚障害者はついて行けるでしょうか。

それと視覚障害者団体の組織率が低くなっています。不確かですが、どこでも20%前後という推測を聞きました。視覚障害者団体に入らないほかの視覚障害者は「わが道」を歩んでいるのでしょうか。これには奥深い議論が必要ですが、今後の活動を考えると、深刻にとらえざるを得ません。

基本的に日盲社協は視覚障害者の仕事という点では共通していますが、実際の仕事内容が違う施設の集まりです。同じ視覚障害者の仕事をしていても関わり方が違います。それを承知で、手を組んで共通課題について活動するためには、お互いに関心を持ち合い、相手と知りあうことが第一歩です。では、誰がそのきっかけを作りますか。

私は事務局の充実を優先したいと思っています。幸い、岩上義則事務局長をはじめ、事務局スタッフは組織の充実に意欲をもっています。施設と施設をつなぎ、共通の問題点を示し、関係者の思いをまとめていき、そのエネルギーを燃やしたいのです。言うのは簡単ですが、実際はとても大変です。しかし、かつて茂木先生は「会館を大いに利用していただき、会員施設の拠点としてほしい」と話されましたが、これは事務局の活用は組織強化につながるという意味です。各部会の情報を事務局にたくさん寄せていただき、事務局はそれを全国の施設に伝えて、お互いの活動を確認していきたいものです。

例によってまとまりませんでしたが、どうぞよろしくお願いします。

(著者近影)

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