自立支援課長 長岡雄一

昨年の4月から、センターは、機能訓練と就労移行支援を提供する事業所として新たに出発したことは、以前お知らせしたとおりです。そこで、今回は、センターが新たに取り組んだ就労移行支援の現状について、お伝えすることにします。

就労移行支援の定員は10名。就労移行のみを行う場合には、この定員では十分ではありませんが、センターは多機能事業所として機能訓練も実施しているため、この数で認められている訳です。現在、登録されている利用者は15名。毎日、ほぼ定員を満たした状況で運営されています。

対象とする利用者は、まず、パソコンを利用した事務処理を可能とし、一般企業に事務職として就職することを希望されている方。また、三療の資格を有し、主として、ヘルスキーパーとして、企業で就労することを希望されている方。さらには、現在就労中だが、今後就労を継続していくために、パソコンのスキルアップを必要としている方等様々ですが、どの利用希望者の方に対しても、主に、パソコンのスキルを上げていくことを目的とした訓練を実施します。ここで言うスキルとは、就労の場で利用できるものでなければ意味がありません。

さらに、コミュニケーションを上手にとるための手段や、ビジネスマナー等についても、訓練を行っています。これは一昨年、事業を開始する前に、センター修了生で、現在、一般企業で事務職やヘルスキーパーとして働いている方に対して実施したアンケートで、就労にあたっては、他者とのコミュニケーションや会社でのマナーが重要であることが浮き彫りにされたことによります。

また、20年以上にわたって生活訓練を実施してきたノウハウを生かし、就労移行支援事業の中でも、歩行や点字、化粧などの日常生活訓練を実施し、総合的に就労を支援する体制を整えています。

1年目の昨年は、利用者もなかなか集まらずに苦労しましたが、今年は、前述しましたように、定員以上の方が登録されるようになりました。人が多いということは、集団の力も働くのか、訓練そのものも、非常に活性化してきました。また、集団の中でお互いが伸びていこうとする意欲も芽生えた様子で、両者が相まって、事業も良い方向へと進み始めました。

秋は、就職活動が活発化する時期ですが、今年は、すでに5人の方が就職を決められました。もちろん、就職はセンターだけの力で成し遂げられるものではなく、ハローワークや地域の就労支援センター、そして民間の人材登録会社をフル活用しています。そうした機関との日頃の関係作りは必須であることを、頭では理解していても、今年のように実感として理解できることは、我々としては初めての経験であり、また喜びです。

しかし、実際には、ここで浮かれてはいられません。障害者の就職事情は、決して好転している訳ではなく、この状況下で、少しでも多くの利用者の就労が実現するためには、まだ、足りないものがあるのではと、感じ始めています。それが、何であるかを早く見つけ出していくことが、喫緊の課題です。

写真 (写真:パソコンの訓練)

日盲社協通信63号目次ページへ戻る