日本点字図書館 甲賀佳子

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昨年12月1日・2日の両日、京都市のザ・パレスサイドホテルを会場に、20施設・45名の参加を得て、平成23年度日盲社協点字出版部会職員研修会が開催された。その内容について、ご報告させていただきたい。

1日目前半は、「点字出版の技術の継承について」というテーマをもうけた。校正表のデータ化による技術の共有、触図の技術を生かしての出版の道、エイペットを使っての印刷など、様々な事例が披露された。その中で、触読校正者のピンディスプレイを活用した校正の可能性について、自動製版機や印刷機などのメンテナンスの問題等、質問は途切れることがなかった。いずれにしても、点字出版という仕事を、若い世代の人たちに魅力ある仕事として理解してもらえるような取り組みが必要であるとの提言があった。

続いて1日目後半は、京都府立盲学校の岸博実先生から「この本が読めたらとその匂い嗅ぎおり」と題して、京都ライトハウスの創設者鳥居篤治郎先生についてお話を伺った。鳥居先生の略年譜を簡単にたどった後、貴重な資料をフロアに回覧してくださりながら、1時間半の持ち時間を存分に使って、点字や盲教育に対するあふれんばかりの愛情を持ってご講演いただいた。

『点字世界』や『あけぼの』などの点字雑誌に残された歩みをたどる時、そこには「盲目宣言」にあるように、後輩たちのために1冊でも多くの本を作りたいという先人たちの思いが読み取れる。「盲人に対する最善なるものの唯一の審判者は、盲人でなければならない」という鳥居の言葉は、現在のわれわれにも必須の信念である。

2日目は、日本ライトハウス情報文化センターの久保田文氏による「テキストデイジーとは」というお話だった。専門的な内容をかみ砕いて分かりやすく解説した上で、進化したテキストデータの可能性についてご紹介いただいた。

今回、京都の地で、京都ライトハウスの創立についてのお話を伺ったことは、私にとって何よりの喜びであった。旅の思い出にと、岸先生が教えてくださった日赤の敷地内にある京都盲唖院跡地を訪ね、その記念碑につづられた文字に指先で触れてみた。私たちは歴史に学びつつ、新しい文化の創造を目指していかなければならないのだと決意を新たにした。


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