理事長 煖エ秀治

著者近影

皆様お変わりなくご活躍のことと拝察します。おかげ様で本部事務局も、抱えきれないほどの課題を抱えながら、一つ一つ大事に対応するよう頑張っております。

今年は珍しく大きな施設が歴史的な節目を迎えました。まず5月には、世界で唯一 点字週刊新聞を発行している『点字毎日』が創設90周年を迎えました。そして、同じ大阪市内の日本ライトハウスが11月に、や はり創立90周年に到達しました。二施設とも情報提供に大きな実績を誇っているのが特徴です。

『点字毎日』誕生は次のようです。大阪毎日新聞社5代目社長の本山彦一氏(1853〜1932年)が、「日本盲界の父」と言われる好本督氏(1878〜1973年)の提言を受けて、毎日新聞社の中に点字週刊新聞発行を決断し、当時の大阪毎日新聞社(現・毎日新聞大阪本社)の新社屋(大阪市北区堂島、現在の堂島アバンザ)落成記念事業の一環として、1922年(大正11年)5月11日に『点字毎日』を創刊したといわれています。

日本ライトハウスが創設されたのは、点字図書館を始めた1933年(昭和8年)だと漠然と思っていましたが、ライトハウスの 資料を見たところ、1922年(大正11年)で あることがわかりました。

創業者岩橋武夫先生が折からのエスペラントブームを受けて『点字日エス辞典』刊行のため、自宅に「点字文明協会」を設けて製作発行を手がけたことをもって創業としたと記録されています。

一つの事業が始まる時は、それぞれに奥深いドラマがあったようです。

ところで、こうした大きな節目に立ち会うことができる職員はどんな気持ちでしょうか。10年、20年よりは50年の方が重いし、 80年、90年よりは100年の方がずっと光ります。それは、たまたまそのような節目に 立ち会った職員の巡り合わせでしかありま せんが、それぞれにその時々の感慨がある 筈です。今年90年を祝った人が、果たして 100年目も立ち会えるかは誰もわからないわけですから。

さて、実は日盲社協も来年創設60周年を迎えます。10年前の50周年は東京の市ヶ谷で天皇・皇后両陛下をお迎えして祝いました。今回はその再現は望めませんが、祝う意味は十分ありそうです。

現在、理事会の下に実行委員会(長岡雄一委員長)を設け具体的な検討に入っています。障害者の権利条約批准が検討される中で、福祉制度が大きく揺らいでいます。障害者施設の現状を確認し、未来をどう切り開いて行くか、そのあたりを皆様にじっくり意見交換をお願いして、これからの活動につないでいきたいものです。

 

日盲社協通信65号目次ページへ戻る