社会福祉法人日本ライトハウス点字情報技術センター 高橋 昭衣

平成24年度 点字出版部会職員研修会の様子

2月7・8日に大阪の日本ライトハウス情報文化センターを会場として計22施設50名の参加のもと平成24年度点字出版部会職員研修会が開催され、バラエティに富んだ4つのテーマで研修が行われた。

1日目は3つテーマが用意され、最初に京都ライトハウス鳥居寮の久保弘司氏から「中途視覚障害者への点字指導と点字出版」と題して講演があった。文字をイメージ化する、語彙力を養いつつ推測読みをする等の触読訓練に関する話や、訓練初期に点間の大きいL点字を使用することで点字が出来ない方を減らすという話は興味深かった。また利用者の方に読みたい本が無いこと、中途視覚障害者にとって長文を読むことは困難なので、短編で少しずつ読める点字本があるとよいとの言葉は、今後の点字製作のヒントになるかもしれない。地域で点字の触読指導が受けられる環境を作るため触読指導ボランティアを育てる研修を施設で催すことが望ましいとの話もあった。

次に厚生労働省社会・援護局障害福祉課関口彰課長補佐から「障害者優先調達推進法について」と題しての講演があり、福祉施設等における仕事の確保に向けた取組の推進を目的として成立された優先調達推進法について詳しく解説いただいた。「優先調達推進法に点字印刷物は想定しうるか」との質問に、現在含まれていないが全国課長会議で提案するとの言葉をいただき、後日、全国課長会議資料に点字印刷物についての一文が掲載された。

最後に、東京点字出版所の肥後正幸氏の進行で「点字図書給付事業の現状と課題」について話し合った。問題のあった手続きについて多数報告があり、部会施設間で事例を共有することの大切さを認識した。また、点字出版施設側も点字図書給付事業制度を利用者に使ってもらえるよう努力する必要があるのではとの意見もあった。平成25年に埼玉県民共済生活協同組合から助成を受け、全国の市区町村に点字図書給付事業の運用状況と申請方法についてのアンケート調査を行い、全国の申請方法の統一と手続きの簡素化を目指す。

2日目は、日本ライトハウス点字情報技術センターの金子研一氏より「点字出版におけるデータとコンピュータシステムのセキュリティを考える」と題して発表があった。データの喪失・流出の大半は人為的ミスによることが多いのには驚きであった。人為的ミスを認識した上でUSBメモリを持ち出さない、メール送信先の確認をするなどの注意点があげられた。

最後に部会事務局からの報告と確認、各施設からの情報提供を行ったのち閉会した。

 

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