常務理事 舛尾 政美

著者近影

私は4年前生活施設部会長を、2年前に常務理事を引き受けた。

常務理事を引き受けるとすぐ、常務理事が部会長を兼任するのは望ましくない、部会長は他の者に代わるようにと言われ、早速各ブロックの有力者にあたってみたが、生活施設部会長を引き受けようという人はいなかった。

このたびやっと理事長のお薦めにより、茂木幹央先生に引き受けてもいいと内諾をいただき、私はどうにか4年間続けた部会長を辞めることが出来た。

振り返ってみると色々な事が浮かんでくるが、私がまずしようと思ったことは部会の加盟施設の数を増やすことであった。

施設部会の多数は盲老人ホームである。盲老人ホームの問題を解決することから始めるのが一番だと考えた。盲老人ホームの一番の問題は入所要件の改善であろう。介護保険の導入によって養護盲老人ホームは措置が受けにくくなり、入所者の高齢化・重度化が進んで施設を維持することが大変困難になっている。私はこれを何とか改善しなければならないと思い、自民党の衛藤晟一参議院議員や河村建夫代議士、さらに安倍晋三代議士などと相談し、彼らの秘書や本人と一緒に厚労省に行き、陳情を何度か繰り返した。しかしこれはそう容易には解決出来ない事であった。厚労省は平成23年12月、実態調査から始めると言ってそれを実施し、その調査の結果いくらか解決出来た。市や町が極端な措置控えをやめて入所要件も幾らか緩和した。しかし利用者や同一世帯の家族が所得税を納めている場合入所は認めないし、資産が多い者は入所出来ない。

国は企業努力が大事だと言っている。私は生活施設部会の研修会などで企業努力について検討し実践を繰り返した。介護保険の導入で人手が多く掛かるようになった。人手を確保するために中国人学生のアルバイトも使ってみた。一般的には「介護の仕事はきつい」「汚い」「賃金が安い」と言われ嫌がられているが、中国人は嫌がらないでしっかり頑張っている。卒業後も日本で介護の仕事をしたいという者が増えている。常勤を少なくしてパートを大幅に増やした結果、経費が増大した。経費削減のためにLEDを取り入れてみた。一般的に明るさは倍、経費は半分と言われている。太陽光発電も導入し、ソーラーシステムも取り入れた。水道料金の削減には井戸を何本か掘ってみた。

しかしながら、こうした企業努力にも限界がある。やはり政治力を使って制度を根本から変えることが必要であろう。いずれにしても私の部会長としての任期はすでに終わった。今思えば悔いの多い4年間であった。しかし、自分にとっては学ぶことの多い4年間であったと思う。この経験をいかに生かすことが出来るかを考えつつ、今は4年間にお寄せいただいた皆さんのご支援に心から感謝申し上げる次第である。

 

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