実行委員会委員長 長岡 雄一

ホテルグランドヒル市ヶ谷

ホテルグランドヒル市ヶ谷

厳しかった冬もやっと峠を過ぎ、そろそろ桜の便りが聞かれる時期となりました。そして、それは新しい年度への序章ともなります。

そして迎える新年度は、日盲社協にとっては記念すべき年度となります。平成25年9月9日(月)、10日(火)の2日間、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷において日本盲人社会福祉施設協議会の60周年記念大会が開催されます。

「60」という数字は一人一人の人間にとっても意味のある数字です。すなわち「還暦」です。ここで、還暦について深く掘り下げることはしませんが、人間と同じく、組織としても一回りしたということになります。いくら元気とは言え、人間では、還暦を迎えると、先行きのことを考えざるを得なくなりますが、組織としては、まだ、たった一回りの組織として、改めて、組織のあり方や今後について思いを巡らせる必要が出てきます。

そこで今回の記念大会は、「あり方」と「今後」をキーワードに据えて実施することとしました。過去を見て、今を見て、そして将来を見る。これらを2日間の大会の中でどう表現し、実行していくか。実行委員会が組織されて以来何回にもわたって議論を重ねた結果が、関宏之氏の記念講演に始まり、事前にいただく予定にしている皆さまからのアンケートを基にした、全体会における議論をもってまとめとする。という大会の流れとなりました。

私の個人的な感慨を述べることを許していただければ、関氏は、私が日本ライトハウスで歩行訓練士の研修を受けていた時、ライトハウスの所長をされていました。私の現在の出発点がそこにあるとすれば、関氏の講演でスタートするこの大会は、私自身のスタートとも重なります。

そして大会を締める全体会は、これからの日盲社協を浮き彫りにできたらと考えています。確かに、日盲社協を取り巻く状況を語ることも大切なことです。外から日盲社協がどう見えているのかを知ることも同様に大切なことです。しかし今回は、会員施設が日盲社協そのものと、もう一度向き合うことを優先させました。

実は、大会の前に日盲社協に関するアンケートを皆さまにお願いすることには、多少躊躇がありました。そこからもたらされる結果が怖いということもあるでしょう。予想もつかないような結果が出ることもあるでしょう。しかし、二回り目を始める組織として、今だからこそ、今でなくてはできない試みと考えています。忌憚のないご意見をいただきたいと考えています。

会員の皆さまの中には、50周年の記念大会を経験されている方も少なくないと思います。そうした方々にとっては、今回の大会は少し地味ではないかとのお気持ちもあるかもしれません。「50周年のときは、3日間の日程だった」「お呼びする方も多彩だった」等々。私自身そう思う一人です。確かに、こうした大会や式典は、多少派手気味の方が印象は強く、そして感動も増すかもしれません。

ただ、始まる前から言い訳を言っているような気がしないではありませんが、今回は、前述したような背景もあり、地味ではありますが、今までとは違った意味で、中身が充実した2日間にしたいとの思いが先行しました。実は、私の勤務する東京都視覚障害者生活支援センターは今年度ちょうど30周年を迎えます。日盲社協の半分の時を過ごしてきたわけです。そしてセンターも、未来に向かって、今曲がり角を迎えているところなのです。

センターは、日盲社協が経営する唯一の障害福祉サービス事業所として、日盲社協の動きと無縁ではいられません。極端な言い方をすれば、今後、センターは日盲社協の動きと連動していくとさえ言えるかもしれませんし、場合によってはその逆もあるかもしれません。そのような背景からも、日盲社協の今後に、今まで以上に真摯に向き合わなくてはならなくなっています。この時期に記念大会が開催されることを、幸運なことと捉え、そのためにも、皆さまに納得していただける大会になるよう、準備にいそしみたいと思います。

さて、大会まであと半年を切りました。会場となるのは、50周年記念大会も行ったグランドヒル市ヶ谷。日盲社協の研修会などで何度か利用しており、私にとっては親しみを感じることができる会場です。JR市ヶ谷駅から、さほど遠くはなく、都心の一角にある割には、落ち着いた、緑に恵まれた場所にあります。ホテルの前を走る靖国通りは、毎年2月に開催される東京マラソンのコースで、少し足を延ばせば、皇居の外堀や迎賓館など、東京の観光名所もあります。

私が勤務するセンターや日盲社協の会員施設である日本盲人職能開発センターも歩いてわずかの距離ですし、靖国通りを走る都営バスを利用すると、日本点字図書館や東京ヘレン・ケラー協会、東京都盲人福祉協会、そして日本盲人会連合には乗り換えなしでも行けます。今まで縁のなかった方も、この機会に見学などをされるのもいいかもしれません。

東京では、9月という月は、まだ夏と同義語です。暑い中、お越しいただくことは心苦しいのですが、是非とも大会にご参加いただき、「市ヶ谷から始めよう」を合言葉に、これからの日盲社協を語り合っていただけたらと思います。

皆さまのご参加を心からお待ちしております。

「市ヶ谷から始めよう!」を合言葉に。

ホテルグランドヒル市ヶ谷

実行委員会にて

 

日盲社協通信66号目次ページへ戻る