第1章 視覚障害者のIT利用の現状

第2章 視覚障害者の就労現場でのIT活用

第3章 在宅雇用への道筋

第4章 視覚障害者雇用に向けての助言

第5章 調査の評価と分析

まとめ

第5章 調査の評価と分析

 この章では、今回のアンケート調査の結果とその分析を報告する。

5-1 働く視覚障害者向けアンケート結果

企業または施設で働いている視覚障害者に対してアンケート調査を行った。

企業で働いている視覚障害者に対してはメーリングリストでアンケートへの協力を呼びかけ、30件の回答を得た。

施設で働いている視覚障害者に対しては、日盲社協加盟のうち163施設にフロッピーディスクにアンケート内容のテキストファイルを収めた形で送付し、55件の有効回答を得た。

以下、企業勤務者と施設勤務者に分けてその結果を記載し、最後にその両方の回答をあわせた結果を記す。

1. 企業勤務者

A ご自身のプロフィールについてお尋ねします。

a. ご年齢をご記入ください。

  1. 10代:0
  2. 20代:2
  3. 30代:12
  4. 40代:10
  5. 50代:6
  6. 60代:0
  7. 70以上:0

b. 性別をご記入ください。

  1. 男性:24
  2. 女性:6

c. 視力をご記入ください。

1.全盲:11

2.0.01以下:8

3.0.05以下:5

4.0.1以下:3

5.0.3以下:3

6.それ以上:0

d. 現在の職種をご記入ください。

1.プログラマー:6

2.経理:1

3.施設職員:3

4.営業:2

5.ヘルスキーパー:3

6.理学療法士:1

7.事務:10

8.技術職:2

9.公務員:3

10.サービス業:0

11.司書:0

e. 現在の企業への就業年数(復職の方は、復職後の年数)をご記入ください。

1年未満:2

1〜3年未満:4

3〜5年未満:3

5〜10年未満:7

10〜15年未満:4

15〜20年未満:2

20年以上:7

f. 視覚障害になる前の職種をご記入ください。

1.プログラマー:2

2.経理:2

3.施設職員:1

4.営業:3

5.三療マッサージ:0

6.理学療法士:1

7.技術職:2

8.事務:3

9.公務員:0

10.トラック運転手:0

11.農業:0

12.なし:6

g. 視力低下以前にIT機器を活用していましたか。

はい:14

いいえ:15

B リハビリテーション

a. 生活訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:3

視力低下中期:2

視力低下後期:2

完全失明後:4

受けていない-16

その他-3

●先天網、学齢前に受けた。

●先天網、盲学校で受けた。

b. 歩行訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:4

視力低下中期:3

視力低下後期:6

完全失明後:6

受けていない:9

その他:3

●盲学校の体育の時間

c. 生活訓練・歩行訓練に対する評価

たいへん満足:5

まあまあ満足:9

どちらともいえない:6

少し不満:2

まったく不満-1

d. 職業訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:1

視力低下中期:2

視力低下後期:2

完全失明後:3

受けていない:20

その他:1

e. 職業訓練の内容はどのようなものでしたか。具体的にご記入ください。

1.プログラミング:4

2.文書作成:2

3.表計算:2

4.データベース:1

5.インターネット:1

6.電話交換:2

7.簿記:1

8.三療:2

9.勤続加工:0

10.点字校正:0

f. IT機器の活用訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:1

視力低下中期:3

視力低下後期:4

完全失明後:6

受けていない:13

その他:2

●友人から教わった。

g. IT機器活用訓練の内容はどのようなものでしたか。具体的にご記入ください。

1.プログラミング:4

2.文書作成:11

3.表計算:5

4.インターネット:8

5.Windows:2

6.UNIX:1

C 就職の経緯

a. 障害を受ける前に就労されていましたか。

1.就労していた:11

2.就労していない:16

b. 障害時期と現在の就職先との関係についてお尋ねします。

障害前からの継続:7

障害後に就職して継続:14

障害後に就職して転職:6

c. 現在の就職先へは、どのようにして就労しましたか。

1.職安:6

2.求人誌:1

3.合同面接:4

4.リハセン紹介:4

5.知り合い紹介:4

6.学校紹介:9

7.その他:4

●仲間で会社設立。

●継続雇用

●募集していたので応募した。

d. 就職活動において、IT技術の習得状況についての、アピールは、いかにおこないましたか。障害後の就職についてのみ、ご回答ください。

(複数回答可)

1.面接口頭:12

2.履歴書自己作成:5

3.自作HP:0

4.目の前でパソコン操作:4

5.アピールなし:11

6.その他:4

●プログラム・リストを持参して見せた。

●会社設立の仲間が既に自分のITの力量を理解していた。

●大学での研究内容紹介によるアピール

e. 就職した際、周りの職員に対し、障害の理解に関する働きかけをおこないましたか。

時間内講義:2

時間内個別説明:8

プライベート説明:4

書面配布:1

行わなかった:15

f. 障害に対しての理解の状況についてお尋ねします。

理解あり対応適切:22

理解あるが対応は不適切:5

理解なく対応不適切:2

D 業務上のコミュニケーション方法

a. 他者からあなたに対して、日常の情報交換手段として最も多い方法は何ですか

1.口頭:22

2.手書きメモ:2

3.点字メモ:1

4.E-Mail:5

5.HP又は社内掲示板:3

6.フロッピー:0

7.その他:3

●文書

●社内lanを通してexcelデータを取得

●業務上の情報が回ってこない

b. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:28

いいえ:2

c. あなたから他者に対して、日常の情報交換手段として最も多い方法は何ですか

口頭:18

手書きメモ:3

点字メモ:1

E-Mail:9

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:0

その他:3

●文書

●ワープロ書き2

d. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい:4

大きくない:25

●どちらともいえない

e. 他者からあなたに対して、文書のやり取りで最も多い方法は何ですか

口頭:7

印刷文書:9

拡大文書:1

点字文書:1

E-Mail:10

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:4

その他:1

●困ったときには、メールかフロッピーを要求する。

●墨字文書でもらい、ocrでテキストに変換。

f. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:24

いいえ:6

g. あなたから他者に対して、文書のやり取りで最も多い方法は何ですか

口頭:3

印刷文書:12

拡大文書:1

点字文書:0

E-Mail:11

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:3

その他:0

h. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい:4

大きくない:25

●どちらともいえない

i. 他者からあなたに対して、会議資料の提示の手段として最も多い方法は何ですか

口頭:4

印刷文書:16

拡大文書:2

点字文書:1

E-Mail:6

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:1

その他:1

●会議には出席させてもらえない。

j. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:16

いいえ:14

k. あなたから他者に対して、会議資料の提示の手段として最も多い方法は何ですか

口頭:5

印刷文書:13

拡大文書:1

点字文書:1

E-Mail:7

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:1

その他:2

●プロジェクターで提示

●会議資料は提示されない(回ってこない)

l. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい:7

大きくない:22

F 業務内容とIT機器等(環境)との関係

a. 業務内容はどのようなものですか。

1.企画:4

2.受託調査:2

3.人事:1

4.経理:2

5.ソフト開発:5

6.HP作成:3

7.サーバー管理:1

8.ヘルスキーパー:2

9.電話交換:1

10.コールセンター:1

11.苦情対応:3

12.秘書:0

13.他事務:7

14.他業務:7

15パソコンインストラクター:1

16点字録音図書貸し出し製作:1

17理療指導員:3

18リハ指導員:0

19相談業務:0

20図書館司書:0

●市の広報などのテープ版とフロッピー版のコピーと発送、点字文書の作成と印刷、点字の手紙を活字にする、名簿の管理、他

●福祉機器の販売サポート

●申し込み書の受付やその他保全帳票の管理

●広報・IR業務

●窓口での相談業務

●理学療法士

●データー入力 分析 技術資料作成

●基準、マニュアルなどの整備

b. IT機器がなかった場合、どのような状況になっていたと思われますか。

就職できない:13

解雇:2

別職種配置:5

同じ職務:7

その他:3

●コミニケーションを取るのが困難だったと思われる

●自分から止めていたと思う。

●自主退職

c.あなたが業務上使用しているIT機器をご記入ください。

1.パソコン:28

2.点字ディスプレイ:8

3.点字プリンタ:3

4.墨字プリンタ:4

5.スキャナ:6

6.点字メモ機:2

7.DOS音声装置:2

8.UNIX端末:1

9.サーバー機:2

10.拡大読初機:2

11.録音機:2

12.点図ディスプレイ:1

13.オプタコン:0

d. あなたが業務上使用しているソフトウェアをご記入ください。

1.表計算:15

2.ワープロ:22

3.SR:26

4.コンパイラ:3

5.ブラウザ:13

6.メーラー:12

7.点訳ソフト:7

8.OCR:10

9.住所管理:1

10.データベース:7

11.LAN関連:4

12.UNIX関連:3

13.拡大ソフト:3

14.プレゼンソフト:1

15.ホームページ作成ソフト:1

16.地図ソフト:1

17.時刻表:1

e.あなたは、現在のIT環境の整備状況について、どのように、評価しますか。

たいへん満足:6

まあまあ満足:15

どちらともいえない:3

少し不満:3

まったく不満:2

f. IT環境の整備について、あなたの意見が反映されていますか。

反映:15

一部反映:5

どちらともいえない:8

あまりない:0

まったくない:2

非協力的:0

g. あなたがお使いのハードウエアはどなたのものですか

すべて会社:22

一部会社:4

すべて自分のもの:4

h. あなたがお使いのソフトウエアはどなたのものですか

すべて会社:19

一部会社:7

すべて自分のもの:3

最初のみ会社:0

i. 就職の際、ご自身のIT機器の操作技術と雇用主が求めている操作技術とのすりあわせを誰がおこないましたか。

ご自身:16

職業訓練担当者:0

生活訓練担当者:0

企業担当者:2

その他:7

●復職に際しては、職業訓練の指導員が同伴し、個人と会社で検討

●特に行っていない。

j. 現在、仕事で活用しているIT機器の操作は、職業訓練などで学ばれた操作技術のみで対応が可能ですか。

1.対応:3

2.社内研修:6

3.訓練師相談:2

4.業者相談:3

5.独学-8

6.知り合いに相談-3

7.その他-7

●パソボラの援助

●盲学校による援助

●自分で視覚障害者向け研修を探し参加。但し業務として認められている。

●社内の人に尋ねる。

k. 業務遂行の状況をご自身ではどのように評価されますか。

一般以上:1

同等:11

会社から評価:12

効率が上げられない:3

仕事が与えられない:1

その他:2

●同じ業務をしている健常者がいないため比較できない。

●特定の業務に固定されているようなので(職種としてはそうではないが・・・。)何とも言えないが、その分野では一定の評価がある。

G 今後の課題等

a. あなたにとってITの存在は、就労に不可欠なものだと思われますか。

強く思う:24

まあまあ思う:5

どちらともいえない:0

あまり思わない:0

まったく思わない:0

b. 将来、ITを使用しての、在宅就労の普及の可能性について、いかが思われますか。

普及する:13

どちらともいえない:9

普及は難しい:7

----------------------------------------

2. 施設勤務者

----------------------------------------
A ご自身のプロフィールについてお尋ねします。

a. ご年齢をご記入ください。

10代:0

20代:2

30代:17

40代:17

50代:17

60代:2

70以上:0

b. 性別をご記入ください。

男性:40

女性:15

c. 視力をご記入ください。

1.全盲:31

2.0.01以下:5

3.0.05以下:11

4.0.1以下:2

5.0.3以下:4

6.それ以上:2

d. 現在の職種をご記入ください。

1.プログラマー:1

2.経理:1

3.施設職員:26

4.営業:2

5.三療マッサージ:3

6.理学療法士:1

7.事務:8

8.技術職:3

9.公務員:7

10.サービス業:2

11.司書:5

e. 現在の企業への就業年数(復職の方は、復職後の年数)をご記入ください。

1年未満:5

1〜3年未満:5

3〜5年未満:3

5〜10年未満:8

10〜15年未満:9

15〜20年未満-6

20年以上-17

f. 視覚障害になる前の職種をご記入ください。

1.プログラマー:1

2.経理:1

3.施設職員:1

4.営業:1

5.三療マッサージ:0

6.理学療法士:1

7.技術職:1

8.事務:5

9.公務員:1

10.トラック運転手:1

11.農業:1

12.なし:20

g. 視力低下以前にIT機器を活用していましたか。

はい:10

いいえ:3

B リハビリテーション

a. 生活訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:2

視力低下中期:3

視力低下後期:2

完全失明後:9

受けていない:31

その他:6

●先天網、学齢前に受けた。

●先天網、盲学校で受けた。

●盲学校卒業後に職業訓練と同時に受けた。

b. 歩行訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:2

視力低下中期:4

視力低下後期:2

完全失明後:14

受けていない:26

その他:5

●盲学校で受けた。

●盲学校卒業後に職業訓練と同時に受けた。

c. 生活訓練・歩行訓練に対する評価

たいへん満足:11

まあまあ満足:9

どちらともいえない:8

少し不満:1

まったく不満:1

d. 職業訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:1

視力低下中期:3

視力低下後期:1

完全失明後:12

受けていない:29

その他:7

●盲学校卒業後に受けた。

●盲学校で按摩の訓練を受けた。

e. 職業訓練の内容はどのようなものでしたか。具体的にご記入ください。

1.プログラミング:3

2.文書作成:2

3.表計算:2

4.データベース:2

5.インターネット:0

6.電話交換:2

7.簿記:1

8.三療:10

9.勤続加工:1

10.点字校正:1

f. IT機器の活用訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:0

視力低下中期:1

視力低下後期:0

完全失明後:13

受けていない:31

その他:6

●友人から教わった。

●就職後に受けた。

g. IT機器活用訓練の内容はどのようなものでしたか。具体的にご記入ください。

1.プログラミング:0

2.文書作成:14

3.表計算:1

4.インターネット:3

5.Windows:0

6.UNIX:0

C 就職の経緯

a. 障害を受ける前に就労されていましたか。

1.就労していた:13

2.就労していない:29

b. 障害時期と現在の就職先との関係についてお尋ねします。

障害前からの継続:2

障害後に就職して継続:28

障害後に就職して転職:14

c. 現在の就職先へは、どのようにして就労しましたか。

1.職安:3

2.求人誌:0

3.合同面接:0

4.リハセン紹介:6

5.知り合い紹介:27

6.学校紹介:10

7.その他:5

●公務員試験に合格。

●仲間で会社設立。

●継続雇用

●募集していたので応募した。

●市役所内での配置転換(派遣)

●障害者雇用運動

d. 就職活動において、IT技術の習得状況についての、アピールは、いかにおこないましたか。障害後の就職についてのみ、ご回答ください。(複数回答可)

1.面接口頭:10

2.履歴書自己作成:5

3.自作HP:0

4.目の前でパソコン操作:4

5.アピールなし:21

6.その他:9

●プログラム・リストを持参して見せた。

●与えられた課題をアプリケーションソフトで作成。

●会社設立の仲間が既に自分のITの力量を理解していた。

●大学での研究内容紹介によるアピール

●就職当時はITなどなかった。

e. 就職した際、周りの職員に対し、障害の理解に関する働きかけをおこないましたか。

時間内講義:0

時間内個別説明:4

プライベート説明:3

書面配布:1

行わなかった:45

f. 障害に対しての理解の状況についてお尋ねします。

理解あり対応適切:35

理解あるが対応は不適切:12

理解なく対応不適切:1

D 業務上のコミュニケーション方法

a. 他者からあなたに対して、日常の情報交換手段として最も多い方法は何ですか

1.口頭:31

2.手書きメモ:5

3.点字メモ:5

4.E-Mail:18

5.HP又は社内掲示板:4

6.フロッピー:2

7.その他:1

●文書

●社内lanを通してexcelデータを取得

●業務上の情報が回ってこない

b. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:48

いいえ:5

c. あなたから他者に対して、日常の情報交換手段として最も多い方法は何ですか

口頭:35

手書きメモ:5

点字メモ:2

E-Mail:13

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:3

その他:3

●文書:0

●ワープロ書き:3

d. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい:4

大きくない:48

e. 他者からあなたに対して、文書のやり取りで最も多い方法は何ですか

口頭:16

印刷文書:13

拡大文書:4

点字文書:8

E-Mail:17

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:5

その他:1

●困ったときには、メールかフロッピーを要求する。

●墨字文書でもらい、ocrでテキストに変換。

f. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:39

いいえ:13

g. あなたから他者に対して、文書のやり取りで最も多い方法は何ですか

口頭:13

印刷文書:23

拡大文書:0

点字文書:2

E-Mail:18

HP又は社内掲示板:1

フロッピー:8

その他:0

h. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい-6

大きくない-46

i. 他者からあなたに対して、会議資料の提示の手段として最も多い方法は何ですか

口頭:4

印刷文書:24

拡大文書:3

点字文書:13

E-Mail:13

HP又は社内掲示板-1

フロッピー:4

その他:0

●会議には出席させてもらえない。

j. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:32

いいえ:19

k. あなたから他者に対して、会議資料の提示の手段として最も多い方法は何ですか

口頭:7

印刷文書:27

拡大文書:0

点字文書:7

E-Mail:8

HP又は社内掲示板:2

フロッピー:7

その他:1

●プロジェクターで提示

●会議資料は提示されない(回ってこない)

l. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい:7

大きくない:41

F 業務内容とIT機器等(環境)との関係

a. 業務内容はどのようなものですか。

1.企画:8

2.受託調査:0

3.人事:0

4.経理:0

5.ソフト開発:0

6.HP作成:1

7.サーバー管理:0

8.ヘルスキーパー(マッサージ):3

9.電話交換:1

10.コールセンター:0

11.苦情対応:2

12.秘書:0

13.他事務:6

14.他業務:1

15.パソコンインストラクター:2

16.点字録音図書貸し出し製作:16

17.理療指導員:5

18.リハ指導員:10

19.相談業務:9

20.図書館司書:5

●市の広報などのテープ版とフロッピー版のコピーと発送、点字文書の作成と印刷、点字の手紙を活字にする、名簿の管理、他

●メルマガの製作、社内誌の作成

●福祉機器の販売サポート

●申し込み書の受付やその他保全帳票の管理

●広報・IR業務

●窓口での相談業務

●理学療法士

●データー入力 分析 技術資料作成

●基準、マニュアルなどの整備

b. IT機器がなかった場合、どのような状況になっていたと思われますか。

就職できない:6

解雇:2

別職種配置:10

同じ職務:29

その他:2

●コミニケーションを取るのが困難だったと思われる

●自分から止めていたと思う。

●自主退職

●別の職種を考えた。

c. あなたが業務上使用しているIT機器をご記入ください。

1.パソコン:44

2.点字ディスプレイ:7

3.点字プリンタ:4

4.墨字プリンタ:3

5.スキャナ:6

6.点字メモ機:5

7.DOS音声装置:2

8.UNIX端末:0

9.サーバー機:0

10.拡大読初機:1

11.録音機:3

12.点図ディスプレイ:0

13.オプタコン:1

d. あなたが業務上使用しているソフトウェアをご記入ください。

1.表計算:21

2.ワープロ:32

3.SR:40

4.コンパイラ:3

5.ブラウザ:26

6.メーラー:16

7.点訳ソフト:14

8.OCR:8

9.住所管理:2

10.データベース:5

11.LAN関連:0

12.UNIX関連:0

13.拡大ソフト:1

14.プレゼンソフト:0

15.ホームページ作成ソフト:1

16.地図ソフト:0

17.時刻表:0

e. あなたは、現在のIT環境の整備状況について、どのように、評価しますか。

たいへん満足:9

まあまあ満足:21

どちらともいえない:12

少し不満:6

まったく不満:0

f. IT環境の整備について、あなたの意見が反映されていますか。

反映:15

一部反映:15

どちらともいえない:14

あまりない:2

まったくない:0

非協力的:1

g. あなたがお使いのハードウエアはどなたのものですか

すべて会社:30

一部会社:13

すべて自分のもの:1

h. あなたがお使いのソフトウエアはどなたのものですか

すべて会社:26

一部会社:14

すべて自分のもの:4

最初のみ会社:0

i. 就職の際、ご自身のIT機器の操作技術と雇用主が求めている操作技術とのすりあわせを誰がおこないましたか。

ご自身:13

職業訓練担当者:0

生活訓練担当者:0

企業担当者:9

その他:16

●復職に際しては、職業訓練の指導員が同伴し、個人と会社で検討

●特に行っていない。

●すり合わせは双方で行うものであり、どちらかを選ばせるのはナンセンスだと思う。私の職場では相互努力により、現在の環境が構築されている。

j. 現在、仕事で活用しているIT機器の操作は、職業訓練などで学ばれた操作技術のみで対応が可能ですか。

1.対応:2

2.社内研修:7

3.訓練師相談:2

4.業者相談:6

5.独学:23

6.知り合いに相談:0

7.その他:2

●パソボラの援助

●盲学校による援助

●自分で視覚障害者向け研修を探し参加。但し業務として認められている。

●社内の人に尋ねる。

k. 業務遂行の状況をご自身ではどのように評価されますか。

一般以上:0

同等:10

会社から評価:20

効率が上げられない:7

仕事が与えられない:0

その他:5

●同じ業務をしている健常者がいないため比較できない。

G 今後の課題等

a. あなたにとってITの存在は、就労に不可欠なものだと思われますか。

強く思う:33

まあまあ思う:11

どちらともいえない:1

あまり思わない:4

まったく思わない:0

b. 将来、ITを使用しての、在宅就労の普及の可能性について、いかが思われますか。

普及する:26

どちらともいえない:19

普及は難しい:5

----------------------------------------

3. 被雇用者全体

----------------------------------------

A ご自身のプロフィールについてお尋ねします。

a. ご年齢をご記入ください。

10代:0

20代:4

30代:29

40代:27

50代:23

60代:2

70以上:0

b. 性別をご記入ください。

男性:64

女性:21

c. 視力をご記入ください。

  1. 全盲:42
  2. 0.01以下:13
  3. 0.05以下:16
  4. 0.1以下:5
  5. 0.3以下:7
  6. それ以上:2

d. 現在の職種をご記入ください。

1.プログラマー:7

2.経理:1

3.施設職員:29

4.営業:2

5.三療マッサージ:6

6.理学療法士:1

7.事務:18

8.技術職:5

9.公務員:10

10.サービス業:2

11.司書:5

e. 現在の企業への就業年数(復職の方は、復職後の年数)をご記入ください。

1年未満:7

1〜3年未満:9

3〜5年未満:6

5〜10年未満:15

10〜15年未満:13

15〜20年未満:8

20年以上:24

f. 視覚障害になる前の職種をご記入ください。

1.プログラマー:3

2.経理:3

3.施設職員:1

4.営業:4

5.三療マッサージ:0

6.理学療法士:1

7.技術職:3

8.事務:8

9.公務員:1

10.トラック運転手:1

11.農業:1

12.なし:26

g. 視力低下以前にIT機器を活用していましたか。

はい:24

いいえ:45

B リハビリテーション

a. 生活訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:5

視力低下中期:5

視力低下後期:4

完全失明後:13

受けていない:47

その他:9

●先天網、学齢前に受けた。

●先天網、盲学校で受けた。

●盲学校卒業後に職業訓練と同時に受けた。

b. 歩行訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:6

視力低下中期:7

視力低下後期:8

完全失明後:20

受けていない:35

その他:8

●盲学校で受けた。

●盲学校卒業後に職業訓練と同時に受けた。

c. 生活訓練・歩行訓練に対する評価

たいへん満足:16

まあまあ満足:18

どちらともいえない:14

少し不満:3

まったく不満:2

d. 職業訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:2

視力低下中期:5

視力低下後期:3

完全失明後:15

受けていない:49

その他:8

●盲学校卒業後に受けた。

●盲学校で按摩の訓練を受けた。

e. 職業訓練の内容はどのようなものでしたか。具体的にご記入ください。

1.プログラミング:7

2.文書作成:4

3.表計算:4

4.データベース:2

5.インターネット:1

6.電話交換:4

7.簿記:2

8.三療:12

9.金属加工:1

10.点字校正:1

f. IT機器の活用訓練は、いつ受けられましたか。

視力低下初期:1

視力低下中期:4

視力低下後期:4

完全失明後:19

受けていない:44

その他:8

●友人から教わった。

●就職後に受けた。

g. IT機器活用訓練の内容はどのようなものでしたか。具体的にご記入ください。

1.プログラミング:4

2.文書作成:25

3.表計算:6

4.インターネット:11

5.Windows:2

6.UNIX:1

C 就職の経緯

a. 障害を受ける前に就労されていましたか。

1.就労していた:24

2.就労していない:45

b. 障害時期と現在の就職先との関係についてお尋ねします。

障害前からの継続:9

障害後に就職して継続:42

障害後に就職して転職:20

c. 現在の就職先へは、どのようにして就労しましたか。

1.職安:9

2.求人誌:1

3.合同面接:4

4.リハセン紹介:10

5.知り合い紹介:31

6.学校紹介:19

7.その他:9

●公務員試験に合格。

●仲間で会社設立。

●継続雇用

●募集していたので応募した。

●市役所内での配置転換(派遣)

●障害者雇用運動

d. 就職活動において、IT技術の習得状況についての、アピールは、いかにおこないましたか。障害後の就職についてのみ、ご回答ください。(複数回答可)

1.面接口頭:22

2.履歴書自己作成:10

3.自作HP:0

4.目の前でパソコン操作:8

5.アピールなし:32

6.その他:13

●プログラム・リストを持参して見せた。

●与えられた課題をアプリケーションソフトで作成。

●会社設立の仲間が既に自分のITの力量を理解していた。

●大学での研究内容紹介によるアピール

●就職当時はITなどなかった。

e. 就職した際、周りの職員に対し、障害の理解に関する働きかけをおこないましたか。

時間内講義:2

時間内個別説明:12

プライベート説明:7

書面配布:2

行わなかった:60

f. 障害に対しての理解の状況についてお尋ねします。

理解あり対応適切:57

理解あるが対応は不適切:17

理解なく対応不適切:3

D 業務上のコミュニケーション方法

a. 他者からあなたに対して、日常の情報交換手段として最も多い方法は何ですか

  1. 1.口頭:53
  2. 2.手書きメモ:7
  3. 3.点字メモ:6
  4. 4.E-Mail:23
  5. 5.HP又は社内掲示板:7
  6. 6.フロッピー:2
  7. 7.その他:4

●文書

●社内lanを通してexcelデータを取得

●業務上の情報が回ってこない

b. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:76

いいえ:7

c. あなたから他者に対して、日常の情報交換手段として最も多い方法は何ですか

口頭:53

手書きメモ:8

点字メモ:3

E-Mail:22

HP又は社内掲示板:2

フロッピー:3

その他:6

●文書:0

●ワープロ書き:3

d. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。

大きい:8

大きくない:73

e. 他者からあなたに対して、文書のやり取りで最も多い方法は何ですか

口頭:23

印刷文書:22

拡大文書:5

点字文書:9

E-Mail:27

HP又は社内掲示板:2

フロッピー:9

その他:2

●困ったときには、メールかフロッピーを要求する。

●墨字文書でもらい、ocrでテキストに変換。

f. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。

はい:63

いいえ:19

g. あなたから他者に対して、文書のやり取りで最も多い方法は何ですか

口頭:16

印刷文書:35

拡大文書:1

点字文書:2

E-Mail:29

HP又は社内掲示板:2

フロッピー:11

その他:0

h. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。
大きい:10
大きくない:71

i. 他者からあなたに対して、会議資料の提示の手段として最も多い方法は何ですか
口頭:8
印刷文書:40
拡大文書:5
点字文書:14
E-Mail:19
HP又は社内掲示板:2
フロッピー:5
その他:1
●会議には出席させてもらえない。

j. その方法はあなたにとって、適切な方法ですか。
はい:48
いいえ:33

k. あなたから他者に対して、会議資料の提示の手段として最も多い方法は何ですか
口頭:12
印刷文書:40
拡大文書:1
点字文書:8
E-Mail:15
HP又は社内掲示板:3
フロッピー:8
その他:3
●プロジェクターで提示
●会議資料は提示されない(回ってこない)

l. その方法はあなたにとって、負担の大きい方法ですか。
大きい:14
大きくない:63


F 業務内容とIT機器等(環境)との関係

a. 業務内容はどのようなものですか。
1.企画:12
2.受託調査:2
3.人事:1
4.経理:2
5.ソフト開発:5
6.HP作成:4
7.サーバー管理:1
8.ヘルスキーパー(マッサージ):5
9.電話交換:2
10.コールセンター:1
11.苦情対応:5
12.秘書:0
13.他事務:13
14.他業務:8
15.パソコンインストラクター:3
16.点字録音図書貸し出し製作:17
17.理療指導員:8
18.リハ指導員:10
19.相談業務:9
20.図書館司書:5
●市の広報などのテープ版とフロッピー版のコピーと発送、点字文書の作成と印刷、点字の手紙を活字にする、名簿の管理、他
●メルマガの製作、社内誌の作成
●福祉機器の販売サポート
●申し込み書の受付やその他保全帳票の管理
●広報・IR業務
●窓口での相談業務
●理学療法士
●データー入力 分析 技術資料作成
●基準、マニュアルなどの整備

b. IT機器がなかった場合、どのような状況になっていたと思われますか。
就職できない:19
解雇:4
別職種配置:15
同じ職務:36
その他:5
●コミニケーションを取るのが困難だったと思われる
●自分から止めていたと思う。
●自主退職
●別の職種を考えた。

c. あなたが業務上使用しているIT機器をご記入ください。
1.パソコン:72
2.点字ディスプレイ:15
3.点字プリンタ:7
4..墨字プリンタ:7
5:スキャナ:12
6:点字メモ機:7
7.DOS音声装置:4
8.UNIX端末:1
9.サーバー機:2
10.拡大読初機:3
11.録音機:5
12.点図ディスプレイ:1
13.オプタコン:1

d. あなたが業務上使用しているソフトウェアをご記入ください。
1.表計算:36
2.ワープロ:54
3.SR:66
4.コンパイラ:3
5.ブラウザ:39
6.メーラー:28
7.点訳ソフト:21
8.OCR:18
9.住所管理:3
10.データベース:12
11.LAN関連:4
12.UNIX関連:3
13.拡大ソフト:4
14.プレゼンソフト:1
15.ホームページ作成ソフト:2
16.地図ソフト:1
17.時刻表:1

e. あなたは、現在のIT環境の整備状況について、どのように、評価しますか。
たいへん満足:15
まあまあ満足:36
どちらともいえない:15
少し不満:9
まったく不満:2

f. IT環境の整備について、あなたの意見が反映されていますか。
反映:30
一部反映:20
どちらともいえない:22
あまりない:2
まったくない:2
非協力的:1

g. あなたがお使いのハードウエアはどなたのものですか
すべて会社:52
一部会社:17
すべて自分のもの:5

h. あなたがお使いのソフトウエアはどなたのものですか
すべて会社:45
一部会社:21
すべて自分のもの:7
最初のみ会社:0

i. 就職の際、ご自身のIT機器の操作技術と雇用主が求めている操作技術とのすりあわせを誰がおこないましたか。
ご自身:29
職業訓練担当者:0
生活訓練担当者:0
企業担当者:11
その他:23
●復職に際しては、職業訓練の指導員が同伴し、個人と会社で検討
●特に行っていない。
●すり合わせは双方で行うものであり、どちらかを選ばせるのはナンセンスだと思う。私の職場では相互努力により、現在の環境が構築されている。

j. 現在、仕事で活用しているIT機器の操作は、職業訓練などで学ばれた操作技術のみで対応が可能ですか。
1.対応:5
2.社内研修:13
3.訓練師相談:4
4.業者相談:9
5.独学:31
6.知り合いに相談:3
7.その他:9
●パソボラの援助
●盲学校による援助
●自分で視覚障害者向け研修を探し参加。但し業務として認められている。
●社内の人に尋ねる。

k. 業務遂行の状況をご自身ではどのように評価されますか。
一般以上:1
同等:21
会社から評価:32
効率が上げられない:10
仕事が与えられない:1
その他:7
●同じ業務をしている健常者がいないため比較できない。


G 今後の課題等
a. あなたにとってITの存在は、就労に不可欠なものだと思われますか。
強く思う:57
まあまあ思う:16
どちらともいえない:1
あまり思わない:4
まったく思わない:0

b. 将来、ITを使用しての、在宅就労の普及の可能性について、いかが思われますか。
普及する:39
どちらともいえない:28
普及は難しい:12

5.2 事業所向けアンケート結果

委員会で選定した195社の企業に対してアンケートを送付し、41件の有効回答を得た。
以下、アンケートの結果である。
--------------------
働く視覚障害者とITに関するアンケート調査
事業所対象・集計結果  195社中 41社より回答

1 貴事業所の概要についてお尋ねします

1-1 業種・業態について (簡単に記述下さい)

1-2 従業員数 雇用形態についてお尋ねします
1-2-1 全従業員数( 名)
集計
100人未満:24社
300人未満:5社
500人未満:1社
1,000人未満:3社
5千人未満:3社
1万未満:3社
1万以上:2社

1-2-2 雇用されている障害者は視覚障害者を含め
集計
41社中31社が障害者を雇用(31社計 1,183名)

1-2-3 その内 視覚障害者は
集計
31社中26社が視覚障害者を雇用(26社計 82名) 

1-2-4 その内 重度の視覚障害者は
集計
26社中24社が重度の視覚障害者を雇用(24社計 53名)

1-2-5 その雇用形態は
集計
常時:47名
臨時:1名
嘱託:0名
短時間:2名
雇用形態不明:3名

1-2-6 雇用されている視覚障害者の就業年数は
集計
20年以上:3名
15年以上:2名
10年以上:8名
5年以上:16名
5年未満:24名

1-3 資本金
1億円以上:19社
5千万以上:1社
2千万以上:8社
1千万以上:11社

1-4 設立年月
設立50年以上:9社
30年以上:10社
10年以上:12社
10年未満:10社

視覚障害者雇用26社の回答
視覚障害者未雇用15社の回答


2 視覚障害者雇用の経緯についてお尋ねします

2-1 視覚障害者を雇用している理由 (複数回答可・該当の項目に○印をつけてください)
2-1-1 業務に対して適任の人が見つかった:18
2-1-2 キャパシティーが高く、複数の業務をこなせそうな人が見つかった:4
2-1-3 法定雇用率を達成するため:11
2-1-4 雇用助成金が受けられため 給与のコストパフォーマンスが高い:0
2-1-5 強制的に退職させる訳にはいかない:2
2-1-6 障害者と仕事をすることにより、周りへのプラス効果を考えている:6
2-1-7 その他:6

2-2 視覚障害者の雇用で重視されることは (複数回答可)
2-2-1 学歴:1:0
2-2-2 専門的知識・能力:21:4
2-2-3 責任感:13:3
2-2-4 研究心・向上心:16:4
2-2-5 単独歩行:15:2
2-2-6 明朗闊達な性格:10:2
2-2-7 常識・マナー 12 1
2-2-8 その他 0 0

2-3 視覚障害者の雇用で懸念されることは (複数回答可)
2-3-1 適した仕事が見つからない:7:4
2-3-2 コストパフォーマンスが上げられるか不安:7:1
2-3-3 社屋・設備を物理的に改造するための経費負担:0:1
2-3-4 社内融和:2:0
2-3-5 通勤途上の事故など不測の事態:14:3
2-3-6 単独での業務遂行能力が不明:15:0
2-3-7 とにかく手間がかかりそう:0:0
2-3-8 その他:2:0

2-4 視覚障害者を雇用された経緯は (複数回答可)
2-4-1 学校からの紹介:6
2-4-2 職安から紹介を受けた:12
2-4-3 求人誌での募集に応募してきた:2
2-4-4 合同面接会で出会った:7
2-4-5 リハビリテーションセンター又は職業訓練センターから紹介を受けた:5
2-4-6 知り合い又は取引先から紹介された:4
2-4-7 復職:1
2-4-8 その他:6

2-5 就職希望者または復職希望者のITに関する知識の習得度合いが 視覚障害者の雇用の意思決定に 何がしかの影響はありましたか 
(コメントあれば記入ください)
2-5-1 影響した:15
2-5-2 影響しなかった:8
2-5-3 その他:1

2-6 復職の場合の仕事についてお尋ねします (コメントあれば記入ください)
2-6-1 今までの仕事をITを活用して従事している:1
2-6-2 復職に当たり 同じ部署内で新たな仕事を創出した:3
2-6-3 ITを活用して仕事が可能な部署への配置転換を行なった:0
2-6-4 その他:3

2-7 就職希望者または復職希望者の ITに関する知識の習得度合いの判断は どのように行いましたか 
2-7-1 面接によって:20
2-7-2 履歴書によって:4
2-7-3 職業安定所からの説明によって:0
2-7-4 推薦者からの説明によって:3
2-7-5 試験によって:1
2-7-6 その他:5

3 助成金制度の利用についてお尋ねします

3-1 障害者の住宅に関する助成金 
3-1-1 利用している:7
3-1-2 利用していない:15:2
3-1-3 制度を知らない:2:3
3-1-4 その他:2

3-2 障害者用の機器購入・設備等に関する助成金
3-2-1 利用している:19
3-2-2 利用していない:7
3-2-3 制度を知らない:0:1
3-2-4 その他:0

3-3 ヒューマンアシスタント(職場介助者) の利用
3-3-1 利用している:6
3-3-2 利用していない:18
3-3-3 制度を知らない:2:2
3-3-4 その他:0

3-4 視覚障害者雇用にあたりIT環境を整える初期費用の総額は 
3-4-1 50万円以上:11
3-4-2 20万円以上50万円未満:6
3-4-3 20万円未満:3
3-4-4 初期費用支出なし:4
3-4-5 その他:11

3-5 視覚障害者の雇用継続のためIT環境設備の更新、追加はありましたか 
3-5-1 更新・追加あり: 11 (概略費用 円)
3-5-2 更新・追加はしていない:14
3-5-3 その他:0

4 視覚障害に関する啓蒙についてお尋ねします

4-1 従業員に対し 視覚障害を理解するための啓蒙を行いましたか
4-1-1 行った:9
4-1-2 行っていない:13
4-1-3 検討している:0:1
4-1-4 その他:3:1

4-2 啓蒙を行った方にお尋ねします どのような内容で行いましたか (複数回答可)
4-2-1 ビデオを見せた:1
4-2-2 書籍を見せた:0
4-2-3 関係機関の専門家による講習会を開いた:0
4-2-4 当事者による講習会を開いた:5
4-2-5 その他:6

5 人事関係の情報コミュニケーションについてお尋ねします 

5-1 視覚障害者への給与明細はどのような様式ですか 
5-1-1 一般と同じ印刷された明細:16
5-1-2 点字印刷または拡大印刷:2
5-1-3 E−mail:5
5-1-4 フロッピーディスク:2
5-1-5 その他:4

5-2 勤怠の届けの提出方法は  
5-2-1 タイムカード:7
5-2-2 グループウエアなどに直接入力:9
5-2-3 所定の用紙に記入:5
5-2-4 視覚障害者のみ別な方法で受け付け、後で修正をする:0
5-2-5 その他:5


6 業務上のコミュニケーション方法についてお尋ねします

6-1 日常の情報交換手段はどのように (複数回答可)
6-1-1 口頭:25
6-1-2 手書きのメモ:2
6-1-3 点字のメモ:2
6-1-4 E−mail:21
6-1-5 HP又は社内LANの掲示板:7
6-1-6 文書ファイルをフロッピーでやり取り:3
6-1-7 その他:1

6-2 文書のやり取りはどのように (複数回答可)
6-2-1 口述:14
6-2-2 印刷:7
6-2-3 点字印刷:2
6-2-4 E−mail:20
6-2-5 HP又は社内LANの掲示板:7
6-2-6 文書ファイルをフロッピーでやり取り:7
6-2-7 その他:1

6-3 会議資料はどのように (複数回答可)
6-3-1 通常の活字資料のみ:11
6-3-2 拡大印刷:2
6-3-3 点字印刷:1
6-3-4 E−mailにて前もって送付:12
6-3-5 HP又は社内LANの掲示板に予め掲載:2
6-3-6 文書ファイルをフロッピーで提供:5
6-3-7 その他:2


7 業務内容とIT機器との関係についてお尋ねします

7-1 視覚障害者はどのような業務に従事していますか (業務内容を余白にできるだけ詳しく記入ください)
7-1-1 企画立案:4
7-1-2 受託調査:2
7-1-3 人事:2
7-1-4 経理:2
7-1-5 点字文書編集・作成:3
7-1-6 ソフトウェア開発:9
7-1-7 ホームページ作成:5
7-1-8 システム・サーバー管理:3
7-1-9 ヘルスキーパー:2
7-1-10 電話交換:4
7-1-11 コール・センター:1
7-1-12 サポート・苦情対応:4
7-1-13 秘書:0
7-1-14 その他の業務:14

7-2 IT機器がなかった場合の想定について 
7-2-1 雇用しなかった:12
7-2-2 解雇していた:2
7-2-3 現在とは全く別の職種に配置していた:3
7-2-4 現在と同じ職務を与えていた:7
7-2-5 その他:3

7-3 ネットワークへの接続 (視覚障害者がIT機器を使用する場合 通常の社員と異なるソフトを入れる必要がありますが どのような配慮をされていますか)
7-3-1 通常と同じようにネットワークに接続している:23
7-3-2 ネットワークへの接続は認めていない:1
7-3-3 ダイヤルアップなど間接的な方法で接続している:2
7-3-4 その他:1

8 現状の評価についてお尋ねします

8-1 視覚障害者のIT使用による業務遂行ついて 雇用時または 復職時の期待度と比較して どのように 評価していますか 
8-1-1 期待以上である:4
8-1-2 期待通りである:16
8-1-3 期待以下である:4
8-1-4 雇用助成金を考慮すれば、一般の健常者従業員と同等又はそれ以上のコストパフォーマンスを実現している:0
8-1-5 障害を考慮に入れればよく頑張っている:8
8-1-6 その他:1

8-2 視覚障害者のIT使用による業務遂行は、同一部署の健常者の従業員と比較して、どのように、評価されていますか 
8-2-1 たいへん満足である:4
8-2-2 まあまあ満足である:10
8-2-3 どちらともいえない:9
8-2-4 少し不満である:0
8-2-5 たいへん不満である:2
8-2-6 その他:3

8-3 雇用後 視覚障害の関係機関からのアドバイスについてお尋ねします 
8-3-1 関係機関には定期的に連絡をし アドバイスなどを受けている:1
8-3-2 関係機関からのアドバイスは受けていない:18
8-3-3 必要に応じて関係機関を探し出し アドバイスを受けている:3
8-3-4 そのような機関があれば、相談してみたい:2
8-3-5 その他:1

8-4 関係機関から受けたアドバイスの内容について 記述ください:5


9 今後の課題についてお尋ねします

9-1 貴事業所では 今後の視覚障害者の雇用を どのように考えていますか 
9-1-1 積極的に 取り組んでいきたい:5:1
9-1-2 現状維持で行く:17:1
9-1-3 減員を考えている:0
9-1-4 その他:4:5

9-2 貴事業所の業務で 視覚障害者のIT使用による在宅就労は 可能だと思われますか 
9-2-1 可能である:5
9-2-2 どちらともいえない:9:8
9-2-3 不可能である:6:1
9-2-4 一般的に在宅就労を積極的には考えていない:6:3
9-2-5 その他:0:2

9-3 在宅就労が可能であると回答された方にお尋ねします  
在宅就労は 視覚障害者の雇用拡大に つながると思われますか 
9-3-1 思う:5:1
9-3-2 どちらともいえない:0
9-3-3 思わない:0
9-3-4 その他:1

視覚障害者の雇用について、また、その促進について、ご意見、ご感想をお書きください。:7:8

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5-3 働く視覚障害者に対するアンケート調査分析

(1) 調査方法
 本アンケート調査は、まず最初に視覚障害者の会員数の多い3つのメーリングリストで呼びかけて一般企業に勤める視覚障害者の中から協力者を募集し、30件の回答を得た。
 次に、2003年10月10日付けで日盲社協加盟施設163施設にフロッピーディスクにアンケートのテキストファイルを保存した形で協力を求め、10月31日までに55件の有効回答を得た。
 いずれの回答も電子メールまたはフロッピーディスクにテキストファイルを保存する形でお願いしたものであり、点字での回答は一つもなかった。その意味で、回答者全てがパソコン・ユーザーであることが想定される。
 最初の30件の回答はそのほとんどが民間企業に勤める視覚障害者からのものであり、次の55件はそのほとんどが視覚障害者施設に勤める視覚障害者からのものである。
 以下、この2つの回答を区別するときは、最初の30件の回答者を「企業勤務者」、次の55件の回答者を「施設勤務者」と呼ぶ。

(2) 回答者のプロフィールから
 回答者85名のうち、男性が64名、女性が21名であった(A−b.)。
 視力別では、「全盲」と回答した方が42名で全体の約半数、それを含めて0.05以下と記載した方が71名に上り、強度の視覚障害者が中心となっている(A−c.)。
 勤務年数を見ると、10年以上の方が45名と半数を超えている。このうち、施設勤務者55名のうちで10年以上と答えた方が32名に上り、日盲社協加盟施設に勤める視覚障害者の勤務年数の長さがめだった(A−e.)。

(3) リハビリテーションについて

1. 概要
 リハビリテーションに関する質問では、失明の度合いを基準にしていつ頃訓練を受けているかを尋ねたが、訓練を受けていない方が案外多いことが判った。
 例えば、生活訓練は47名、歩行訓練は35名、職業訓練は49名、IT機器の訓練は44名が受けておらず、歩行訓練以外はいずれも有効回答の50パーセントを越えている。
 また、失明の程度と訓練を受けた時期を比較した場合、失明度が高まってから訓練を受けているケースが多い。
 生活訓練では13名、歩行訓練では20名、職業訓練では15名、IT機器の活用訓練では19名が完全失明後に訓練を受けていると回答している。
 中都失明者の場合には、より早い時期における訓練が実現すれば、復職などもよりスムーズにいくのではないかと考えられる。

2. 訓練に対する評価
 訓練に対する評価を聞いてみた。
 生活訓練と歩行訓練に対する評価では、有効回答数53件のうち、「大変満足」が16件、「まあまあ満足」が18件で、あわせて34件となり、おおむね満足が得られていることが判った(B−c.)。

3. 職業訓練の内容
 回答いただいた方の中で、三療の勉強を職業訓練と捕らえた方とそうでない方とがあった。実際には三療の勉強をしている方はもっと多いはずである(B−e.)。
--------------------
三療:12
プログラミング:7
電話交換:4
文書作成:4
表計算:4
簿記:2
データベース:2
インターネット:1
勤続加工:1
点字校正:1
--------------------
4. ITの訓練内容
 生活訓練や職業訓練という項目とは別に、ITに関する訓練内容についても聞いてみた(B−g.)。
--------------------
文書作成:25
インターネット:11
表計算:6
プログラミング:4
Windows:2
UNIX:1
--------------------
 上の数値から、ITに関しては、文書作成の訓練が圧倒的に多く、続いてインターネットを利用するための訓練が多いことがわかった。


(4) 就職の経緯
 就職の経緯についても尋ねている。
 「現在の就職先にどのように就職しましたか」という問いに対して、
--------------------
職安:9
求人誌:1
合同面接:4
リハビリテーションセンターからの紹介:10
知り合いの紹介:31
学校からの紹介:19
--------------------
となっている(C−c.)。
 知り合いの紹介が非常に多いのだが、企業勤務者と施設勤務者とを別々に見ると、施設勤務者の場合が27、企業勤務者の場合が4となっており、視覚障害関連施設に就職する際には、人脈が非常に有効に機能していることがよくわかる。
 また、就職活動において、ITの活用技術をどのようにアピールしたかということも聞いて見た。
 面接時に口頭でアピールしたというのが22名ともっとも多く、履歴書を自分で作成してそのことをアピールしたという方も10名いた。また、実際に目の前でパソコンを操作してアピールした方も8名に上る(C−d.)。
 就職後に視覚障害に対する理解を求める行動を取ったかということも尋ねてみたが、特別なことをしていない方が多い。また、職場の理解はあるかという質問に対しては、「理解がある」という回答が概して多く、視覚障害者を採用する職場では既にある一定程度の理解があることがわかった(C−e.、C−f.)。

(5) コミュニケーション方法
 印刷物の直接の読み書きに不自由な視覚障害者にとって、職場の上司や同僚とのコミュニケーション方法が業務遂行上一番要とも言える。
 そこで、これに関しては、ITの利用も含めて、かなり詳しく尋ねている。
 まず、日常の情報交換手段としては、口頭が53ともっとも多いが、電子メールの利用も20件を越えており、この数も見逃せない(D−a.〜d.)。
 これが、文書のやり取りになると、数値がばらついてくる。
 まず、職場の同僚から本人への伝達手段としては、電子メールが27、口頭が23、印刷文書が22と続く。また、フロッピーが9、点字文書が9、拡大文字による文書が5というのにも注目したい(D−e.)。
 一方、視覚障害者から目の見える同僚への文書伝達手段は、印刷文書が35、電子メールが29であり、この2つの手段が圧倒的に多い。このことからも判るように、視覚障害者は文書を書いて印刷して提出することにはあまり苦を感じていない(D−g.)。
 最後に、会議資料について尋ねているが、ここにはやや問題が見られる。
 会社側から本人への会議資料の提示の仕方を尋ねている項目では、印刷文書が40、電子メールが19、点字文書が14、口頭が8、拡大文書が5、フロッピーが5となっている。このうち、会議中に直接視覚障害者自身が資料を参照しながら参加できるのは、点字文書と拡大文書のみである。
 さらに細かくみると、点字文書と回答した14件のうちの13件及び拡大文書と回答した5件のうちの3件が施設勤務者からの回答である。つまり、企業勤務者の30件の回答の中には、点字文書は1件、拡大文書は2件しかない。現に、「その方法はあなたにとって適切ですか」という質問に対しては、企業勤務者30名のうちの14名が「いいえ」と答えている(D−i.〜j.)。
 一方、視覚障害者が会議資料を作成する場合の方法では、印刷文書が40、電子メールが15、口頭が12、点字文書が8、フロッピーが8、社内掲示板が3、拡大文書が1となっている。この場合、「口頭」というのはどの程度の会議に関する資料なのかよくわからないが、やはり会議でテーマに上げる内容であれば、口頭はあまり好ましくないと考えられる。この辺りは、視覚障害者自身の業務に対する姿勢が問われる(D−k.)。

(6) IT機器の利用
 IT機器の利用状況を尋ねる前提として、まず最初に、業務内容を尋ねてから、具体的にどのような機器やソフトウェアを利用しているのかを聞いてみた。

1. 利用されているIT機器
 まず、利用している機器に関しては、以下の回答があった(F−c.)。
--------------------
パソコン:72
点字ディスプレイ:15
スキャナ:12
点字プリンタ:7
墨字プリンタ:7
点字メモ機:7
録音機:5
MS−DOS音声装置:4
拡大読初機:3
サーバー機:2
UNIX端末:1
点図ディスプレイ:1
オプタコン:1
--------------------
 パソコンは圧倒的に多いのだが、有効回答全てではなかった。有効回答が全て電子的なデータ、つまりメールかフロッピーに収めたテキストファイルで回答頂いていることから、パソコンは操作できるけれども、職場では使っていないという方がわずかにいるようだ。なお、企業勤務者30件のうちのパソコン利用数は28件であった。

2. 利用されているソフトウェア
 次に、業務で利用しているソフトウェアに関しては、以下の回答があった(F−d.)。
--------------------
スクリーンリーダー:66
ワープロソフト:54
ホームページブラウザ:39
表計算ソフト:36
電子メールソフト:28
点訳ソフト:21
OCRソフト:18
データベースソフト:12
拡大ソフト:4
LAN関連:4
コンパイラ:3
住所管理ソフト:3
UNIX関連:3
ホームページ作成ソフト:2
プレゼンソフト:1
地図ソフト:1
時刻表:1
--------------------
 上記のうち、66件のスクリーンリーダーは視覚障害者がパソコンを利用する上で必須のソフトウェアであると同時に、一般の従業員は使わない。一方、それに続くワープロ、ブラウザ、表計算、電子メールなどのソフトウェアは、いまやオフィスワークにおいて必須のソフトウェアであり、事務所で働く人達のほとんどが利用するものである。これらのソフトウェアが使えてはじめて、視覚障害者も事務処理ができるということになる。
 21件の点訳ソフトは、点字のデータを作成するためのソフトである。21件のうち、施設勤務者の利用が14件であり、職種のところで「点字録音図書貸し出し製作」が16件となっており、直接の専門業務で用いていると考えられる。また、企業勤務者で点訳ソフトを利用している方が7名あるが、そのうちの5名がソフトウェア開発に携わっており、情報を正確に捉える上での点字の有用性が認められる。
 18件と比較的利用率が高いOCRソフトは、印刷物を直接読み上げたりあるいは内容をデータ化して自分の読みやすい形で保存しておくために利用されている。

3. IT機器がなかった場合の仮定
 IT機器がなかったとしたら、どうなっていたかについても聞いてみた(F−b.)。
 企業勤務者の場合には、就職できなかったと答えた方が13名、解雇されていたという方が2名、別職種に配転されていたという方が5名で、今と同じ仕事をしていたと答えた方は7名であった。
 一方、施設勤務者の場合には、就職できなかったと答えた方が6名、解雇されていたとする方が2名、配転されていたという方が10名で、今と同じ仕事をしていたとする方が29名に上る。
 やはり、施設に勤める視覚障害者よりも、一般企業に勤務する視覚障害者の方が、IT機器のニーズを強く感じているようだ。

4. IT設備への満足度
 「大変満足」と「まあまあ満足」をあわせて51件となり、有効回答数85件の60パーセントに達し、基本的には満足している方が多いようだ。これに関しては、企業勤務者と施設勤務者であまり差はない(F−e.)。
 一方、IT環境の整備に関して、自分の意見が取り入れられているかどうかについても聞いてみた。
 意見が繁栄されているという回答が30、一部反映という回答が20であり、あわせて50件となり、有効回答数85件の60パーセントに迫る(F−f.)。

5. スキルのすり合わせ
 就職の際、職場で求められるスキルと自分が現在会得しているスキルとのすり合わせを誰が行ったのかを聞いてみた(F−i.)。
 結果、自分自身という回答が29件、企業担当者という回答が11件であり、リハビリテーション関係者は全く上げられていなかった。
 しかし、この質問項目に関しては、実際にはいろいろな要素が背景に存在するため、答えにくいようであった。

6. 就職後のスキルアップ
 職場のニーズに対応するための就職後のITに関するスキルアップについても聞いてみた(F−j.)。
 これに対しては、独学が31、社内研修を受けたケースが13、専門業者に相談したというのが9件となっている。いずれにしても、自分自身の努力が大切なことは間違いない。


(7) 就労にとってのITの必要性
 最後に、就労にとってのITの必要性を聞いてみた(G−a.)。
 「不可欠だと強く思う」が57件、「まあまあ思う」が16件であり、圧倒的に多数をしめる。さらに、企業勤務者の回答では、「強く思う」が24件、「まあまあ思う」が5件で、残りの1件は無回答であった。
 このように、視覚障害者の就労にとってITが不可欠であることはアンケート結果からもきわめて明確である。

(望月優)

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5-4 事業所に対するアンケート調査分析

(1) 調査方法
 本アンケート調査は、2003年9月27日付けで本委員会で抽出した195社の人事担当者または視覚障害者従業員の所属する部署宛てに送付し、10月31日までに41件の回答を回収している。
 アンケートの送付先は、全て民間企業であった。

(2) 回答社の分類
 回答41社のうち、31社が障害者を雇用しており、そのうち26社が視覚障害者を雇用しており、さらにそのうちの24社が重度の視覚障害者を雇用していた。
 また、企業の規模別に見ると、100人未満が24社、100人以上300人未満が5社、300人以上千人未満が4社、千人以上1万人未満が6社、1万人以上が2社であった。
 なお、回答企業に雇用されている視覚障害者総数は82名、そのうち53名が重度であった。

(3) 雇用の経緯
 以下、視覚障害者を雇用している企業の回答を分析してみる。

1. 雇用の理由(2−1)
 まず、雇用している理由を聞いて見た。
 「業務に対して適任の人が見つかった」という回答が18件とトップで、「法定雇用率を達成するため」が11件と続く。また、「障害者と仕事をすることにより、周りへのプラス効果を考えている」も6件と案外多い。
 この回答から、障害者法定雇用率もやはり企業が障害者を雇用するに当たってかなり大きな同機となっていることが伺える。

2. 重視すること(2−2)
 次に、視覚障害者の雇用で重視することを尋ねている。
 予想通り、「専門的知識・能力」という回答が21件ともっとも多い。次に「研究心・向上心」が16件と続く。今後の成長に期待しているのだろう。また、「単独歩行」という回答も15件と大変多い。企業が視覚障害者の通勤を心配していることがよくわかる。

3. 懸念されること(2−3)
 次に、懸念されることについても尋ねている。
 「単独での業務遂行能力が不明」という回答が15件ともっとも多い、視覚障害者を雇用している企業でも、その単独業務遂行能力を把握できていない現実があらわになった。また、「通勤途上の事故など不測の事態」という回答も14件と大変多く、先ほどの結果と同様、通勤を心配している職場が多い。なお、ちなみに、この通勤途上の不足の自体を心配しているのは、視覚障害者を雇用していない10社の中でも3社あり、このテーマは視覚障害者の雇用促進に当たって大きなテーマであることが改めて確認された。

4. リクルート方法(2−4)
 次に、どのようにして現在雇用している視覚障害者にたどり着いたのかを尋ねて見た。
 職安からの紹介が12件とだんとつで、合同面接会が7件、学校からの紹介が6件、リハビリセンターまたは職業訓練センターからの紹介が5件、そして知人からの紹介が4件と続く。
 視覚障害者側へのアンケートでは知人からの紹介が多かったが、これは特に施設関係への就職のときに多いようだ。民間企業の場合には、やはり、職安や合同面接などの公的な雇用斡旋サービスによるところが大きいようだ。

5. IT習得度合いの影響(2−5)
 次に、雇用を決定するに当たって、視覚障害者本人のITに対する習得度合いが影響したかどうかを尋ねて見た。
 影響したという回答が15件で、影響しなかったという8件を上回った。

6. 復職の場合の業務内容(2−6)
 復職に際して、どのように業務内容を決めたのかについて尋ねて見た。
 「同じ部署内で新たな仕事を創出した」という回答が3件で、「今までの仕事にITを活用して従事している」の1件を上回った。

7. ITの習得度合いの判断(2−7)
 就職または復職希望者のIT習得度合いの判断についても聞いて見た。
 面接によって判断したという回答が20件と圧倒的だ。履歴書によってという回答が4件あり、推薦者からの説明によってという回答が3件と続く。
 ここで、職安からの説明によって判断したという回答が0件であったことに注目したい。職安は元来雇用を促進するために存在する公的機関である。であるならば、視覚障害者が業務をこなすためにどの程度ITを習得しているかぐらいは把握し、雇用主に説明するぐらいの仕事はして頂きたいと感じた。

(4) 雇用助成金の利用状況
 雇用助成金の利用状況についても尋ねて見た。

1. 住宅に関する助成金(3−1)
 「利用している」という回答が7件、「利用していない」が15件、「制度を知らない」という回答が2件あった。
 住宅に関する助成金は、本人のために特別に賃借するなどの条件がそろわないと利用できないので、その割には利用率が高いように感じた。

2. 機器購入や設備に関する助成金(3−2)
 これについては、「利用している」が19件、「利用していない」が7件で、利用率が高い。
 本調査研究のテーマであるIT機器の購入助成を受けている企業が多いようだ。

3. 職場介助者(3−3)
 「利用している」が6件、「利用していない」が18件、「制度を知らない」が2件である。利用していない企業がかなり多い。
 実は、私が経営している会社でも以前はこの制度を利用していたが、今は利用していない。我が社の事情からの推察になるが、やはりIT技術の進歩により視覚障害者が独力でこなせる業務範囲が広くなってきていることが、この制度の利用率を徐々に低下させているのではないかと考えられる。

4. IT初期投資(3−4)
 次に、助成金を利用しているか否かに関わらず、視覚障害者雇用の際のIT環境を整えるための初期投資額を聞いて見た。
 「50万円以上」が11件、「20万円以上・50万円未満」が6件、「20万円未満」が3件、「支出なし」が4件であった。
 この数値からも判るように、視覚障害者を雇用するに当たって最初に必要なIT環境整備費は決して会社の負担になるような額ではない。
 健常者の従業員を新規採用する場合でも、デスクにパソコンを1台そろえようとすれば10万から20万円程度はかかるのである。

5. IT継続投資(3−5)
 次に、雇用継続のためにIT環境を整備するための追加費用について尋ねている。
 「更新または追加をしている」が11件、「していない」が14件であった。
 IT技術の進歩は日進月歩である。視覚障害従業員の作業効率を常にハイレベルな状体で保つためにも、ソフトウェアのバージョンアップなどの少額なIT環境の更新や追加には常に気を配って頂きたいと思う。

(5) 視覚障害に関する啓蒙
 視覚障害者を雇用している企業が、職場の従業員に対して、視覚障害に関する啓蒙を意図的に行っているかどうかを尋ねて見た。

1. 行ったかどうか(4−1)
 「行った」という回答が9件、「行っていない」という回答が13件であった。

2. 内容(4−2)
 次に、「行った」と回答した企業に対して、その内容を尋ねて見た。
 「当事者による講習会を開いた」という回答が5件でもっとも多かった。
 職場内でのコミュニケーションを活発化する上でも、このやり方、つまり、視覚障害者のライフスタイルや接し方などについて本人から職場仲間に話をさせるのがもっとも適切な方法だと思う。

(6) 給与明細と勤怠管理
 続いて、人事管理上必須の給与明細と勤怠管理をどのようにしているかを尋ねて見た。

1. 給与明細(5−1)
 通常の印刷された明細が16件で圧倒的に多く、そのほかの方法として、「電子メール」が5件、「フロッピーディスク」が2件、「点字印刷または拡大印刷」が2件あった。

2. 勤怠届(5−2)
 次に、視覚障害従業員がどのようにして勤怠届を提出しているかを尋ねた。
 「グループウェア等に直接入力」が9件、「タイムカード」が7件、「所定の用紙に記入」が5件であった。
 グループウェアへの入力がこんなに多いのは、以下に働く視覚障害者がITを利用しているかを如実に表した結果だと言える。

(7) コミュニケーション方法
 次に、視覚障害者にとってもっとも重要といえるコミュニケーション方法について尋ねた。

1. 日常の情報交換手段(6−1)
 「口頭」という回答が25件ともっとも多いのはきわめて自然だが、「電子メール」が21件、「HPまたは社内LANの掲示板」が7件と続くのは、以下にITが職場で自然に用いられているかを物語っている。

2. 文書のやり取り(6−2)
 「電子メール」が20件ともっとも多く、「口述」が14件と続く。「HPまたは社内LANの掲示板」が7件、「フロッピーディスク」が7件、「印刷」が7件と、3種類の方法が同数となっている。
 現在は、この3種類のいずれの方法でもITを駆使すれば視覚障害者側で対応可能だが、やはり「印刷」はOCRソフトによる読み取りを必要とするので、視覚障害者側にとってもっとも負担の大きい方法である。

3. 会議資料(6−3)
 「電子メールにて前もって送付」が12件ともっとも多く、「通常の活字資料のみ」の11件を上回った。
 活字資料の場合には、かなり前もって手渡されていればOCRソフトなどで読み取って内容をあらかじめ把握して会議に参加できるが、会議の場でいきなり手渡されたのではどうにも対処できない。
 これに比べて、「電子メールにて前もって送付」の場合には、もちろん会議の前に送られていなければならないが、印刷資料よりも視覚障害者自身が短時間のうちに処理できるので、会議知りようの提示の仕方としては妥当な方法と言える。
 なお、設備として点字プリンタ及び自動点訳ソフトウェアが備えられていれば、電子メールにて前もって送付された資料を視覚障害者本人が点字で出力して、それを持参して会議に参加することも可能である。この場合には、会議中に参照する必要のある内容についても対応できる。

(8) 業務内容とIT機器との関係
 ここでは、かなり多岐に渡って尋ねている。

1. 業務内容(7−1)
視覚障害者が行っている業務内容について尋ねた。
以下のような結果であった。
 ソフトウェア開発:9
 ホームページ作成:5
 電話交換:4
 サポート・苦情対応:4
 企画立案:4
 システム・サーバー管理:3
 点字文書編集・作成:3
 受託調査:2
 人事:2
 経理:2
 ヘルスキーパー:2
 コール・センター 1

上記の回答から、業務内容自体にIT技術を必要とするものが比較的多いことが注目される。

2. IT機器がなかった場合の想定(7−2)
 「雇用しなかった」という回答が12件もあり、視覚障害者の雇用を考える上で、以下にITが重要であるかが伺える。

3.ネットワークへの接続(7−3)
 社内LANなどのネットワークに接続してもらえなくて業務がスムーズに進められず、会社側との軋轢になっているケースがこれまでにあったので、あえてこんな質問をして見た。
 その結果、「通常と同じようにネットワークに接続している」という回答が23件と圧倒的で、ほとんどの会社が極めてリーズナブルな判断をしており、その点では一応安心した。
 ただ、少ないと言えども「ネットワークへの接続は認めていない」という回答が1件あったことには心を痛めざるを得ない。

(9) 仕事振りの評価
 視覚障害者の仕事振りの評価も尋ねて見た。

1. ITを利用しての業務遂行に対する評価(8−1)
 「期待通りである」との回答が16件ともっとも多く、「障害を考慮に入れればよく頑張っている」が8件と続く。また、「期待以上である」と「期待以下である」が4件ずつとなっている。
 どの選択肢を選ぶかは、回答者の完成によるところも大きい。よって、「期待以下である」という回答と「障害を考慮に入れればよく頑張っている」という回答とは、どちらが視覚障害者本人にとって好意的なのか、判断することは難しい。

2. 健常者従業員との比較(8−2)
 「まあまあ満足である」が10件、「どちらとも言えない」が9件と続き、「大変満足である」は4件しかない。やはり、健常者の従業員と比較すれば、なかなか高い評価を与えにくいようだ。この辺りは、率直に回答頂けたことが伺え、回答頂いた事業所の方々に感謝したい。
 なお、「大変不満である」という回答が2件あり、具体的にはどのようなケースなのか、非常に心配である。

3. 関係機関からのアドバイス(8−3)
 雇用後に、視覚障害者関係機関からアドバイスを受けているかどうかを尋ねて見た。
 「アドバイスは受けていない」というのが18件で、圧倒的多数だった。
 この辺りは、関係機関側からの積極的なアプローチも必要ではないだろうか。

(10) 今後について
 最後に、今後について尋ねて見た。

1. 今後の雇用方針(9−1)
 視覚障害者の雇用について、今後はどのような方針なのかを尋ねた。
 「現状維持」が17件とトップで、「積極的に取り組んで行きたい」の5件を大幅に上回った。

2. 在宅就労(9−2)
 次に、視覚障害者の在宅就労が可能かどうかを尋ねた。
 「どちらとも言えない」が9件と結論を保留した回答がもっとも多く、「不可能である」の6件が「可能である」の5件を上回った。
 また、「一般的に在宅就労を積極的には考えていない」という回答が6件あり、単に可能かどうかという判断ではなく、会社として在宅勤務を積極的に進めていくのかどうかという用件がまず先に存在していることが理解できた。
 なお、この質問に対して「可能である」と回答した企業は、次の質問で「在宅就労は視覚障害者の雇用拡大につながると思う」と回答している。

 以上、各企業の担当の皆様には、かなり率直なお答えを頂いた。
 ここに深く感謝の意を表したい。

(望月優)

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5-5 聞き取り調査所見

 本項では、聞き取り調査を行った10件に対して、実際にインタビューを行った委員の所見を記す。

(1) 天岡委員 所見
 以下、6件についての聞き取り調査所見である。

1. 視覚障害者向け商品販売業
  (調査日 2003年11月7日)
当社は会社設立後1年6カ月を経て、全従業員は5名の小企業である。
障害者関連で実績のあるライトハウスの関係者の関与によって設立された。
取り扱い商品は、視覚障害者向けの商品を扱っている。
当社は先に述べた通り設立後、日も浅い事もあって、全員が一丸となって、企業の存亡に取り組み中である。
 そのため、就業規則の整備などまでには至っていないものの取り扱い商品の特性から、視覚障害者雇用への理解と関心は高い。
 しかし、視覚障害者が何が自社に適応出来るかは、視覚障害者の努力とその結果を見ている手探りの状態である。
 当社の視覚障害者の雇用状況は、現在は1名で採用後2カ月を経過したところである。
 したがって、試用期間中の状況で業務割り当ても決定してたものはないが、イベント等のとき、視覚障害者への商品説明などの対応に就労させている。
斯様に自分自身の身近な経験の活用とその人柄に対する評価の積み重ねが、視覚障害者に対する就労の道へ繋がる一面を感じた。

2. 学校法人
  (調査日 2003年11月11日)
大学の学生の障害者に対する対応は進歩的でその配慮も細やかである。
又、身体障害者に対する雇用も理解はあるものの、視覚障害者に対する理解は低い。
 筑波大学などの特別のところは別として、一般の大学はおおむね同じの様である。
 この視覚障害者雇用の弊害は、まづ、大学の事務形態を徹底してIT化への事務改善を行わない限り難しい。
 一例として、書類の検索などにしても、研究資料などの検索は科学技術的にその先端を行くものの、大学自体の事務管理が旧体的であり過ぎる。
 現在はそこに気づき始めたところで、視覚障害者の就労の道は今後は開かれていくものと思う。

3. トータルコンサルタント業
 (調査日 2003年11月12日)
当社はトータル コンサルタントとしての受託事業を営んでいる。
視覚障害者雇用は現在1名である。 当社の視覚障害者の特筆すべき事は、プロとして高度のITの知識と深い研究心の努力によって、視覚障害者のハンディを克服してのものである。
 当社への入社もそのプロとしての自覚をもって自ら入社を希望してきて、当社のノウハウ提供企業として充分即戦力となる要素をもっている人材である。
 かかる人材を即見出した当社の視覚障害者に対する発想は、視覚障害者に大きい希望を持たせるだけでなく、他の雇用企業の視覚障害者の採用に一つの指針を開くものと評価したい。

4. 特例子会社
  (調査日 2003年11月12日)
 当社は特例子会社で視覚障害者対策としての企業であるため、障害者に対する雇用の理解度は当然高い。
 したがって、就業規則なども晴眼者の職員や男女の勤務上、身分上の差別などもない。
職員それぞれは、PCを始めITに関しての教育や知識の習得の環境は整えられている。
 当社の商品開発も障害者向けを意図しているので、それに対応できる人材を採用時に選定されるので、応募の資格障害者には当然PCスキルが重要な条件となる。
 就労した視覚障害者と彼ら居住地域の人達との調和にも配慮して、日常的なサポートへも視野に入れている取り組みは、特例子会社として当然とは言えさすがである。

5. 特例子会社
  (調査日 2003年11月18日)
当社は身体障害者を雇用する目的で設立された、三菱化成の特例子会社である。
 そのため、視覚障害者は元より他の障害者への就労に対する姿勢は前向きである。
 視覚障害者の就労にはその障害の限界を理解して効率的な業務遂行を絶えず研究をしている事は称賛に値するものであろう。
 就業規則類も当然明確に整えられていて、視覚障害者の身分も一般職員と何ら差別されることもなく、平等に正職員として雇用されている。
 したがって、職場の雰囲気も明るく活力を感じられ、会社設立の目的に恥じない高い評価を認められるものと思える。

6. 公共企業
  (調査日 2003年11月27日)
当社の障害者雇用率は充足しているものの、視覚障害者への理解と雇用は必ずしも満足するには至っていない。
 もっとも、今回の訪問聞き取り調査を行った部署は、たまたま、その部署に視覚障害者が在籍している事、しかも、過去に同部署に就労して後、中途で視覚の障害をもった方が、同じ職場に復職されたケースへの調査になってしまった為、会社としての基本姿勢を聞くことが出来なかったのである。
 しかし、出席されて様々な現実の実態と率直な意見を述べて下さった方々から、反面教師として視覚障害者のこれからの有り様と雇用企業の側面を知るに参考になるべきものを見いだせたことは感謝するものである。
 特に、中途視覚障害者の精神的苦痛を克服しての精神力と、視覚障害者ができる新たな仕事の創出を成し遂げて新境地を開拓し、なお、その成果を現実の仕事にも生かしていることは、周りの同僚は無論、上司からも高い評価を得ている視覚障害者の方を含めた聞き取り調査は、実に有意義であったと共に、視覚障害者と雇用企業との新たな関係に大いなる明るい希望を与えるものであろう。
 しかし、この努力は一人の努力だけでは為し得ない。 たまたま、理解ある同じ現場への復帰が幸いをしたのであって、全社的視野での視覚障害者に対する知識と理解は低い。
 視覚障害者は何が出来るのか。また、どのように扱ったらいいのか等を模索している段階である。
 さらに、視覚障害者自身も自分が採用されたい企業に、何が出来るのかを具体的に説明できるものを持つことが視覚障害者の就労を更に容易にするであろう。

[まとめ]
 以上が、聞き取り調査で得た結果の所見であるが、まだ、一般的に視覚障害者に対する理解が充分でないので、今後も継続してかかる調査と啓蒙が望まれる。

(天岡 秀雄)


(2) 下堂薗委員所見
以下、在宅勤務の2件の聞き取り調査所見を記す。

7. 紙パルプ商社業。
調査日:2003年11月19日(水)
紙パルプ専門商社である当社は、紙を通して情報/文化/産業および物流事業の発展に貢献すべく努力しているという。
会社は、都内中央に存し、広々と堂々たる本社ビルから受けた印象は、中堅好業績企業を感じさせるものであった。
調査のため訪問した日は新本社ビルへ引越しが近日中におこなわれるというときで、さらにその感触を強くした。
当社には、総数5名の障害者、うち視覚障害者1名が在職しているというが、部長職にあった視覚障害者は視力障害を患ってから本社人事グループに配置換えとなり、管理職、参時の役職を命じられ、見えていたころの経験を活かした仕事を継続してまかせられている。
聞き取り調査が終わり、その帰路、当社の若い社員に最寄り駅までガイドしてもらうことになった。
その道中、白杖のことや、ガイドすること、視覚障害者団体などのことについて話をした。
そして、目が見えない人に対して、社員一同なんらの違和感はないし、困っている場合は自然に手を貸し手伝いしていることとか、見えない人が当事者グループから情報を得ることも当たり前ではないでしょうか、などと障害者とのコラボレーションについて大変貴重なお話を聞かせてもらい、働きやすい雰囲気を有する職場環境であることを十二分に印象づけてくれた。

8. 建築関係サービス業。
調査日:2003年11月22日(土)
当社は、住宅事業のほか、映像関連、出版事業を展開し、若き建築家を育てる学院を運営する一方、建築業界のニュースや会社概要などを提供する建築サービス業界の大手である。
全従業員数 約2,000名の中に、視覚障害者数は6名いるといい、今回聞き取り調査の対象になった視覚障害者は、中途失明後当社に再就職した。
会社では、システム中心の関係会社の顧客サポートセンターに所属しコンテンツ制作等を担当している。
会社は、雇用に際し、システム開発の業務を主に考慮していたようであるが、当人が社風になじむに従い、当人から提案された職種についても積極的に企画立案を容認したり、業務遂行形態についても会社側から在宅ワークを本人に勧めたり、見えていたころの印刷関係の仕事の経験を活かした業務をまかせるなど、視覚障害者の仕事のやりやすい環境づくりに積極的な印象を受けた。

[まとめ]
以上のように視覚障害者が働きやすい雰囲気を作り出してくれる会社が増えることを期待し、両者を高く評価したい。

(下堂薗保)

(3) 望月 優 所見

9. 小売業(電気、家具、宝飾、鉄道模型)
  (調査日 2003年11月10日「月)
 当社は家電製品、家具等の小売りを行っている商社である。
 家電部門ではラオックス、家具部門では大丸と提携して、それぞれの店舗の中に自社ブランドの売場を持っている。
 グループ企業全体での従業員数が約250名という規模の中で、インタビューに応じてくれた視覚障害者はグループ全体の電算管理システムの開発・運用・管理を行っている情報管理部情報システム課長として勤務している在職23年のベテランである。
 業務内容がシステム管理のため、IT機器の使用は必須だが、イントラネットの設計と構築もご本人が行っているため、スクリーンリーダーを用いてグループ内ネットワークを介して情報交換を行うことには全く問題はない。
 長年の間に会社自体も景気の大波に揺さぶられながら難関を乗り越えてきたが、そのような会社にとって厳しい状況の時に真に会社を支えるべく頑張ってこられたご本人の業務に対する姿勢が、結果として会社に大きく評価され、現在の地位に結びついている。
 会社自体は特に障害者雇用を強く意識しているということはないようだ。今回インタビューさせて頂いたご本人はその活躍ぶりにより、会社にとってなくてはならない存在になっていることを実感した。

(望月 優)


(3) 大橋委員、近藤委員所見

10. ソフトウェア業
(調査日2003年11月17日)
同社は、昭和46年8月設立、資本金2億5千万円、従業員910名の企業で、コンサルテーション、システムインテグレーション、システム開発・開発支援、システム運用管理等を行なっている。
障害者カウント数は10ポイント、視覚障害者の従業員、現在は1名。
同社の視覚障害者雇用の切っ掛けは、 1.社会貢献の一貫として、 2.雇用率についても、考慮したがすべてではない、 3.視覚障害者のコンピュータ技術の訓練状況を知り、同社の業務(プログラミング)に適していると考えたためと、説明された。
サポートのため専属の晴眼者を配し、視覚障害者の社員の世話をしている。資料の収集や資料の点訳をボランティアへの依頼等、業務遂行のための支援と、業務環境整備をサポートしているとのこと。
企業として障害者雇用には、積極的で、社会的責任を当然のこととして果たそうとされており、敬意に値する会社との印象を受けた。
同社の専属サポート担当の配置は、視覚障害者雇用にあたり、当初どのような施策が、視覚障害者の能力を充分に、発揮するかの議論の中決定されたとのこと、これにより、長期雇用を、実現(10年以上)した。 視覚障害者の雇用を検討している会社に対して、いつでも、サポートについてのノウハウを、指導する用意があるとのこと。将来的には、技術面に対しての専門的知識を有するサポート担当は、不可欠であるというのが、同社の見解であった。
これまで、新しい技術を習得するための、教材の作成にあたり、ボランティアグループと連携し、スムーズな専門書の点訳を実現したが、この各ボランティアグループとの仲立ちは、サポート担当が中心になって行ったとのこと、また、ボランティアに関する情報は、障害当事者が収集したとのことであった。
サポート社員との連携で、プログラミング業務に従事している視覚障害者の社員は、これまで、自らの提案により、データ出力のためのソースを、自動的に作成するためのシステムを開発し、業務の効率化を向上させ、その他、顧客からの要請に応じて個々の課題を解決する局面は多くあり、会社からも高く評価されていた。また、本人もこれまでの業務遂行には、それなりの自信と誇りを持っていた。
しかし、これからの課題として、ウインドウズによるプログラミング・ノウハウが、個人に帰属していて、習得するのが難しいこともあり、本人とサポート担当の方も打開策に苦慮しているようであった。
また、今後の業務については、技術者のリーダーとしての役割を担って欲しいとの会社側の意向と、技術者としての業務を重視し、社内研修においても技術を中心に、指導したいとする本人の希望とは、必ずしも一致していないようであるが、本人も会社の意向については理解しており、サポート担当の方が、この関係の調整にあたられるようであった。何事もオープンに話し合われる社風があるようで、14年の勤務の歴史を感じさせた。
在宅就労について、会社側としては、プログラミングの開発は周囲の職員のフォローが必要な局面が多いため、簡単に在宅で就労できるのか疑問である、在宅は、かえって、仕事を狭める結果になる可能性があるとの指摘であった。また、職員の身分にもかかわる問題も含むであろうとのこと。視覚障害者本人の意見は、視覚障害者を、その他の職員と切り離す方向に向かう可能性があり、在宅就労の推進には賛成できないとのことであった。また、雇用率を、達成するまで、在宅就労は制限すべきではないかとの意見であった。
視覚障害者関連機関に期待することとして、ITに関するノウハウを研究し、公表してほしい、例えば、ウインドウズによるプログラミング方法など。 これは、会社と本人同意見であった。 また、就職後のフォロー・ノウハウの伝達が必要と指摘され、特に、就職直後の業務遂行方法には試行錯誤を繰返すことや、周囲への啓発活動等、障害当事者には、過重な負担がかかっているため、この時に、カウンセリング、各種情報の提供を関連機関が行う体制になっていることが必要であり、これが不備な場合、高い能力があっても、それを発揮する前に、つぶれてしまう可能性があるとのことであった。
法律や制度に対する要望として、会社側は、助成金の給付方法に工夫を指摘され、本当に必要な場面に、助成すべきとされ、具体的には、一律の助成ではなく、設備の充実に対しての助成等、弾力的に運用されるべきとのことであった。 ハローワークの追跡調査についても、5年以降の定着率について、まったく調査していないことに制度の不備を指摘された。
視覚障害者本人からは、雇用促進協会の各種補助における、不合理な制限の実例として、10年間での住宅補助の打ち切りなどの不合理さを指摘された。また、ハローワーク職員の各種障害に対する専門的知識の充実または、障害者雇用専門のハローワークの設立等を求めるとのことであった。 雇用率未達成時の納付金が、安すぎるのではないかとの感想も述べられた。 バリアフリー環境整備に対する、公的機関の仲介として、障害者側の要求を、公的機関が、仲介して、被要求側と交渉するシステムの導入を提案された。
視覚障害者の就労に関する意見では、これから就職を目指す人へのアドバイスとして、3年間は、やめるべきではない、そこを、乗り切ることが重要であり、最初の3年間で問題が明確になるので、できることと、できないことを、明らかにして、できないことについて、どのようなフォローを受ける必要があるかが理解されれば、道は開けるとのことであった。本人の経験からこれがもっとも重要なことではないかとのことであった。
同社としては、視覚障害者雇用においての最重要事項は、人材としての能力の発揮をいかに行なわせるかを重視しているとのことであり、他の会社へのアドバイスとして、

1.専属のサポート担当の配置は必要であること、

2.地域のボランティアとの連携が不可欠であること、

3.テスト的に障害者を就労させてみるべきであること、
(ただし、これは会社に不適合と判断した場合は、正式に雇用しないという当然の決定を気軽にできる体制が、社会に根付かないと難しいかもしれないがとのコメントあり)
の3点を挙げられた。

(大橋克己、近藤義親)

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