令和元年度情報化対応支援者講習会

日盲社協情報サービス部会は、7月31日~8月2日、日本ライトハウス情報文化センター(大阪市)で、標記講習会を20団体23人の参加で次のように実施した。
(以下、敬称略)

<第1日目>
・講義1「AIスピーカーの活用」品川博之
・講義2「最新機器の紹介」川崎市視覚障害者情報文化センター渡辺明

<第2日目>
・講義3「パソコン音声操作の基本」日本ライトハウス情報文化センター松本一寛
・講義4「iOS の視覚障害者向け設定」徳島県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター阪井紀夫
・講義5「iOS アプリ・周辺機器いろいろ」福島県点字図書館野地美行
・講義6「電話サポートについて」日本ライトハウス情報文化センター松本一寛

<第3日目>
・講義7「ロービジョンあれこれ」日本ライトハウス情報文化センター 岡田弥
・講義8「情報交換会」司会:視覚障害者生活情報センターぎふ 山村友梨子

今年は新たな試みとして、話題になっているAIスピーカーを詳しく取り上げた。話しかけるだけでいろいろなことができるので機械操作が苦手な視覚障害者に有効だと思われるが、Wi-Fi環境が必要であったり、アカウント取得の上初期設定が必要であったりと意外に課題も多いことがわかった。

また、今年は基本に帰るというということで、パソコンの音声操作の基本やiOSの視覚障害者用設定を取り上げたが、「初めて知った」「もっと聴きたかったのに、時間が足りなかった」と好評であった。

本研修会も10回目となり、何度も参加している人と初めての人が入り交じる中、どのような内容が求められているかをしっかり把握した上で、講義内容を吟味して、参加者の増加に努めていきたい。また、ここ数年大阪での開催が続いているので新たな受講者を呼ぶべく、他地域での開催も検討していきたい。

令和元年度情報化対応支援者研修会報告

相談支援コース

今年度も情報化対応支援者研修会の相談支援コースが無事に終了いたしました。
令和最初の研修会は基礎コースが11月28、29の両日に26名の方が参加して日本点字図書館で開催されました。

応用コースは年明けの2月13、14の両日に24名の方が参加し、日本ライトハウス情報文化センターを会場に実施しまし た。3年間で約50名の方が修了しました。開催・運営にご協力いただいた関係機関、関係職員の方に改めてお礼申し上げます。

この研修会は平成29年(2017)に開始して3年目の研修会です。まだよくご存じないという方も多いと思いますので、開始した経緯等について最初に書きたいと思います。

以前からよくいわれていることですが、視覚障害は情報障害ともいわれています。機器の発達や支援の充実で以前より情報へのアクセス環境はよくなったとはいえますが、まだ、なお必要な情報が十分届いていない「見えない・見えにくい方」が多いのが現状です。特に見えない・見えにくい状態になり生活が困った際に相談する場所は少なく、視覚障害関係の施設・団体があっても専門家と呼ばれる人たちは限られた施設にしかいないため十分な相談支援体制ができておりません。

一方で、充実させていくべき職員への対応はといえば、配置されている職員・教員等の多くは視覚障害についての情報や関連法律に関する知識について、また相談対応について十分な研修を受ける機会がほとんどないのが現状です。

そこで、この研修会では、職員の視覚障害に関する基礎知識の確認と相談支援体制の地域格差の解消を目指して、各施設、団体・学校の職員・教員等のスキルアップを目的に開始することとしました。

そのため、今までじっくり学んだことがない初心者の方、改めて学び直したいという方などを対象に、どなたでもご参加いただける基礎的な内容が強いものとなっています。

一人ひとりのレベルが異なる中、研修会にどの程度のプログラムを組み込むのか難しいところですが、なるべく基本的なことを組み込み、窓口や電話等ですでに実施していることの中に「相談」というシーンがあることを感じてもらうために研修内容を作っています。

研修会は基礎と応用の2回で構成をされており、基礎コースと応用コースのプログラムは下記の通りです。

基礎コースプログラム
視覚障害とは ―― 眼疾患(最新の研究、治療)・身体障害者手帳について
視覚障害リハビリテーションとは ―― 視覚障害者リハビリテーションの歴史と必要性
視覚障害者が利用できるサービス ―― 補装具・日常生活用具の申請、その他のグッズ
視覚障害者によくある困りごととその解決法 ―― 見え方・疾患での異なる問題点
相談の基本技術 ―― インテーク(障害を持つ人や家族から事情を聞き、問題点や要望を明確化し援助につなげること)の重要性、傾聴・時間管理、電話での相談ワークショップ

応用コースプログラム
相談者の身の守り方 ―― セルフケアについて、支援者の健康管理
最新機器 ―― 最新情報提供(拡大機器を中心に)
相談者が求めること ―― ニーズの把握を事例報告から
記録の取り方、まとめ方 ―― 基本情報の収集と記載方法
演習 ―― 聞き上手になるための実践演習
盲導犬について ―― 申請方法、取得基準等について
実践演習 ―― ケースの情報をもとに演習を実施

基礎コースでは、視覚障害に関する病気の基礎的な知識、用具についてや見え方による困りごとの解決法などを学び、相談対応についてもインテーク部分を取り入れています。

応用コースでは、相談の対応に関することを中心にブログラムを組んでおり、情報として知っていてほしい最新機器や盲導犬に関する知識も取り入れるようにしています。

参加者アンケートを毎回とっていますが、講師の先生方の内容のおかげもあり、ほぼすべての方に満足とご回答いただいております。今年度の応用修了者感想では以下のようなものがありました。
視覚について特化した研修はなかなかなくすぐに現場での対応ということが多い中でこのような研修があることはありがたかったです。
視覚障害に関わる研修が少ない中、幅広く視覚障害の相談業務に関わる研修を聞くことができとてもありがたかったです。
基礎編、応用編とも非常に充実した内容で参加して本当によかったです。講師の先生方のお話はどれも心に留まるような印象的な内容でした。
2回×2日間通してすごい講師の方々のお話を聞けたのだなと思います。各地からたくさんの方が参加されていたのでぜひ開催地の数を増やしてもっと展開してほしいと思いました。

今後も参加者のご意見を伺いつつ、より良い研修にして、日盲社協として視覚障害者支援者のスキルアップに貢献していきたいと考えております。

なお、研修会は1年間に基礎と応用を1度ずつ開催しています。場所は基礎・応用を関東と関西で交互に入れ替えて開催をしています。次年度は10月29、20日に大阪で基礎コース、2月18、19日に神奈川で応用コースを予定しています。多くの皆様にご参加いただき、どこの地域でも必要な情報が届けられるようになればと思っています。ぜひご参加お待ちしております。

 
 

関連記事

  1. 高齢者と障害者のための読み書き支援 「見る資料」が利用できない人への 代読 代筆 のご紹介

  2. 「みんなで知っ得『助かる』『助ける』視覚障害者のための防災対策マニュアル増補版」のご紹介

  3. 贈呈された施設代表者のコメントシーン

    東日本大震災支援活動報告

  4. 「ひとりでできる家庭料理」のご紹介

  5. 令和元年度点字指導員講習会

  6. 障害者の読書と電子書籍~見えない、見えにくい人の「読む権利」求めて~