令和元年度音訳指導員講習会

1.音訳指導員講習会報告

令和元年(2019)11月27日から29日の3日間、大阪市の玉水記念館を会場に第38回音訳指導員講習会並びに音訳指導員認定試験を実施した。あらかじめ選考試験を行い、受講者は99人だった。今年度は認定試験の年で、従来通り3日間の日程で中身の濃い講習会となった。情報サービス部会監事の橋口勇男氏の挨拶から開会した講習会の概要は、以下の通りである。

1日目(11月27日)
①大阪府立中央図書館の杉田正幸氏より「改正著作権法の施行と障害者サービスについて」。録音資料をめぐり大きく動いた法律等について、資料の製作者が知っておくべき知識や、今後必要とされるサービスについて解説していただいた。
②音訳指導員研修委員会が担当した「利用者アンケート・利用者が求める録音資料とは」。結果報告を後段に記したのでそちらをお読み願いたい。
③音訳指導員・フリーアナウンサ―として活躍中の安田知博氏による「読みの指導法」。あらかじめ録音された音源を聞き、癖のある音訳者の指導法をグループで話し合った。

2日目(11月28日)
④元静岡県点字図書館副館長の熊谷成子氏に処理技術「写真・図」のご講義をいただいた。処理の手順、説明のポイント、作文の手法等具体例を交えての内容だった。
⑤音訳指導員研修委員会担当の「録音・デイジー編集の基本」。デイジー録音と編集の基本を、養成講習会等で取り上げたい内容に絞ってまとめた。
⑥NHK放送文化研究所の塩田雄大氏より平成28年(2016)に発行された「アクセント辞典の改訂と特徴」について、新しく採用されたアクセント記号やアクセントの変遷等についてご講義いただいた。

⑦大阪市立中央図書館の松岡章子氏による「音訳に役立つ調査方法の基本」。自館でのレファレンス例を挙げながら、データベースやインターネットを使った最新の調査技術を学んだ。
⑧音訳指導員研修委員会担当の校正技術「選考課題の解説」。選考試験の課題として配布された校正問題を使って、校正研修を行う際に注意したいポイントをまとめた。

3日目(11月29日)
⑨日本ライトハウスの松本一寛氏に「視覚障害者を取り巻く先端技術」について、四つのカテゴリーで新しい読書方法をご紹介いただいた。
⑩金城学院大学教授の磯野正典氏に「発声・発音を中心に」のテーマで、楽しくできる発声発音練習や音訳活動の現状や課題についてご講義いただき、音訳の将来についても考えさせられた。
講習会終了後、認定試験を行い60名の方が合格された。

2.「利用者アンケート利用者が求める録音資料とは」の報告

今回の研修会では利用者に対して録音資料の質に関するアンケートを実施し、その結果を発表することにした。音訳者にとって録音資料の利用者からの意見はとても知りたい情報であるはずだが、これまでこうした本格的な調査は行われなかった。そこで、初めての試みとなる今回は録音資料全般にわたる質問を総合的に行うこととした。さらに踏み込んだ調査については、今回の調査で「モニター協力者」を募り、その人たちを対象に次回以降に行うこととした。

以下、主な結果を紹介したい。

調査期間中の約3か月の間に329人から回答があった。回答者の多くは60代以上で全体の71%(236人)を占め、10代~30代の3.3%(11人)との差が際立った。

読書量は週に2~3冊程度が33%(99人)、続いて週に4冊以上が21%(71人)と、合わせて半数を超え、多読の人が多いことがわかる。複数回答を求めたよく読む分野では小説・エッセイがもっとも多く、雑誌が続いた。他の分野への希望も多岐にわたり、マンガや美術書など処理の必要なものやニュースや新聞など、即時性のある資料のニーズも明らかになった。

再生機器はプレクストークが多く、マイブックなどのPCソフトを使っている人も目立った。それに対して、タブレットやスマートフォンを使っている人は今回の調査では少数派だった。回答者が比較的高齢の方が多かったことが関係しているかもしれない。

録音資料の質について、まず満足度の質問では満足が40%(132人)、おおむね満足が41%(138人)の合わせて81%だった。その後の質に関する質問は「不満」14%(49人)、「大いに不満」0.6%(2人)と答えた人(51人)に対して行った。以下は複数回答の結果である。

どのようなところに不満があるかという質問には「音訳者の読みの質に問題がある」とした人がもっとも多く、「音の大きさや雑音など録音の質に問題がある」などと続いた。「音訳者の読みに問題がある」と答えた人(39人)に今度は音訳者の読みのどのようなところに問題を感じるかを聞いた。その結果は「言葉がはっきりしない」「不自然なアクセントがある」が上位にきて、「読みが単調で、メリハリがない」などが続いた。

「音の大きさや雑音など録音の質に問題がある」と答えた人(25人)にどんな点に問題を感じるかを聞いたところ、「読みの後ろに聞こえる『ジー、ブーン』という電気ノイズのような音」がもっとも多く、「読み直しが明らかにわかる音質の違い」が続いた。音訳者が特に気にしがちな口中音は6人と下位にとどまった。「デイジー資料として編集の質に問題がある」とした人(16人)にどのような箇所に問題を感じるか聞いたところ、「製作施設・団体等で編集方法が違う」「目次通りの適切な見出しやレベルでないため移動ができない」が続いた。

自由記述で聞いた、今後録音図書に期待することとしては「多様なジャンルの図書を充実させてほしい」「完成までの期間を短くしてほしい」「将来にわたり、製作体制を安定させるため努力してほしい」「言葉をはっきりしてほしい」「会話部分の読み方への注文」等々、多岐にわたる意見が寄せられた。

最後にこのアンケートにご協力いただいた皆様に心よりお礼を申し上げる。

 
 

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