日盲社協通信 平成27年(2015年)4月号(通巻70号)

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日盲社協通信 平成27年(2015年)4月号(通巻70号)
編集人:福山博   発行人:髙橋秀治
発行所:社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)
National Council of the Agencies of the Welfare for the Blind (NCAWB)
http://www.ncawb.org/

もくじ
嵐を承知の上で 理事長 髙橋秀治 1
視覚障害者の施設経営 常務理事 舛尾政美 2
春風に乗って「日盲社協レッツゴー事業所」5月スタート 常務理事 髙橋秀夫 3
じっくりと、そして軽やかに 常務理事 長岡雄一 5
退任にあたって 前常務理事 岩上義則 6
<福島大会>ご来県をお待ちしています 福島県点字図書館長 中村雅彦 7
(誌上慶祝会)岡本館長の厚生労働大臣表彰を祝して、「エーデル」の藤野稔寛氏、
 内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン「優良賞」受賞、高橋豊治先生生誕
 120年記念祝賀会 8
日盲社協役員等名簿一覧 10
平成26年度第33回音訳指導技術講習会 日盲社協・音訳指導員研修委員長 堀江達朗 11
生活施設部会の施設長並びに職員研修会 生活施設部会長 茂木幹央 12
平成26年度自立支援施設部会職員研修会報告 自立支援施設部会長 山下文明 13
点字の未来、私たちの未来 ~ 点字出版部会職員研修会開かれる ~
 日本ライトハウス点字情報技術センター所長 福井哲也 14
自治体点字広報の実態調査報告 点字出版部会自治体広報啓発委員長 坂本健次郎 15
明日を切り拓く“志”に期待して 前点字出版部会長 田中正和 16
点字出版部会長就任にあたって 点字出版部会長 肥後正幸 17
国政選挙の原稿入手は体力と根性だ! 日本点字図書館図書情報課長 勢木一功 18
『点字版選挙公報製作必携』の発行と職員研修会 「必携」編集委員長 渡辺昭一   19
多彩な人材を誇る日本点字技能師協会 日本点字技能師協会理事長 中山敬 20
日盲社協事務局だより 21
編集後記 22

嵐を承知の上で

理事長 髙橋秀治
 新事業年度を迎えるにあたり、当面の課題を幾つか拾ってみたい。
 皆さんの所属する施設にもそれぞれ大きな課題があると思うが、そのことを踏まえつつ、日盲社協にもご尽力をお願いしたい。
 まず、一つ目は5月から同行援護事業が本部でスタートする。大変な難産であったが、どうにかこぎ着けた。本部事務局を始め、全国的な視野で各施設の応援をお願いしたい。
 二つ目は当会が東京都から指定管理を受けて30年余手がけてきた東京都視覚障害者生活支援センターが、2年後は独立して経営するようにとの打診があった。
 これまでの実績を踏まえれば、当然避けて通れるものではない。平成29年からどういう経営方針でいけるのか、厳しいチェックが必要である。
 そして三つ目は、長年の課題である盲人ホーム杉光園の経営立て直しの促進である。年来の懸案事項であったが、決め手を欠いて今日を迎えている。
 いずれも悩ましい問題ではあるが、先送りはできないものばかりである。
 さて、今年6月の全国大会は福島市で行われる。福島開催は岩上前事務局長が早くから提案していたが、現地の事情があって叶わず、今回ようやく実現にこぎ着けた。
 震災以後、現地の皆さんがどう復興と関わって来られたか。処理しきれない原発の今後はどうあるべきと考えているのか、聞かせて欲しいことはたくさんある。
 そして、たまたま災害を免れた私たちは、これからいつ来るかわからない災害と復興の問題に、どう取り組んでいったらいいのかなど、現地の皆さんと話し合いができればと期待している。
 また、昨年来、眼科医の先生方が視覚障害者の自立について深い関心を持ち、実際に眼科学会では機会あるごとに、具体的に何ができるかについて活動をしていると聞く。その中心におられる仲泊聡医師(国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部長)の考えや、地元の医師の実践などを聞き、そこから、施設にいる私たちもどう関わっていけるのかについて、大いに議論してみたい。
 幸いなことに、私たちの大会が終わった日の午後、隣のホテルで視覚障害リハビリテーション協会の大会が開かれる。関心のある方はそちらも聞いて欲しい。
 とくに自立支援施設部会は、この問題にすぐにも対応できるのではないかと思うが、どうだろうか。また、仲泊先生は情報サービス部会にも大きな関心を持っておられるので、同部会でも対応して欲しい。
 悩みはつきないが、やるべきことはたくさんある。一挙に何もかも片付くはずはないが、猛烈な嵐を承知の上で、よろしく、よろしくお願いする次第である。

視覚障害者の施設経営

常務理事 舛尾政美
 医療保険料と介護保険料が毎年限りなく増え続けることが大きな問題となって久しいが、今回やっと厚労省は重い腰を上げた。そして2月24日、全国厚生労働関係部局長会議を開き、大変厳しい改善策を発表した。
 医療保険において軽症患者が重症向けベッドに入院するケースの解消や平成37年に団塊の世代が全員75歳以上になる、その想定によりベッド数を調整する。介護保険においては事業費を大幅に引き下げるとともに利用者の負担の利率を引き上げる、たとえば年収160万円以上の者はこれまでの1割から2割に引き上げる。しかもこれらのことは新年度から開始するとしており、病院や事業所に大きな影響を与えるとともに一般庶民に大きな不安や負担を与えることになる。
 これまで数年間にわたって大規模病院は規模を拡大し、所属の「介護老人保健施設」を増やすなど患者数の拡大を進めてきた。
 一般企業の中には大型の有料老人ホームや特養(介護老人福祉施設)など介護保険からみの事業を拡大し、介護保険料が限りなく増加する一因となっている。
 山口県のわが法人では、平成26年度介護保険関係の外部利用型特定施設において30%以上の減収となり、介護保険関係のヘルパー派遣事業所においても30%以上の減収になっている。今回の厚労省の方針発表により、平成27年度は介護保険に関係する事業所は前年度比50%以上の減収となり、事業継続も危ぶまれる見通しとなっている。
 今ここで思い出されるのは、介護保険が始まった当初、日盲連の全国研修会で厚労省の課長が「介護保険が始まれば素晴らしいサービスによって、必ず幸せな生活が出来るに違いない」と説明したことだ。
 その時、私は「障害基礎年金を主な収入として生活する視覚障害者にとって、そして低所得者にとって介護保険は絵に描いた餅で実際は利用出来ない、その対策は?」と質問したのに対して同課長は「いずれ消費税の増税が実現して、年金が大幅に引き上げられることになり解決される」と答えた。しかし消費税は、来年10月には10%になると言われているが、年金が増えるという話は出ていない。介護保険は低所得者にはほとんど使うことが出来ないのだ。
 視覚障害者は少数派であり、ほとんどが低所得者である。こうした視覚障害者の施設は当然小規模の施設になりがちで、小規模の施設では複数の施設が連携して相互に協力することが必要となる。
 そうした認識の上に立って山口県のわが法人も、特定施設の空き部屋などを利用して、新たにグループホームを設置経営することは出来ないか、グループホームと他の施設の連携と協力によりさらに多角経営を進めていくことで当面の危機を何とか切り抜けられないかなど対応を検討している。(山口県盲人福祉協会理事長)

春風に乗って
「日盲社協レッツゴー事業所」5月スタート

常務理事・事務局長 髙橋秀夫
 薄味の京風筍ご飯に塩漬けされた桜の花をのせただけの上品な桜ご飯を炊いてみました。予想外の美味しさに満足して楽しい自炊生活のスタートを切りました。妻が孫の保育園の送り迎えのため山梨県に移り住み、私は千葉県で単身生活なのです。
ところで単身暮らしの視覚障害者に朗報です。若葉の季節にスタートする「日盲社協レッツゴー事業所」では、同行援護事業を本年度、東京23区で展開します。
 例えば、人は会議に、買い物にと外出することにより、コミュニケーションが生まれ、そこから疎外感が癒されることも多いはずです。そこで本事業では一人ひとりのニーズに応じてガイドを派遣し、一人ひとりが元気に、いきいきと暮らせるようなお手伝いを行います。
 以下、「日盲社協レッツゴー事業所」の事業計画です。

    事業計画
 社会福祉法人の事業運営の土台である経営の効率化・安定化を図るためには、法人全体で採算をとることが不可欠で、そのためには、複数の施設・事業を運営し、多角的な経営を行う「規模の拡大」を目指すことが有効であるとされています。こうした観点から日盲社協では、昨年6月から「同行援護事業所」開設の準備を進めており、この5月から事業を開始致します。
事業所開設の背景には、社会構造の転換が進んでおり、高齢化、核家族化に象徴される家族構成機能に変化が起こり、一人暮らしと高齢夫婦のみの世帯が著しく増加する超高齢社会があります。これは視覚障害者世帯でも同様です。
 その中には、外出に関する不安や経済的理由などにより、自らが希望する外出が実現できないため人との関わりが遠のき、対話の楽しみすら諦めてしまう方が多くなってきている現実があります。
そこで「規模の拡大」を目指す事業として、視覚障害者の生きがいのため、楽しみのための同行援護サービスを提供することは、社会的存在意義があり、価値ある事業だと位置づけました。
 開設する日盲社協レッツゴー事業所は、外出時の多様なニーズに応えるべくガイドヘルパーを派遣して、利用者の満足度の高いサービス提供を効果的・効率的に行い、質の高いサービス提供に努めます。
本年度は、営利事業者にはない、社会福祉法人の「非営利性」「安定性」に立脚した、以下の取り組みを展開します。
①官公庁、金融機関等の手続きを目的とする代筆・代読支援
 ②公的機関や各種団体の行事等への移動支援・情報提供
 ③通院のための移動支援
 ④日常の外出および生活必需品の買い物等の移動支援・情報提供
 ⑤レクリエーション等へ参加する際の移動支援・情報提供
 ⑥レジャー、趣味等のための移動支援・情報提供
 ⑦会議・冠婚葬祭等への出席への移動支援・情報提供

    経営の理念
 この事業を通じて、暑い日にはそっと日陰をつくり、利用者を元気にし、健康で楽しい生活をつくるために貢献します。

    運営方針
 1.利用者に安心、活力、満足を感じていただき、喜んでいただけることを業務とします。
 2.謙虚におごらず人格を高め、関わりあう人々と強調することで、調和のとれた運営に努めます。
 3.同行援護の基本とルールを守ります。

    行動規範
 1.法令や運営規定を尊守するとともに、社会人として良識のある行動、かつ誠実な事業活動を遂行します。
 2.リスクに対する感度を高め、その発見および未然防止、ならびに適切な対応に努めます。

    経営目標
 本部借入金を3年目まで組み入れて、4年目から経常利益で事業を展開します。
 目標を達成させるためには、新規利用者確保が必須です。そこで、以下のマーケティングの仕組みを構築します。
 1.データベース・マーケティング:依頼情報を元に、利用者一人ひとりをデータベース化し、そのデータを分析したうえで、利用者の再依頼の維持・確保に努めます。
 2.タイムリーな情報提供:ホームページ、メルマガなどのサービスを活用して、メールを定期的に配信して、利用者にタイムリーな情報を提供します。
 3.ワン・ツウ・ワン・マーケティング:ファンとなった利用者に対して、特別なプログラムを提供し、深く長い関係を維持していきます。

    職員配置と従業者の待遇
 職員配置は、以下の通りです。
 ①管理者:1人(常勤)
 ②サービス提供責任者:事業に応じて1人以上(常勤)
 ③同行援護従業者(ガイドヘルパー):常勤換算で2.5人以上(非常勤・パート)
④同行援護従事者の時給:1,100円(開設時の契約者は1,200円)
⑤交通費の支給:実費を支給する
⑥割増以外に支給する手当:健康診断(半額補助)、当日のキャンセル手当(時給)

    ガイドヘルパー研修
 「同行援護に関する実態把握と課題について」(平成26年3月)の調査結果によると、同行援護従事者に対しての満足度は、有効回答数823人のうち満足しているが36.8%、概ね満足が36.8%、やや不満が8.9%、不満が1.6%でした。
 この調査から提供するサービスの質を確保・向上させることは、サービス提供主体にとって重要な課題です。そこで、本年度は以下の研修を行います。
 1.ガイドヘルパー研修を東京都視覚障害者生活支援センターで実施します。
 2.相互信頼、有効な人間関係構築のコミュニケーション能力の養成を、自立支援施設部会で実施します。

じっくりと、そして軽やかに

常務理事 長岡雄一
最近は、桜の開花が早く、卒業式と桜が重なり、入学式と桜の組み合わせが薄れた感があります。今年も東京では、入学式には葉桜になってしまった所もあったようです。
桜までも、時を急ぐ必要はないと思うのですが、やはり、時の移り変わりは早くなっているのでしょうか。じっくりと腰を据えて、課題に取り組もうとしても、それを許さない雰囲気も感じます。とにかく、早く片付けなくてはいけない。次へ次へと進まなくてはいけない。
確かに、課題を早めに片付けていくことは大切なことですが、時間をじっくりかけて、それなりの結論を導き出すことは、やはり非常に意味のあることだと感じています。
今、じっくりと取り組んでいる課題。私にとっては、東京都視覚障害者生活支援センターの民間移譲の問題が一番大きく、また、優先的な課題であることに間違いはありません。
しかし、そう簡単にはすべて結論を出すことはできない問題です。どんな事業を、どんな体制で実施していくのか、職員間でも議論の真っ最中です。
さらに、そうしたセンターを取り巻く社会的な状況へのアプローチ。これは、センターだけではなく、広く関係者の取り組みが求められます。
各地の視覚障害者関係の施設や事業所が一番頭を悩ませていると思われる利用率の問題。これは、決して一施設、一事業所で解決できることではありません。
 理念的に言えば、こうした施設や事業所が、社会のさまざまな地域の関係機関の中で、どんな位置づけにされているのかを改めて問い直す、ということになるのでしょうが、今は、この点に関しては、じっくり構えている時間はないと思います。
何としても、利用率を確保しなくてはいけない現状では、医療への積極的なアプローチは喫緊の課題です。今、医療からのアプローチが続いている時期に、リアクションをしっかりと起こしていくことは非常に大切なことです。
なかでも自立支援施設部会は、医療と関係の強い施設、事業所を多く抱えており、リアクションの先頭に立っていくべき部会です。ただ、部会だけで解決することは決してやさしくありませんし、望ましくもありません。視覚障害のリハビリテーションは、図書等の情報関係や用具等と切り離して議論を進めることは決してできないものです。
 そして、そこにこそ日盲社協の存在意義はあるのだと思います。「じっくりと、そして軽やかに」一緒に進んでいけるようにしたいものです。

退任にあたって

前常務理事 岩上義則
 年度が変わり、日盲社協も新年度に入りました。陣容を一新して、新規事業も動き出すはずです。活気に溢れた活動が展開されるものと期待されます。
 そんな中で、私は、去る3月31日、ちょうど改選期を迎えたのを機に、長い間務めさせていただいた日盲社協の常務理事・事務局長を退任いたしました。
 実に清々しく去ることができて幸せに思います。際立つ実績も残せず、貢献もできなかったことにもの足りなさはあるものの、日盲社協の堅実な成長と加盟施設間の融和を見守ることができたのは、とても大きな喜びです。
 私が初めて理事(点字出版部会長)になったのは平成7年(1995年)のことで、板山賢治先生が理事長に就任されたときでした。
 「仲良しクラブ」の要素が濃かった日盲社協に、「施設が発展するためには日盲社協が元気で行動する姿を示さなければならない」とのお考えから、「行動する日盲社協」を提唱されたのでした。
 「古今を通して、盲人は常に芸能・芸術の担い手として元気に活躍していた。だから、まずは、そうした盲人の元気を社会にアピールすることで、ノーマライゼーションを近づけよう」と言われたものでした。
 そして、府中の森芸術劇場で視覚障害者の優れた芸能発表会を開催したのです。行動する日盲社協は板山先生の引退で弱まりましたが、「元気な日盲社協」はそれ以来続いていると信じています。
 私は、評議員の時期を含めれば30年近くも日盲社協に在任しましたが、微力な私を育ててくださったのは、1980年代に点字出版部会長をしておられた元日本ライトハウス常務理事の宮田信直さんでした。
 宮田さんは、日盲社協の発展に情熱を注いだ敬愛できる人でした。その人に引き立てられたことが、今日までの私を支え続けてくれたものと感謝しています。
 さて、これから日盲社協に、どんな風が吹いてくるのでしょうか。厳しい冬の時代を覚悟しなければならないかも知れません。それは、社会福祉法人の活動や財政に鋭い視線が向けられ始めたからです。
 生ぬるい体質、事業の停滞を許さない厳しい視線を感じることがあります。日盲社協は誠実に事業を進めていますが、実績が上がらない部分もあります。加盟施設の力強い協力のもと、魅力ある法人に発展することを願いつつ、これまでの私へのご支援とご指導に心からのお礼を申し上げて退任の挨拶に代えさせていただきます。

<福島大会>
ご来県をお待ちしています

福島県点字図書館長 中村雅彦
 第63回全国盲人福祉施設大会が福島県において開催されることになりました。全国の関係施設の皆様方のご来県を心よりお待ち申し上げます。
 平成23年3月に発生した東日本大震災で、本県は地震と津波と原子炉事故の三重の被害を受けました。一時6万人いた県外避難者も本年2月には4万人台になり、放射線量の低下とともに避難者が減少し、復興に向け大きな動きを見せております。
 本県は本年4月から6月まで、最大級のディスティネーションキャンペーンを展開します。「福が満開、福のしま」をスローガンに国内有数の観光地づくりを目指して県内各地で、おもてなしの心を大切に、郷土食や伝統工芸、温泉地、歴史施設など全県挙げてアピールしますので、活気溢れる福島を感じて、風評を払拭していただきたいと願っております。
 本大会の会場近くには、福島駅や県の観光物産館があり、本県の名産品や風味豊かな地酒を数多く販売していますので、ご購入いただければ幸いです。また、お時間に余裕のある方は、NHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台となった歴史の町「会津若松市」を訪ねるのも良いでしょう。
 全国の皆様のご支援をいただき、震災前の姿に戻りつつある福島県で開催される本大会を、障害者の災害に対する心構えや支援体制作り、避難方法などについて考える機会とし、互いに情報を交換して今後に役
 立てていただきたいと願っております。

会場:ザ・セレクトン福島(旧福島ビューホテル)
〒960-8068福島市太田町13-73 TEL:024-531-1111

日程
6月25日(木)
12:00~13:00:受付
13:00~13:15:開会式・オリエンテーション
13:30~16:00:研修会
16:10~17:40:事業部会(5部会)
18:00~20:00:交流会

6月26日(金)
09:00~10:30:講演・受賞者懇談会
10:45~12:00:式典(表彰・来賓祝辞等)
12:00~15:00:盲人用具展示会

 主管施設:福島県点字図書館
〒960-8002 福島市森合町6-7
TEL:024-531-4950 FAX:024-534-0522

誌上慶祝会
岡本館長の厚生労働大臣表彰を祝して
~きめ細やかさと抜群の歌唱力~
都城市点字図書館長 又木勝人
昨年12月、山口県盲人福祉協会点字図書館の岡本博美館長が社会参加促進功労者として厚生労働大臣表彰を受賞されました。情報サービス部会長としてのきめ細やかで真摯な取組みに刺激を受けている後輩として、心よりお祝い申しあげます。
岡本館長の視覚障害者福祉との出会いは山口県初の盲老人ホーム設立準備事務担当となられた昭和60年だったそうです。
その後、養護老人ホーム「春光苑」事務長、平成11年より点字図書館長としてご活躍なさっています。
 また、情報提供施設の他にも、視覚障害者のグループホーム、デイサービス、就労継続事業所等の立ち上げや当事者団体、鍼灸マッサージ師会等、永年にわたって、幅広く携わっておられます。
 実は、その岡本館長には“知る人ぞ知る”特技があります。
 それは「抜群の歌唱力の持ち主」だという事です。なんでも以前「NHKのど自慢」でも優秀な成績を上げられたとか…。
 私もカラオケにご一緒させていただいたことがありますが〝凄い〟の一言です!
 どうぞ、皆さんも、お聴きになられてはいかがでしょうか!
岡本館長、熱いバイタリティーで今後益々のご活躍をご祈念申しあげます。

「エーデル」の藤野稔寛氏、内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン「優良賞」受賞
ジェイ・ティー・アール代表取締役 岡村原正
 情報提供施設や盲学校等で広く使われている無償の図形点訳ソフト「エーデル」、その開発者で高校非常勤講師の藤野稔寛氏が、内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン表彰で優良賞を受賞された。この賞は最優秀の内閣総理大臣賞に次ぐもので、個人での受賞は初めてとなる。
 図形点訳ソフト「エーデル」開発のきっかけは、藤野氏が徳島県立盲学校で数学の教師をしていた25年前にあった。
 数学のテストに図形は不可欠であり、その当時から点作図プロッタ機能を搭載した点字プリンターはあったが、その機能を利用したソフトウェアは無かった。そのため大変苦労をして教材作成をしていたという。その頃の点図は、紙に鉛筆などで下図を書きピンセット型点字校正器で一点ずつ打点する方法か、または毛糸など太さの異なる糸を多用し糊で張り付ける方法等、いずれにしろ複製など出来ない手作り品に近いものであった。
 名古屋大学理学部物理学科を卒業した藤野先生も最初からソフトウェア開発のスキルがあった訳ではない。すべて独学でプログラミング技術を習得し、コツコツ作り上げて行ったそうだ。
 また今回の受賞には、開発後もユーザーからの改良要請に対し、20年以上にわたり真摯にアップデートし続けた努力に対する評価も含まれているという。
 そうした完成度の高い「エーデル」を使用した大きなプロジェクトがあった。
 筑波技術大学の障害者高等教育研究支援センターで行われた「チャート式基礎からの数学」の全巻完全点訳事業である。その規模は全208巻、1万5,909ページ。
 藤野氏も、この事業はこれからの図形点訳の指針になり得ると自負する。しかしそんな氏にも悩みがあるという。
 後継者の問題である。今や点訳の世界に無くてはならぬ「エーデル」だが、自分の63歳という年齢を考えると、このまま一人で現状を支えるには限界がある。本来なら行政や民間の団体なりで引き受けてもらえれば安心だが、実現していない。せめて個人でも支えてくれる人が欲しいという。
 この問題は、視覚障害者用機器の世界でも同様である。藤野氏の末永い御健康を願うばかりである。

高橋豊治先生生誕120年記念祝賀会
      東京ヘレン・ケラー協会点字出版所長 福山 博
 3月14日(土)、東京都中野区の中野サンプラザにおいて、関係者約100人を集めて、社会福祉法人桜雲会の創立者・高橋豊治先生の生誕120年を祝う式典と祝賀会が開催された。
 式典では元NHKチーフディレクターの川野楠己氏と元筑波大学附属視覚特別支援学校教諭の岩崎洋二氏が高橋豊治先生の人となりや業績を紹介する記念講演を行った。そして、声優の益田沙稚子氏が「高橋豊治先生の人生」を一人芝居で演じた。
 高橋豊治先生(1894~1976)は、黎明期の日盲社協を支えたお一人で、常務理事、監事を歴任された方である。
 (写真)挨拶する桜雲会高橋昌巳理事長

日盲社協役員等名簿一覧
 平成27年4月1日付で日盲社協の新しい理事・監事・評議員が選任されました(以下、敬称略)
 名誉会長:本間昭雄(聖明福祉協会理事長)
 顧問:田中亮治(東京光の家理事長)
 参与:高橋實(視覚障害者支援総合センター理事長)
 理事長・評議員:髙橋秀治(ぶどうの木ロゴス点字図書館長)
 常務理事・評議員:舛尾政美(山口県盲人福祉協会理事長)
 常務理事・評議員:髙橋秀夫(日盲社協同行援護事業所開設準備室長)
 常務理事・評議員:長岡雄一(東京都視覚障害者生活支援センター所長)
 理事・評議員:茂木幹央(日本失明者協会理事長)
 理事・評議員:肥後正幸(東京点字出版所理事長)
 理事・評議員:岡本博美(山口県盲人福祉協会点字図書館長)
 理事・評議員:山下文明(名古屋ライトハウス法人事務局長)
 理事・評議員:荒川明宏(ラビット代表取締役社長)
 理事・評議員:吉川明(日本盲導犬協会理事)
 監事:秋山寛(社会福祉振興・試験センター参与)
 監事:島田功(島田税理士事務所所長・税理士)
 評議員:竹下義樹(日本盲人会連合会長)
 評議員:幸田昭一(東京都大田区副区長)
 評議員:光岡法之(日本盲人職能開発センター相談役)
 評議員:金井博(友愛十字会事務局長・友愛ホーム園長)
 評議員:橋口勇男(日本ライトハウス専務理事)
 評議員:又木勝人(都城市点字図書館長)
 評議員:姉崎久志(神奈川県ライトセンター顧問)
 評議員:山口規子(関西盲人ホーム施設長)
 評議員:藤巻契司(東京光の家救護施設光の家神愛園副園長)
 評議員:岡村原正(ジェイ・ティー・アール代表取締役)
 評議員:堺真理(日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター副所長)

平成26年度第33回音訳指導技術講習会
(第7回認定者対象講習会)
日盲社協・音訳指導員研修委員長 堀江達朗
 11月19日(水)~11月21日(金)大阪市西区の玉水記念館において標記講習会を、受講者121人で実施した。

1日目 ①「ボランティア養成概論」講師堀江達朗(東京ヘレン・ケラー協会):ボランティア募集から新人養成までのあり方・内容について、講習会等における指導者の心構えなど、活動の目的を常に意識しつつ、活動することの大切さを示した。
②「音声表現技術Ⅰ ~ 発声・発音について」講師 兄父由起子(元福井県視覚障害者福祉協会情報提供センター):発声・発音の基礎から、呼吸法までを実際に受講者に体感させながら説明。また、呼吸法の取得方法や普段できる練習方法を示し、講習会などでの実践方法を伝えた。
③「デイジー編集技術」講師 宮本千里(音訳指導員研修委員):音声デイジー資料の編集について、「編集の意味と、そのように編集するとリスナーは、デイジー再生機でどのようなことができるのか」を卓上再生機を用いて説明した。

2日目 ①「音声表現技術Ⅱ」講師 小林妙子(デイジー枚方):事前アンケートで、普段、音訳の指導の場で困っていること、難しいと思われることなどを踏まえた上で、広い意味での音声による情報の伝達ということについて、その役割、その指導方法について説明した。
②「処理技術」講師 香川恵(音訳指導員研修委員会):8 人1グループ、15 グループによるディスカッション。図・イラスト・漫画など課題は4種類。それぞれぞれ一つの課題について、約1時間かけて「グループディスカッション」「発表」「委員による解説」を行った。
③「録音技術」講師 和田尚(島根県西部視聴覚障害者情報センター):録音にまつわる機器とトラブル対処法などについて説明。機器の紹介については、実際に紹介する機器を使用しての録音音声を会場に流し、その違いを示した。

3日目 ①「校正技術」講師 熊谷成子(元静岡県点字図書館):録音資料製作における校正の問題点を提示し、さらにその対処方法について説明。資料のクオリティを保つために、どのようなことが大切であるかを具体例を示した。
②(パネルディスカッション)「視覚障害者福祉概論 ~ 音訳の未来と合成音声」パネラー岡本昇、服部敦司(ともに音声による情報を提供し、利用する立場として)、久保田文、(全視情協・電子書籍委員会委員長)、進行 堀江達朗:録音資料製作においての合成音声の現状、また合成音声と肉声の音声との役割と分担について関係者の意見を聞いた。

生活施設部会の
施設長並びに職員研修会
生活施設部会長 茂木幹央
 日盲社協生活施設部会は平成26年度の施設長並びに職員研修会を、昨年(平成26年)11月27・28の両日、三重県伊賀市の上野フレックスホテルをメイン会場に、参加者37名で開催しました。
 主管施設は、社会福祉法人伊賀市社会事業協会の盲養護老人ホーム梨ノ木園で、西岡時彦理事長を初め、薮内勝施設長他の役職員のみなさまには、何からなにまで本当にお世話になりました。ここに改めて、衷心より感謝と御礼を申し上げます。
 また、なにかと出費の多い折にもかかわらず、同研修会にご参加いただきました施設のみなさまにも深く感謝致します。

    11月27日(木)
 13時30分からの開会式では、来賓の伊賀市岡本栄市長からご祝辞をいただきました。当地における伊賀市社会事業協会と行政との深いつながりを感じた次第でした。
 14時からの「講演Ⅰ」では、伊勢神宮神宮司庁学芸員の深田一郎先生による「心と技の伝承 ―― せんぐう館のこころみ」と題する、三重県ならではの講演が行われました。なお、平成25年1月から12月までの伊勢神宮の参拝者は、1,420万人とのことでした。
 15時50分からの「講演Ⅱ」では、藤田保健衛生大学医学部歯科助教の中川量晴先生による「摂食嚥下障害がある方に対する食事支援」と題する講演がありました。
 口腔ケアとか、誤嚥性肺炎が注目されている時にあって、時宜にかなった大変よい勉強をさせていただきました。
 17時からは、写真撮影と宿泊チェックイン。そして、18時から20時まで交流会が開催され、美味しい「伊賀牛」と地酒をいただきながら、西岡理事長をはじめとする幹部職員のみなさんと、盲界昔話や福祉談義を行いました。

    11月28日(金)
 8時50分から開催された分科会では、「在宅視覚障害者への支援」というテーマで話し合いを行いました。
 10時から閉会式を行い、その後は移動して、10時30分から11時20分まで梨の木園の見学をさせていただきました。とくに食堂の椅子、防火設備、観音堂等に見られる優れた工夫やアイデアに感動しました。
 盆地のまち伊賀市は、朝は大変霧が深いところでした。
 梨の木園のみなさま、本当にありがとうございました。

平成26年度自立支援施設部会職員研修会報告
自立支援施設部会長 山下文明
平成26年度自立支援施設部会は職員研修会を、名古屋駅から徒歩2分にあるTKPガーデンシティ名古屋において、平成27年2月5・6の両日開催しました。
「視覚障害者の就労とその支援」をメインテーマにした今回の研修会には、全国から15施設、28人が参加しました。
1日目は4件の「事例実践報告」が行われました。
 (1)自身も当事者として訓練する立場から(株)富士通システムズの星野史充氏による名古屋盲人情報文化センターにおける多岐にわたるIT訓練の実践報告。
 (2)実際に視覚障害者雇用を進めている現場から(株)山田商会木田詞也総務課長による職場一体となっての支援実践報告。
 (3)NPO法人ジョブジョイ平野祐子理事長による治療技術の底上げを問題意識に、制度に依らず自主的に開催している治療師スキルアップ講習会の実践報告。
 (4)京都視覚障害者支援センターの小林茂・高田寛両氏による就労継続支援事業A型として先駆的に運営する「らくさい治療院」の運営と利用者支援の専門的実践報告。 どの報告も現場ならではのご苦労や喜びが、熱い想いと共に研修参加者全員に伝わり大いに感銘を受けました。
 2日目は、「障害者差別解消法が視覚障害者の就労にもたらすもの」と題し、視覚障害当事者として最前線で活躍されている田中伸明弁護士が、平成28年4月施行予定の「障害者差別解消法」と就労現場との係りについて講演してくださいました。
 障害者権利条約の批准からの流れ、合理的配慮とそのガイドラインについて、改正障害者雇用促進法の詳細な説明と意義についてなど大変解りやすいお話しをしていただきました。
 今回の研修会では、多様な施設・事業が参加する当部会において「就労支援」に視点を絞ることにより、明確で専門的な研修会を行うことができました。
 就労支援と直接的な関わりのない事業の職員においても、様々なサービスを利用する当事者の総合的な生活支援の観点から意味のある知識の習得と情報共有ができたと感じました。

点字の未来、私たちの未来
~ 点字出版部会職員研修会開かれる ~
日本ライトハウス点字情報技術センター所長 福井哲也
 平成26年度点字出版部会職員研修会が、2月19日・20日、石川県視覚障害者情報文化センターで開催された。参加者は12施設から27人。
 内容は、坂本健次郎氏(京都ライトハウス)による講演「自治体点字広報の実態調査と今後の取り組み」、長尾博氏(宮城教育大学教授)による講演「視覚障害教育からみた点字の未来」、松田裕美氏(京都ライトハウス)による講演「点字図書製作にも役立つ、音訳図書製作における様々な音訳方法」、竹下義樹氏(弁護士)による講演「障害者権利条約~合理的配慮と点字出版」であった。
 ここでは長尾氏の「点字の未来」を直視した講演を取り上げる。
 長尾氏は、盲学校の教員時代に一般校に在籍する全盲の生徒の支援に当たった経験から、点字の教材があることと点字で教えることとは根本的に異なると指摘。盲学校の教員がいくら専門性を持っていても、生徒が在籍する学校の教員の意識を変えるのが相当困難だった実態を報告した。
 障害者権利条約のもとでは、点字は障害の特性に応じた配慮の一つと位置づけられ、当事者からの求めに応じて提供すべきものとされる。長尾氏は、音声による情報入手手段が完璧に発達したとしても、言葉のイメージを“形”として思い描ける点字の重要性はなくならないし、また立体物や図形を触察する力を育てることが大切と強調するが、氏の次のような大胆な“未来予測”に私は少なからずショックを受けた。
 視覚障害教育において、「重度視覚障害者は、全員点字を主とするのではなく、点字が主なのか、音声が主なのか、主たる文字へのアプローチを選択する時代となる」。「1分間に400マス前後という読み速度を求める指導・訓練はそれほど意味がなくなる」。
 権利条約にうたわれる合理的配慮は、障害者をありのままに受け入れ、当事者の選択を重視する思想に裏打ちされている。
 だが、全盲の小学生の親が学校に、「うちの子には面倒な点字より楽に使える音声を」と要望してきたとき、学校は「それは本人の“ため”にならないから是非とも点字を中心に」と親を説得できなくなるのだろうか。本人の“ため”など、もはや通用しない考え方なのだろうか。子どもの可能性を最大限引き出すことを使命とする教育の場において、合理的配慮が意味することは何なのか、私は深く考え込まざるを得なかった。

自治体点字広報の実態調査報告
点字出版部会自治体広報啓発委員長 坂本健次郎
この2月に、点字出版部会の自治体広報啓発委員会は、「『点字版自治体広報誌』に関する実態調査報告書」をまとめましたので、ここに誌面を借りて報告させていただきます。
 この調査は、全国の自治体点字広報の発行状況を把握し、点字広報の普及・啓発に取り組むことにより、視覚障害者の社会参加に貢献することを目的としています。
 昨年7月に、町村を除く全国の都道府県や政令市、市、東京23区の合わせて855自治体を対象にアンケート調査を行った結果、86%に当たる733自治体から回答をいただきました。
 今回行った調査では、設問を10項目にしぼりました。具体的には「自治体広報誌」の媒体(点字、録音、拡大文字、その他)や、点字広報を作成している自治体には、その委託先、発行部数、発行回数、「全文点訳版」か「抜粋版」かなどについて聞きました。また、点字広報を作成していない自治体には、その理由と今後の作成予定などについて聞きました。
 その結果、回答のあった自治体のうち、点字版が44%、録音版が85%、それぞれ作成していました。なかでも政令市では、全ての自治体で点字版と録音版の両方を作成していました。
点字広報の作成を点字出版所または点字図書館に合わせて119自治体(36%)が委託しており、都道府県や政令市、東京23区では点字図書館や点字出版所が多く、比較的作成部数の少ない市ではボランティアグループが135自治体(54%)と約半数を占めていました。
 点字広報の発行部数では、今回点字広報を作成していると回答した都道府県の総部数は1万6,808部という結果で、これは全国の視覚障害者数の約5%と推測されます。
 また、作成している点字広報のうち、「全文点訳版」が約4割、「抜粋版」が約6割という結果でした。
 一方で、点字広報を作成していないと回答したのが407自治体ありました。その理由は「希望がない」が最も多く228自治体(56%)で、そのほとんどを市が占めていました。その他を除いて次に多かったのが「予算がない」で93自治体(23%)でした。また、「配布対象者がわからない」(36自治体)や、「点字広報を知らない」(22自治体)などの回答も見られました。
 今回の実態調査は、点字広報の全国的な作成状況を把握することを主眼に調査・分析を行いましたが、今後も委員会で調査結果をより詳細に分析するとともに、関係団体の協力も得ながら、点字広報をはじめとする利用者の方々の情報保障の改善に繋げられるように、より一層取り組んでいく必要があると考えています。(京都ライトハウス情報製作センター)

明日を切り拓く“志”に期待して
―― 退任のご挨拶 ――
前点字出版部会長 田中正和
 皆さん、長い間大変お世話になりありがとうございました。
点字出版部会の部会長を引き受けたおかげで、私にとってはとても充実した6年間となりました。
 髙橋秀治部会長(現・日盲社協理事長)の時代には、日本盲人会連合と共同で点字版「選挙のお知らせ」(選挙公報の全訳版)を全国の都道府県に普及させ、また点字サインに関しては、点字出版部会が発行した『点字表示等に関するガイドライン』をベースに点字サインのJIS規格が制定されるなど、華々しい成果を上げられました。
 そして6年前に私にバトンが託されましたが、点字出版事業は中途視覚障害者の増加やデイジー図書の普及による点字利用の減少、図書の販売や点字印刷物の部数の減少、競争入札による価格競争の激化など、年々厳しくなる状況にさらされており、部会をどのように盛り上げて行くかは、なかなかの難題でした。
 そうした中で、何度かの国政選挙の取り組みの経験と選挙管理委員会へのアンケート調査で、点字版「選挙のお知らせ」の配布が極めて不十分であることが明らかになって来ました。また、相互に関連する点字版の自治体広報誌の実態調査にも取り組み、こちらも大きな課題があることが明らかになりました。
 今後は、障害者権利条約や障害者差別解消法を後ろ盾に、それらの課題の改善に全力を上げていく必要があります。
 新しい部会長には、点字出版界の老舗で親子3代にわたって点字出版事業を継承しておられる東京点字出版所の肥後正幸理事長に着任いただくことになりました。
 発展への足場は築かせていただいたつもりです。どうか果実を実らせていただきたく、切に願っております。
 今年1月4日からNHKの大河ドラマで「花燃ゆ」という番組が放送されています。その中で、吉田松陰や久坂玄瑞、高杉晋作らが「あなたの志は何ですか」と問いかけあっています。
 それを見ていて「志」か・・・と考えさせられました。視覚障害者福祉や世の中を振り返って見ると、確かに「志」が世の中を動かしてきたように思えてなりません。
 日盲社協も創立60周年を経て大きな節目を迎えています。ぜひ高い「志」を共有していただき、視覚障害者福祉の発展に大きな役割を担っている日盲社協を発展させていただくように願っています。
 皆さん、長らくありがとうございました。

点字出版部会長就任にあたって

点字出版部会長 肥後正幸
 田中正和氏の後を受け、私はこの4月1日より点字出版部会長の任に就くことになりました。
 点字出版所は視覚障害関係の事業の中で最も古い歴史があり、歴代の錚錚たる部会長の皆様の後を受けることは、たいへんな大役を仰せつかったと、少なからず困惑しております。
 先に行われました統一地方選挙では、選挙プロジェクトと連携して可能な限り製作の要請に応え、今後はさらなる「選挙公報点字版製作の普及・拡大」を目指します。
 そのほか点字出版部会では現在、「点字サインJIS規格の普及」、「点字図書給付事業の改善」、「自治体点字広報の啓発」、「点字普及の取り組み」等々、多くの課題をかかえています。
在任中は会員施設の皆様のご協力をいただき、一つでも多くの課題の解決をはかれるよう、努力してゆきたいと思っております。
 さて、東京点字出版所は来年で創業満90周年を迎えます。私の祖父である基一が大正15年4月に淀橋町(現在の西新宿)にひらいた「日本鍼按協会」から出発いたしました。戦中戦後の厳しい時代も休業すること無く、点字図書の出版を続けました。昭和33年に社会福祉法人の認可を受け、現在に至っております。
 基一が三療家であったため、創業当初は治療をしながら三療関係の図書を中心に出版しておりました。
 私の父でもある2代目の信之は、20数年前、昭和から平成にかけて点字出版部会長を務めておりました。視覚障害者の念願でもありました「点字図書給付事業」発足当時の部会長です。信之は俳人としての一面もあり、視覚障害者の俳句の指導と普及にも尽力いたしました。
 その父を継いで私が東京点字出版所の理事長に就任したのは、平成16年3月のことです。あっという間に11年が経ちました。パソコンの導入をはじめ、点字出版の合理化をすすめてまいりました。
 現在は創業当初から発行してきた三療関係のほか盲学校普通科・理療科教科書、国語辞典・英和辞典・和英辞典・古語辞典・ドイツ語・フランス語辞典などの辞書類、教科書の製作を通して培った触図製作の技術をいかした地図や図鑑なども手がけております。
今後も引き続き、これらの図書の発行を続けてまいります。
 最後になりますが、微力ながら使命感をもって邁進していく所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

国政選挙の原稿入手は体力と根性だ!
日本点字図書館図書情報課長 勢木一功
 この4月に古巣に戻って来ましたが、平成25年4月1日付で点字製作課への異動を命じられたときは衝撃を受けました。
 これまで私は貸し出し等の図書館業務一筋だったので、気持ちの整理がつかないまま、同年7月の参議院選挙に突入しました。当館も日本盲人福祉委員会視覚障害者選挙情報支援プロジェクト点字版部会に参加しており、「点字選挙公報」を製作するのです。
当館の役割は選挙公報原稿の入手なので、毎日、インターネットや新聞で各政党の動向を確認し、政党担当者との関係性を築くために定期的に電話を入れます。公示日の1週間前にもなれば毎日、不在であれば1日に何度も電話をかけ、選挙公報の最終原稿提供日の確約を取るのです。
 でも、早めに提供してもらっても、原稿の差替えはあり得るので、公示日を過ぎるまでは油断できず、政党担当者に1日に何度も差し替えの有無を確認します。
ところが、私にとって初めての国政選挙であるこの参議院選挙では、最後の1党だけなかなか原稿が入手できませんでした。そこで深夜、党本部に出向き、玄関近くの電柱に隠れ(?)担当者の帰宅を待ち伏せてやっと入手したこともありました。
 因果は続き、昨年12月の衆議院選挙では、国民審査の最終原稿は比較的早めに入手できたものの、比例ブロック毎の各政党からの原稿入手が困難を極めました。
突然の解散総選挙で日程的に厳しく、各政党担当者もいっぱいいっぱいで、「公示日を過ぎないと最終原稿は提供できない」といわれたり、アポをとって原稿を取りに出向くとすっぽかされたりと、散々な目に遭ったのです。
 また、「原稿は提供するが、レイアウトの確認などについては協力できない」という政党も複数あり、候補者名やスローガンの読みはなんとか確認できたものの、レイアウトなどは当館のスタッフが決め、その指示を各ブロック毎の原稿に書き込みました。そしてPDFデータにして製作担当施設に送信したのは、午前0時を回っていたことも2度ほどありました。
 家には帰れず、近くのコンビニで替えの下着、シャンプー、石鹸、歯ブラシ、タオル、食料、『東京スポーツ』を買い込んで高田馬場を歩いていると、警察官にじろじろ見られる始末で、図書館の自分の席に戻った時には午前3時を回っていました。
 「もう、嫌だ!!」と口走りながらも、すべてのブロック担当の製作施設への原稿送信が完了すると、髙橋部会長をはじめ点字版部会に加盟する多くの方々からお言葉をいただきました。感謝です!!
 深夜ひとり、自分の席で・・・、泣きはしませんが、何ともいえない達成感と新鮮な気分でした。国政選挙の原稿入手は、体力と根性だと確信した一瞬でした。(日本点字図書館 前点字製作課長)

『点字版選挙公報製作必携』の発行と職員研修会
『点字版選挙公報製作必携』編集委員長 渡辺昭一
 本年1月に、墨字版と点字版からなる『点字版選挙公報製作必携』(以下、「必携」と略す)を、日本盲人福祉委員会から発行することができました。
 ここでいう点字版選挙公報とは、「点字毎日号外」として発行する「選挙のお知らせ」のことで、国政選挙や知事選挙等については、各地の選管の注文を受けて全文点訳版として発行しているものです。
 この点字版選挙公報を製作するために、全国の点字出版施設等が「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト」(以下「プロジェクト」と略す)を設立して、組織的に取り組んできました。そして、「必携」は、プロジェクトの仕事をスムーズに進めることを目的に、点字版選挙公報の製作に役立つマニュアルとして誕生したものです。
 この「必携」には、二つの大きな特徴があります。一つ目は、平成18年(2006年)に日盲社協が発行した『点字による選挙公報等製作ガイド』以降、急速に進んだ情報通信技術により、選挙プロジェクトの情報伝達方法が、ファクス中心から電子メール中心に変化し、墨字原稿の送付もPDF(またはJPEG)形式の添付ファイルで送ることが一般的となったことを受けて、伝達の手順などに関して詳述したことです。
 二つ目は、近年プロジェクトを構成する施設・団体等が増加傾向にあり、今後新たに加わる施設・団体等を含めて、プロジェクトにおいて円滑に活動できるように、作業の進め方等について詳述したことです。
 この「必携」は、平成21年に、プロジェクト点字版部会内に「選挙公報点字表記委員会」が設置されて以降積み重ねられてきた実績を土台にして編まれたものです。もちろん、今後解決すべき課題も多くあるものと思われますが、そういう意味で、現時点でのプロジェクトの到達点をも示しているものです。
 点字版選挙公報の製作作業は、短期間に、しかも正確に行わなければなりません。そこで、この「必携」を使って、各施設等の職員に対して、仕事の意義や注意事項等について周知・徹底する目的で、総務省の後援を得て、今年の2月に東京と大阪で職員研修会を開催しました。
 今後とも、この「必携」が活用されて、全ての国政選挙をはじめ、各地方選挙においても、良質の点字版選挙公報が製作されることを心から願っています。(京都ライトハウス情報製作センター所長)

多彩な人材を誇る
日本点字技能師協会
NPO法人日本点字技能師協会理事長 中山敬
 日本点字技能師協会(以下「日点協」・https://www.e-nakama.jp/ginoushi/)は、平成15年(2003年)に設立しました。正しい点字の普及、視覚障害者の情報環境の改善や福祉の増進に貢献することを目的としています。現在、会員・賛助会員は晴盲合わせて300人ほどで、情報提供施設や教育現場の職員、点訳ボランティアなど、さまざまな立場から日点協の活動を支えています。

1.月刊機関誌『日点協通信』
  (点字版・墨字版・テキスト版)
 平成27年4月号で145号となりました。内容は、日点協が主催する研修会の詳細な報告、日本点字委員会の研究協議や関連団体の研修会のサマリー、会員からの投稿や点字にかかわる情報です。日点協の貴重な知的財産であり、全国に分散している会員の絆となっています。

2.研修会
 点字技能師のスキルアップと会員相互の、さらには会員外の方との交流を目的に、平成26年度は福岡・東京・神戸で開催しました。研修テーマは次の通りです。
 点字触読指導者を養成する講座、音訳者に学ぶ絵や写真の表し方、点字に必要な国語の知識、点字楽譜、障害者の権利に関する条約と合理的配慮、教育における点字の有用性と支援機器、点訳講習会の現状と課題。事前課題を準備してワークショップ形式となるよう努めています。

3.対策本と点字技能チャレンジ講習会
 日点協が毎年製作・発行する『点字技能検定試験の対策、過去問題の正答と解説』(対策本)は試験問題の模範解答と解説を内容としています。これから資格取得を目指す方だけでなく、多くの点訳者・有資格者にとっても参考となる書です。
 点字技能チャレンジ講習会は、点字技能師を目指す方を対象に、2日間にわたり学科・実技試験の講義と実技試験の模擬試験を行います。今年は札幌で開催します。昨年の点字技能検定合格者16人のうち、6人が点字技能チャレンジ講習会参加者です。

4.正しい点字の普及に向けて(一提案)
 「障害者権利条約」が契機となり、公的機関等による点字での情報提供が増えることが期待されます。しかし、点字を知っている公務員はわずかです。そこで、点字の裾野を広げる一つのステップとして、基本的な文字や記号の読み書きが「ゆっくり」できる、自動点訳したものを「あらまし」校正できる、といった程度を基準とする「点字初級試験」なるものの実施を考えてみませんか。
 (写真)点字触読指導者を目指して

日盲社協事務局だより

    施設名称・住所変更・電話番号変更
<情報サービス部会>
①大田区立新蒲田福祉センター声の図書室が、平成27年3月1日付で大田区立障がい者総合サポートセンターに移転し、名称も大田区立障がい者総合サポートセンター声の図書室に変わりました。新住所〒143-0024大田区中央4-30-11、TEL 03-5728-9434、FAX 03-5728-9438
②静岡県点字図書館は4月1日から静岡県視覚障害者情報支援センターに名称が変わりましたが、住所・電話は同じです。
    施設長変更(敬称略)
<情報サービス部会>
①秋田県点字図書館 新館長 熊谷公彦(平成26年4月~)
②堺市健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター 新館長 原田敦史(平成26年12月~)
③札幌市視聴覚障がい者情報センター 新館長 富岡尊廣(平成26年4月~)
④鳥取県ライトハウス点字図書館 新館長門脇保身(平成27年4月~)

日本盲人福祉委員会(日盲委)の新役員
 平成27年4月1日付で日盲社協も構成メンバーである「日盲委」の新しい理事が選任されました(以下、敬称略)。
 理事長 竹下義樹(日本盲人会連合会長)
 副理事長 髙橋秀治(日盲社協理事長)
 常務理事 指田忠司(日本盲人会連合国際委員長)
 理事 小口芳久(慶応義塾大学眼科名誉教授)
 理事 下島啓道(都立久我山青光学園校長)
 理事 寺尾徹(全国社会福祉協議会常務理事)
 理事 徳永光則 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局理療教育・就労支援部長
 理事 野村茂樹(弁護士)
 理事 藤井亮輔(日本理療科教員連盟会長)
 理事 舛尾政美(日盲社協常務理事)
 理事 三谷照勝(全国盲学校長会会長)
 監事 中山政義(元日本盲人福祉委員会常務理事)
 監事 福山健太(ペンデル税理士法人公益活動支援部長)
事務局からのお願い

 弊誌では、日盲社協全会員施設の施設長名等の変更を逐次掲載しています。また、事務局では、充実したホームページにするため、こまめな更新に努めております。ホームページの「部会別ページ」には、全会員施設の法人名、施設名、住所・電話番号・FAX番号・E-mailアドレス、ホームページを持つ施設には、そのリンクをお願いしています。
 日盲社協のホームページをご覧になって、間違いがないかどうか、ご確認・ご校閲をお願いします。そして、誤りや変更がありましたら当事務局までご一報くださいますよう、よろしくお願い致します。

編集後記

    読者から
 『日盲社協通信』を神奈川県ライトセンターを通じて読ませていただいています。平成26年11月号(通巻69号)で間違えといいますか、抜けている箇所がありました。
 点字90ページ(墨字21ページ)で、「堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター長の岩井和彦氏が平成26年10月29日に逝去されました。享年65」と書いてありますが、「歳」が抜けています。「訃報」の(1)は、「歳」が書いてあるのに、(2)は、「歳」がなかったのです。いわゆる「製版ミス」ではないかと思われます。
(ミツイ・アツシさんの点字の手紙より)

    編集長より
 たしかに通巻69号の大分県点字図書館長であった富森寿弘氏の訃報では「享年66歳」と書いていますので、どちらかに統一すべきでした。ご指摘ありがとうございます。
 これは「製版ミス」というよりも、編集者である私の「校正ミス」です。お詫び申し上げます。
 ところで、どちらに統一するべきかはちょっと迷うところですが、原則的には「歳」の削除が穏当だと思われます。
 というのは、享年とは人が「天から享(う)けた年数」という意味であり、この世に存在した年数であるため、享年に年齢を数える単位である「歳」を付けることは、本来、誤用だからです。
 ただし、国立国語研究所では、「『享年○○歳』の用例は近世の文語平叙文にも出てくるので、現代日本語の口語文ではなおさらのこと使ってとがめられるほど大きな間違いとはいえない」と述べています。
 さらに「享年○○歳」は、『広辞苑』など一部の辞書の凡例にまで使われるようになりましたので、現代では許容された使い方というべきでしょう。

 「誌上慶祝会」で紹介した藤野稔寛氏を、日盲社協は理事長名で、「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」に推薦しました。「エーデル」は、とくに統合教育校等で学ぶ視覚障害児・生徒用点字教科書発行には欠かせない図形点訳ソフトです。受賞を心からお祝い申し上げます。

 次号の『日盲社協通信』は平成27年11月に発行する予定です。(福山博)

情報提供のお願い
 本誌に対する情報提供・要望・苦情・意見・感想は、日盲社協広報委員長福山博宛、メール(fukuyama@thka.jp)等でお送りください。お待ちしております。
『日盲社協通信』WEB版リリース

 『日盲社協通信』が、平成23年(2011年)11月号(通巻63号)から、日盲社協のホームページにアクセスして、全文を読むことができるようになりました。こちらもご高覧ください。http://www.ncawb.org/

第10回 視覚障害者向け総合イベント
ふれてみよう! 日常サポートから最先端テクノロジーまで

サイトワールド  2015
 サイトワールドは、最先端の技術・機器、日常用品、および、ユニバーサルデザイン(UD)製品等の展示会、講演会、学会発表、フォーラム、体験会等が催される、世界でも例を見ない視覚障害者のための総合イベントです。来場者一人ひとりが主役です。

日時:平成27年(2015年)11月1日(日)、2日(月)、3日(火・文化の日)午前10時~午後5時(11月3日は午後4時まで)

会場:すみだ産業会館サンライズホール(JR・地下鉄半蔵門線 錦糸町駅前 丸井錦糸町店8・9階)東京都墨田区江東橋 3-9-10 墨田区丸井共同開発ビル

主催 社会福祉法人 日本盲人福祉委員会 サイトワールド実行委員会
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-18-2
TEL:03-5291-7885  FAX:03-5291-7886
E-mail:sightworld@mbr.nifty.com

 ■本誌は、埼玉県民共済生活協同組合の助成により作成したものです。

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