社会福祉法人 山口県盲人福祉協会理事長 舛尾政美

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社会福祉法人山口県盲人福祉協会は、昨年11月1日、就労継続支援事業として盲人ホーム光明園を開所しました。光明園は下関市の中央に位置し、向洋町の丘の上に鉄筋コンクリート3階建ての一際目立つ存在としてその姿を見せています。

一昨年8月、建設会社の寮を土地と合わせて約1億円で買い取って約8千万円をかけて改修しました。総床面積は約800u。1階は事務室を始め食堂や厨房、浴室そして治療室が4室など、2階3階はそれぞれ居室が10室、さらに隣接して約40uの会議室と70u余りの訓練室が続いています。

昨年7月、開所に向けて準備を始めました。まず山口県と話を始めることにしました。問題になったのは、就労継続事業として盲人ホームを経営している例が少ないということでした。県の障害者施策推進協議会で、視覚障害者の職業確保が大変困難になっていることを説明して協力を求めました。法人の理事をしている県議を通じて陳情もしました。そうしたことが功を奏して、県は8月下旬、私達の願いを認める決定をしました。しかし実際開所に当たっては定員20名を必ず守ることや、所長の兼任は同じ敷地内に限ることや、サービス提供責任者を必ず置くこと、そして建物については訓練室や多目的ホールなどを確保することなど細かな指示がありました。特に定員については強い指導があったものの最終的には定員は開所時は10名余りとし、開所後2年の間に20名を確保することで決着しました。県との話し合いの他に、地元の市や保健所とも話をし、それぞれの規定に反することがないか確認しました。地元業界の皆さんとも、私が直接会って話をしました。施術料は1回千円とし、局所治療を主に行うなど、業者との競合を避けるよう申し合わせをし、なんとか11月1日開所することが出来たのであります。

今、開所後5か月間を振り返って、大きな問題は登録者の欠席が多いことです。登録者は13名で、そのうち9名が通園者、常時園で生活している者は4名であり、園で常時生活する登録者を増やすことが必要と考えられます。園の事業は9時半から15時までとなっており、園で生活している者はグループホームや、それに準じた付帯事業の利用者となって、そうした事業を利用しながら、園の休日には法人が経営するデイセンターの事業を利用したり、法人が経営する同行援護事業を利用しながら自由で安全な生活を楽しんでいます。これまでの月平均100名をさらに上げるためには、保険治療を取り入れることや、市が行っているマッサージの補助事業などを取り入れることが必要と考え、準備を進めています。

利用者入所者の人間らしい尊厳ある存在の回復を目指すことを法人の基本理念とし、それに沿って関係者が福祉の増進に努めることを法人の目的としていますが、当面は光明園の事業を安定軌道に乗せるべく最善を尽くす事が必要と考えています。


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