東京都視覚障害者生活支援センター所長 長岡雄一

著者近影

春を迎え、センターは、東京都による3回目の指定管理がスタートしました。期間は3年間。この間にたくさんの課題を解決しなくてはならない重責を、このたび担うことになりました。

センターが常に直面している問題は、どの施設でも直面している問題と、そう差はないと思えます。逆に、「指定管理」という枠の中に入ることで、他の施設より恵まれた存在であることも否定できません。

ただ、「指定管理」であることは、ある程度の安定性がある一方で、実施する事業に大きな縛りがあることも事実です。現在の機能訓練と就労移行支援以外の事業を実施することは許されません。また、収益をあげることも同様に認められません。自立支援法の日中活動以外の何らかの事業を実施する力を、今のセンターは持っていますが、それは実施できないのです。

他の施設と共通の課題、利用率を高いところで維持すること。そして、サービスの質を向上させることを常に意識していなくてはなりません。この達成は常に喫緊の課題ですが、この両立は困難で頭の痛い問題です。現在、機能訓練の利用率が80%ほどですが、職員の仕事量は飽和状態で、このため利用者の第三者評価によるサービス評価が高く保たれているのです。

いかにサービスの提供方法を効率的にするのか、そしてかつ、質の向上を図るのか。これには今までに考えなかった相当の工夫が必要です。今までとは違う何かをしなくてはならないのなら、発想そのものも、今までとは全く違った出発点に立ってもいいはずです。従来の訓練という枠組みで縛られている頭を、何とか解放することからしか答えは得られないかも知れません。

また、24年度の業務計画には、「発信力の強化」を、あえてあげました。「発信力」を強くするには、その前提に我々の感性や「ソウゾウリョク(想像力と創造力)」を養う必要があります。そこにどう取り組むのか。前述したように、縛られている枠組みからの解放を少なからず必要とします。

これらに加えて、利用者像が従来想定していないほど激変しています。職員が想定できないようでは、サービスの提供にもいい面は出ません。対策として、23年度には、職員全員で、今の、そしてこれからの利用者像を探ろうとしました。

そこから見えてきた像を、いかにサービスに結び付けるのかは、実はこれからの課題です。この1年のうちには解決策を見出し、次の年からはそれを実践してみなくてはなりません。3年は決して長い時間ではありません。ただ、新しい利用者像の把握と、それに対応し得るサービスの展開を目標とするには、十分な時間とも言えます。

サービス、利用率、変化する利用者像。どれも一筋縄ではいかないテーマです。職員すべての力の結集が必要です。


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