理事長 煖エ 秀治

著者近影

私たちの周辺にはたくさんの施設や団体があります。

組織・団体ともなれば、「何のためにあるのか」とその目的が掲げられ、その目的を達成するためのスケジュールが立てられます。

そして、一定期間をおいて総会などを開いて、目的がどの程度達成されたかどうかが点検されます。こういう繰り返しの結果、その団体の質の向上や低下がチェックされていきます。

日盲社協の加盟施設もそれぞれ同じような展開ではないでしょうか。そして、その上で日盲社協の全国大会となると、どう臨めばいいのか、正直戸惑われるかも知れません。皆さんの施設、その上の5部会の運営、そして社協事務局や理事会などそれぞれに筋を通す1本の幹ができます。

こうした構造の中から何が生まれて来るか注目されますが、「何もなくても、同じ視覚障害関係者として横の繋がりがあればそれでいい」という考えも案外大きいのかも知れません。これも考え直すと、奥深いものがあります。

面白いといっては失礼ですが、日盲社協には「社協」を上回る力と組織を持った施設がたくさんあります。かと思うと、ロゴス点字図書館のような小さな施設もたくさんあります。

おのずと業界をリードする施設、大きな施設になることを目標に頑張る施設、小さくてもいろんな視覚障害施設の情報が手に入るだけでもいいとする施設など、関わり方は様々です。

例えば、世界は平和維持のために国際連合を持っています。その内容は大国と小国の力の差が組織を作る上で見事に反映されています。

その最たるものが国連の安全保障理事会です。ここが賛成しない決議は何の効力もありません。大国は「平和のため」と称して力を使い、小国は連携して対抗します。先進国は利益を追求し、途上国も追いつく努力をしますが搾取されることもあります。常に力のバランス、利益のバランスが問われます。

そして、そのときの尺度が大切です。強者は正義と公平の立場を保ち、弱者は平等と自由を求めます。それをどこで折り合いを付けて行くかが、常に問われます。

形は違いますが、世界の情勢と視覚障害という基本ベースを持った私たちの活動と連携も、いつも全体を読みながら互いの連絡を大事にしていけば、組織としての果実を得られるかも知れません。

先輩の皆さんが苦心の上に到達した60年という歳月を振り返り、次の10年を思うと、改めて人間世界にぞくぞくさせられます。

 

日盲社協通信66号目次ページへ戻る