IT技術が急速に進歩し、情報の電子化が急速に進む中、業務に関わる情報伝達手段としての電子媒体や電子機器の役割が増加しています。

  また、印刷物に関しても、視覚障害者はこれまでは人に読んでもらわなければその内容を把握できませんでしたが、OCR技術の進歩により、最近では人の手を借りずにある程度の印刷物を読みこなすことができるようにもなってきました。

  視覚障害者が働くということを考えるとき、これらの社会と技術の大きな変化を見逃すことはできません。

  私は全盲の視覚障害者ですが、私自身の生活を昔と今とで比較した時、今のライフ・スタイルは25年前の私自身にとってはSF小説としてさえも書けないぐらいに異なっています。

このIT技術の進歩による視覚障害者のライフ・スタイルの変化は、視覚障害者が仕事をすることにおいても大きな影響を与えていることは確実です。また、在宅で仕事をするということにも可能性を広げているのではないかと考えられます。

  このような経緯で、「在宅視覚障害者のIT化に伴う情報アクセシビリティに関する調査研究」に取り組ませていただくことになりました。

  本報告書は、まず第一に現在実際に働いている視覚障害者とIT技術との関係を浮彫にし、次に、それを元にして視覚障害者の雇用を進めていく上での雇用主向けの助言集としてまとめました。その中で、視覚障害者の在宅ワークの可能性についても検討しました。

  調査を行う上で、多くの企業とそこで働く視覚障害者の方々にアンケートやインタビューなど、いろいろな形でご協力を頂きました。これら本調査研究にご協力頂いた皆様にこの場を借りて心より感謝申し上げます。

  本報告書が多くの雇用主の皆様に視覚障害者の雇用を具体的に考えるきっかけとなることを心より念願致します。

平成16年3月15日

在宅視覚障害者のIT化に伴う情報アクセシビリティに関す調査研究委員会

委員長 望月 優