令和2年(2020)2月6日(木)、東京都新宿区高田馬場の日本点字図書館において、令和元年度盲人用具部会研修会を開催しました。
まず「障がい福祉サービスの実情と現場の想い」というテーマで、名古屋ライトハウス専務理事・法人本部長の山下文明氏に講演をお願いしました。
盲人用具部会(岡村原正部会長)では、機器の開発、販売を通して、多くの視覚障害者に関わりを持っています。展示会等では、一日に30人以上の視覚障害者と話をすることも、珍しくはありません。
しかし、それは展示会に来る、盲人用具に強い興味と関心を持っている一部の視覚障害者に接しているだけであり、全体を知っていることにはなりません。
私自身、視覚障害当事者ではありますが、ものを作ったり、販売したりするためには、より踏み込んだ視覚障害者の実態を知る必要があるのではないかと思い、このテーマに至りました。
講演はいきなり「自立って何だろう?」から始まりました。
これを聞いて頭に思い浮かんだのは、「単独歩行ができる」、「身の回りのことはなんでも自分でできる」、「仕事をしている」……。私が描いたのはそのようなことでした。
そして、自立をしていないという大きなポイントは、「評価・判断・選択・実行・反省」をしないことであると続きます。
よく展示会で見られる光景ですが、視覚障害当事者が「この機器はすごい、ぜひほしい」というと、ガイドさんが「そんなことぐらい、いつでも手伝いますよ」と口を開くので、興味が一挙にさめ、その場から視覚障害当事者がそそくさと立ち去ります。
まさに、「実行」に結びつかないわけです。
そして、支援者側に立った時には、「訓練、しつけ、説教、いじめ、しごき、虐待、拷問」の違いについての話となります。心が通じていない訓練は「しごき」かも知れないのです。
山下氏の話を拝聴する中で、視覚障害当事者、支援者は様々な葛藤の中で日々生活していることを感じることができました。
日盲社協に在籍していなかったら、このような話を聞くことはありません。
「日盲社協」という専門家組織の重要性、そして、様々な分野の方々が加盟しているこの組織の素晴らしさに改めて感歎した次第です。