日盲社協通信 令和4年(2022年)7月号(通巻84号)

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日盲社協通信 令和4年(2022年)7月号(通巻84号)
編集人:福山博   発行人:長岡雄一
発行所:社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)
National Council of the Agencies of the Welfare for the Blind (NCAWB)
http://www.ncawb.org/

    もくじ
 新型コロナウイルス感染拡大から見えてきたもの 理事長 長岡雄一
 ネット社会 常務理事 荒川明宏
 視覚障害者の歩行を考える 常務理事 吉川明
 (誌上慶祝会)肥後正幸氏の厚生労働大臣表彰を祝す 日盲社協理事長 長岡雄一
 第70回全国盲人福祉施設大会はオンライン(ハイブリッド)で開催
 わが施設の今 第7回 日本ライトハウス点字情報技術センター情報技術顧問 福井哲也
 ウクライナの視覚障害者支援 ―― 日盲委がWBUと連携して実施 ――
 通い慣れた踏切の死角 ―― 近鉄踏切事故を検証する ――
 令和4年度点字指導員講習会(指導員研修会)及び認定再試験の開催について
 『日盲社協生活施設部会通信』第1号を発刊して 日盲社協理事・生活施設部会長 茂木幹央
 日盲社協社内検定試験(点字技能師)募集要項
 情報化対応支援者研修会 ―― 第12回情報機器コース ――
 令和3年度情報化対応支援者研修会 ―― 相談支援コース・基礎
 令和3年度情報化対応支援者研修会 ―― 相談支援コース・応用
 <訃報> 元ロゴス点字図書館長橋本宗明氏の帰天
 日盲社協事務局だより
 編集後記

    新型コロナウイルス感染拡大から見えてきたもの
    理事長 長岡 雄一
 ここにきて、世の中の人の動きが活発化している雰囲気があります。多くのイベントが再開され、イベントの人数制限も緩和されてきました。マスクも「着けなくてよい」場面が公的に宣言され、そのせいもあってか、以前に比べるとマスクを着用しない方の存在も目立ってきました。
 私はどうかと言えば、マスクを外すのは家以外ではほとんどないといっていいでしょう。もちろん外食の機会もほぼありません。たぶん、2020年とほとんど変わらない生活を続けています。自分たちの仕事のことを考えると、そうせざるを得ないと思っていますし、この状態でいることに納得できないこともありません。コロナについては、まだ分からないことが多すぎ、すっきりとした気持ちで前に進むことは難しいと感じています。
 さて、どの施設や法人も、2021年の決算が出揃った頃かと思います。私が所長を務める東京視覚障害者生活支援センターも同様です。2020年度に比べると、利用者総数は増えましたし、結果として収入も増えました。しかし、2019年度のレベルまでには戻っていません。2020年度は4月、5月とサービスの提供を中止していたのですから利用者数が前年に比べると減るのは当然です。このため2021年度の利用者数や収入を2020年度と比較することは、あまり意味はありません。
 やはりコロナ以前との比較が妥当だと考えています。ただ、ここで考えなくてはならないことは、このまま障害者総合支援法のシステムを続けることが適切なのかどうかということです。
 一般の市場経済同様、利用される人の数が少なければ収入は減り、経営さえも危うくなります。企業の求人が減り、就職する障害者数が減り、さらに定着者数が減ると施設の報酬に跳ね返ってきます。受注が減り、工賃が減ると施設の報酬に跳ね返ります。
 今回の新型コロナウイルスの感染拡大に関していえば、利用者が減ることは施設だけの責任ではないはずです。もちろん行政がそうした事態に対して無策だったとはいいませんが、小手先だけの対応では、施設運営は決して好転していきません。個々の努力だけではどうしようもない部分があまりに多すぎるのではないでしょうか。
 幸い、ここに来て、就労関係では在宅によるサービス提供の適用範囲が広がってきました。ただ、これとてコロナの感染拡大以前から望んで訴えていたことではなかったかと思います。もちろん、社会福祉といえども、国の大きな枠組みで考えられるべきことだとは思いますが、事は障害をどう捉えるかという本質にも関わることです。日常を見直すということであれば、是非ともこの法律の見直しも含めて先に進むことを望みたいものです。(東京視覚障害者生活支援センター所長)

    ネット社会
    常務理事 荒川明宏
 「ネット社会」と言われるようになってから、何年経つのでしょうか? いろいろなことがネットでできるようになり、便利になったという実感はありますが、逆にネットが使えないから不便になったという実感はあまり感じることが少ないように感じます。
 4月に村田諒太選手のボクシングの試合がありました。私はテレビ番組をネットで検索して、地デジ、WOWOWのどちらで放映されるのかと調べましたが、見つけることができず、続きは妻に依頼しました。結局、この大きなイベントは、テレビで放映されず、YouTubeライブで放映されるというものでした。
 私はこのとき、いよいよ「ネット社会」が始まろうとしているのだと実感しました。つまり、「テレビを持っていても注目の試合すら放送されることがなく、まさにネットを使ってYouTubeで見なくてはいけない」、これはネットが使えないと生活が不便になった小さな1つの例と言えるのではないでしょうか?
 この4月に東京・高田馬場にオープンしたホテルも、「現金での支払い不可」となっています。今まで、安さを売りにするホテルでは、コスト削減のためにカードのみという場所もありました。しかし、大きな名の売れたホテルでは初めて聞いたので、とてもショックでした。これも「ネット社会」の不便な部分が出始めた1つでしょう。
 また、私が使用しているペットのトリミングの店では、支払は「LINE Pay」のみとなっており、現金を使用することはできません。妻がいつも払っているので困っていませんが、私にはできるかどうか少し不安に感じます。
 今から4年ほど前に、中国に出張に行った際、やはり現金での支払いはほとんどできませんでした。空港の自動販売機で飲み物を買おうと思いましたが、どのように買うのかがわかりません。中国人の方がスマホをかざして私にジュースをプレゼントしてくれました。結局その販売機は現金での支払いはできないものでした。
 今までは「スマホを持つと便利になる」そのような考え方でしたが、いよいよこれからは「スマホを持たないと不便になる」そんな時代が訪れつつあるのではないでしょうか? その時、視覚障害者はどうなるのでしょうか?
 「使用出来ない人もいるのだから、スマホがなくても便利な社会にしよう」、そんな時代に逆行するような話には決してなりません。レコードがCDに置き換わり、今はネット配信へと変化しました。そのように時代は常に新しいものへと流れて行きます。そして、このネット社会においては、その速度がものすごい早さで変わって行きます。視覚障害者ももっと積極的にスマホに取り組んだ方が良いのかも知れません。(株式会社ラビット代表取締役社長)

    視覚障害者の歩行を考える
    常務理事 吉川明
 「外に自由に出かけられるのは、誰にとっても素晴らしいこと。それは目の見えない人、見えにくい人にとっても。
 『行ってきます!』をすべての人へ。日本盲導犬協会は盲導犬や白杖の訓練指導を無償で行っています」。
 これは2021年7月1日から1年間放映されているAC広告です。とても素敵な広告だと私は思います。
 残念なことに、自立支援施設部会盲導犬委員会発表の2022年3月末の盲導犬実働数は848頭で、1年間の育成頭数は113頭(代替:83頭、新規30頭)と育成頭数は10頭増えたものの、実働数は13頭減りました。実働数の変化を見ると、2000年度末の875頭から毎年平均22頭増加し2009年度末には1,070頭に。その後12年連続平均19頭ずつ減り続けています。減少の最大の原因は、新たに盲導犬歩行を始める人「新規」ユーザーの減少です。
 視覚障害者が歩く方法には、「盲導犬」の他に、「白杖」と「手引き(同行援護)」があります。お聞きすると、白杖訓練の希望者は横ばい、同行援護の希望者は増加しているもののガイドヘルパー不足になっているとのことです。「歩く、外出する」希望は減ってはいないのだと思います。
 テレワーク、WEB会議、PCで買い物などデジタル化が急速に進み、外出しなくても生活できる社会に急速に変わり、コロナ禍で視覚障害者が安全に外出しにくくなったにも関わらず、「歩く、外出する」希望は減っていません。ただ、歩く方法の希望が変わってきています。その要因は、中途失明者、ロービジョン、高齢化だと思います。
 「歩く」は、人間が心身ともに健康に生活する基本です。高齢者が足を骨折すると死につながると言いますが、肉体的な衰えを加速するだけでなく、歩かなくなると意欲が減退します。心の健康をも蝕みます。
 私がいうまでもないことですが、視覚障害者にとって「歩く」ことは重要であり、「困難」が伴うことでもあるのです。
 「訓練による歩行技術取得」という困難が伴う白杖歩行、「訓練」と「犬の世話」という困難が伴う盲導犬歩行(ペット以上のパートナーを得る喜びもある)。「困難」はありますが、行きたいときに行けることは、健康と喜び・生きがいをもたらしてくれます。この「困難」を視覚障害者、訓練事業者、安全歩行インフラと心のバリアフリーの3方向から乗り越える取り組みが進むことを心から願っています。(日本盲導犬協会顧問)

    2021年度 盲導犬育成頭数
 以下、育成施設名:新規育成頭数、代替育成頭数、育成頭数計、実働頭数の順
 北海道盲導犬協会:6 、4、10、81
 東日本盲導犬協会:2、4、6、30
 アイメイト協会:3、15、18、186
 日本盲導犬協会:5、30、35、242
 中部盲導犬協会:3、2、5、41
 日本ライトハウス:6、11、17、128
 関西盲導犬協会:0、9、9、59
 九州盲導犬協会:4、3、7、47
 兵庫盲導犬協会:0、3、3、15
 日本補助犬協会:0、2、2、14
 いばらき盲導犬協会:1、0、1、5
 新規育成頭数合計30、代替育成頭数合計83、育成頭数合計113、実働頭数合計848
 (日盲社協自立支援施設部会盲導犬委員会 2022.3.31)

    (誌上慶祝会)
    肥後正幸氏の厚生労働大臣表彰を祝す
    日盲社協理事長 長岡雄一
 創業以来90年を超える歴史を持つ東京点字出版所。第2次世界大戦をはさんでの事業継続はご苦労の連続ではなかったかと推察されます。
 その長い歴史を持つ東京点字出版所を引き継いだのが、2004年に理事長に就任された肥後正幸さんです。時代は点字からパソコンというデジタルの時代。以前、同出版所にお伺いした際、点字教科書の需要も減り、かつて図書であふれていた出版所のフロアも、空いている場所の方が広くなったと教えられました。しかし一方で、点字用紙という「紙」が醸し出す独特の雰囲気に息を呑まされたことを記憶しています。点字の書籍を作る過程ででてくる様々な匂いや、音などが混ざり合っての雰囲気でしょうが、さらに歴史の重さもひしひしと感じさせられました。
 現在、この東京点字出版所を率いておられる肥後さん。穏やかな雰囲気のどこに、この歴史を背負っているのかは分かりませんが、出版所を建て替えたり、多くの出版物を生み出すエネルギーの源泉は、その穏やかさかもしれないと思ったりもします。
 実は、自立支援に身を置いていた私にとっては、点字の出版は比較的縁遠いものでもあります。出来上がったものにしか触れる機会はありません。もちろん自身でも点訳を行ったりはしますが、書籍になるレベルには程遠いものです。そうした身からすると、肥後氏のすべてに畏敬の念を感じざるを得ません。
 また一方で、点字印刷機の窮状を訴えるときに見せる表情や語られる言葉には、鬼気迫るものを感じることもあります。こうした硬軟両者の使い分けは、ご本人が意識しているのか否かに拘わらず、周囲の者の信頼感にもつながっているのだろうと思います。
 時は、点字考案200年に向けて最後の3年に差し掛かりました。「点字」という文化は決して絶やすことのできないものであるにもかかわらず、なかなかそれを声高に叫ぶ機会も少ないように思います。肥後さんには、今後、「点字」という文化の担い手のお一人として、ますますのご活躍をお願い致したいと思います。
 肥後さん、厚生労働大臣表彰、おめでとうございます。

    第70回全国盲人福祉大会はオンライン(ハイブリッド)で10月28日に開催
 今年の第70回全国盲人福祉施設大会は、昨年に引き続き主管は日盲社協法人本部で、新型コロナウイルス感染症対策を二重三重に講じて、昨年同様(上記写真参照)東京視覚障害者生活支援センターを配信会場に、Zoomを活用したオンラインによるハイブリッドで10月28日(金)に開催する。
 ただし、昨年は午後1時~午後4時40分の半日の開催であったが、今回は時間を延長して午前10時~午後4時30分の日程で行う。
 内容はまず午前中に講演Ⅰとして、理化学研究所から「理研ベンチャー」として認定されている株式会社ビジョンケア代表取締役社長で、網膜変成疾患・黄斑部疾患と再生医療研究の第一人者で、従来、再生不可能と考えられていた網膜再生医療技術の研究・開発に取り組んでおられる眼科医の高橋政代医学博士による講演。
 次いで講演Ⅱとして、弁護士の日本視覚障害者団体連合竹下義樹会長による講演。
 その後、事前に5部会(点字出版部会、情報サービス部会、自立支援施設部会、生活施設部会、盲人用具部会)が、オンライン等により開催した事業部会の報告を行う。
 最後に式典で、主催者と来賓によるあいさつ、ボランティアと援護功労者に対する感謝状贈呈、永年勤続職員に対する表彰、「アピール」等の採択を行う予定である。

    大会日程
 以下、時間:事業内容の順
 09:00~10:00:受付/Zoom接続準備
 10:00~10:15:開会式・オリエンテーション
 10:15~11:45:講演Ⅰ 高橋政代博士  
 13:00~14:30:講演Ⅱ 竹下義樹会長
 14:45~15:15:各事業部会発表
 15:30~16:30:式典:表彰、来賓祝辞、アピール文採択

    わが施設の今第7回 日本ライトハウス点字情報技術センター
社会福祉法人日本ライトハウス点字情報技術センター情報技術顧問 福井哲也
 日本ライトハウスの創立者岩橋武夫が、大阪市の自宅で仲村製点字製版機と手回し点字印刷機を購入し、エスペラントの手引書などの点字出版を開始したのが1922年。当時は「点字文明協会」と称しましたが、これが日本ライトハウス創業の年で、今年100周年を迎えました。 1932年に、点字図書無料貸出事業(点字図書館)を開始。1935年、大阪市阿倍野区にライトハウス会館が完成し、視覚障害者福祉に関わる各種事業を展開してきました。現在、法人本部と視覚障害リハビリテーションセンターは大阪市鶴見区今津にありますが、点字出版部門は1991年に、そこから徒歩20分ほどの東大阪市森河内に4階建ての現在の社屋を建設し、点字情報技術センターとして事業を継続しています。 当センターの主力事業は、視覚支援学校で使用される点字教科書の製作で、高等部普通科は1954年、理療科は1956年、小中学部は1958年から、幅広い教科の教科書を手掛けてきました。教科書以外では、児童書・一般書、自治体広報誌、電気料金通知書、点字サインなど様々な仕事をしています。触図製作も早くから取り組み、1957年に固形点字印刷で製作を開始した「社会科地図帳」は、1982年からは発泡印刷システムに切り替え、現在も全国の視覚支援学校等で使用されています。1970年には導入したばかりのサーモフォームにより、「万博点字会場案内」を製作しました。 コンピュータ技術の活用では、1980年、大阪大学末田統先生の指導を得て、8ビットマイコンと小林鉄工所製自動製版機による点字自動編集・製版システム(BRED-68)を日本で初めて実用化しました。2008年からは、Windowsパソコンと仲村点字器製作所製自動製版機による後継システム(WinBred10)が稼働しています。近年は、パソコンと3次元造形機による触察模型製作の研究も行っています。一方、作図機で亜鉛板に一点ずつ打刻する触図製作や点字印刷など、私たちの仕事は多くの人の技により支えられています。私たちは今後も、人の技とテクノロジーを車の両輪とし、良質の点字図書等の製作に努めて参ります。

    クライナの視覚障害者支援―― 日盲委がWBUと連携して実施 ――
 本年2月24日、突然ロシア軍がウクライナに侵略を開始して以来、多くの人々が犠牲になっており、視覚障害者もその例に漏れない。そこで日本盲人福祉委員会(日盲委)はWBU(世界盲人連合)と連携して、ウクライナ視覚障害者支援を開始した。

    当事者による支援活動も
 ウクライナ第2の都市人口180万人のハルキウ(ハリコフ)は、ウクライナの北東部にありロシアに比較的近いため侵攻開始から連日激しい攻撃にさらされた。このため多くの市民が逃げたが、周辺では多くの障害者が逃げ遅れ、砲撃が激しくなった3月1日にも老人や障害者を含む50万人の市民がハルキウに残っていた。
 ハルキウ市内にあるウクライナで最も歴史のあるV.コロレンコ寄宿制盲学校(コロレンコ盲学校)は、3月1日に生徒が地下室で昼食をとっているときに砲撃された。爆風により豪壮な3階建て校舎のすべての窓やドアは、枠ごと吹き飛ばされ、ガラスの破片で校長が頭を負傷したが、生徒達は無事だった。
 危機感を持った同校は、全校生徒186人を実家に帰し、その中の35人がポーランドの首都ワルシャワ近郊にあるラスキ視覚障害児教育センター(ラスキ盲学校)に避難した。 このような混乱の最中、米テキサス州出身の視覚障害者ローレル・ウィーラーは、ウクライナの視覚障害難民を支援するためにフィンランドのヘルシンキからワルシャワに駆けつけた。彼女は米オクラホマ大学でロシア語の学位を取得し、現在、フィンランドのヘルシンキ大学ロシア語研究科修士課程に在学中だ。30歳の彼女は、ロシアを含む多くの国々の視覚障害者を支援するために2017年にローレル・ウィーラー財団を設立したが、現在は、ウクライナの視覚障害難民支援に傾注している。
 ワルシャワでウィーラーは、旧知のウクライナ出身の視覚障害者オルガ・マーラーと再会した。マーラーはウィーラーが12歳のとき、交換留学生としてテキサスにやってきた。そして全盲同士意気投合して、姉妹のように仲良くなった。その後、マーラーはオーストラリア人と結婚して9年前にオーストラリアに移住した。しかし、ロシアによるウクライナ侵略の報に接し、いてもたってもおられず、彼女は夫や息子と一緒にワルシャワに来て、ウクライナ難民の支援を行っている。彼女はコロレンコ盲学校の卒業生なので、ウクライナの視覚障害者の実情も分かっており、ウクライナ語、ロシア語に加え英語も堪能なので、非政府組織(NGO)と難民の橋渡しもできる。
 マーラーの両親も視覚障害者だが、80代と高齢であるため住み慣れたハルキウを離れるつもりはない。このように様々な事情で、避難したくても避難できない視覚障害者も多く、それらの人々への支援も課題だ。
 ウィーラーは、難民に食料、衣類、その他の支援を提供するNGOが、「障害者が特定のニーズを持っていることを理解していない」ことを懸念して、「NGOには柔軟性が必要です。私たちは、健常な難民には必要ではないかもしれない有効なものを提供する必要があります」と主張して支援活動を行っている。
 彼女はブログで、ポーランドのラスキ盲学校に2人の子供を連れて逃げてきたアントニナを紹介している。彼女たちはポーランドに逃げる前に教会に隠れていたという。彼女の息子の一人は全盲で、コロレンコ盲学校ではうまく適応していたが、言葉や文化が違う環境でうまくいくか今後を心配している。
 ワルシャワでウィーラーは、ウクライナの首都キーウ(キエフ)から5歳の娘を連れた強度弱視で妊娠6ヶ月のオルガと全盲のデニスのカップルにも出会った。しかもこの夫婦は、なんと5匹の猫と2匹の犬も連れて避難してきたので大変な苦労をしたようだ。オルガは英語教師で、デニスは触読校正者なので、ウィーラーは彼らが仕事を続け、重要な情報にアクセスするためにiPhoneと点字ディスプレイを提供した。
 このように当事者による個人ベースの支援活動も精力的に続けられている。もちろんこれらの活動も大切だが、それらと平行してウクライナの視覚障害者全体をカバーするためには組織的な支援も欠かせない。
 ちなみにウクライナの一人当たりGDPは4,827ドルで、これに対してロシアはその2.5倍、ポーランドは3.7倍、日本は8.1倍で、ウクライナは大穀倉地帯であるにもかかわらずヨーロッパの中ではとても貧しい国だ。しかも都市部の多くが廃墟となっており、国際移住機関(IOM)によると、4月19日現在約500万人が国外に逃れた上、約770万7,000人がウクライナ東部からリヴィウなどの西部へ避難しており、ウクライナの総人口4,159万人のうち、国内外への避難民は計約1,270万7,000人に上ると推計されている。以上、敬称略。

    WBUウクライナ協同基金
 WBUに加盟するウクライナ盲人協会(UTOS)は、視覚障害者のために国内外の避難所や避難列車など交通に関する情報、食糧や医薬品等の提供を行っている。また、再定住に向けた相談支援なども行っているが、事態は日に日に深刻さを増している。
 WBUではこうした事態を踏まえ、3月20日付でウクライナの視覚障害者を支援し、ロシアのウクライナ侵略を強く非難する声明を発表した。同時にウクライナにいる視覚障害者や他国に避難しているウクライナの視覚障害者を支援し、紛争後の生活の再建を支援するために、「ウクライナ協同基金(Ukrainian Unity Fund)」を設立して広く寄付を呼び掛けている。
 戦争と障害は悲劇的なまでに結びついている。夥しい数の負傷者を生み、衛生を保つことや十分な治療を受けることが難しいために感染症や回復の遅れ、病気の進行などで失明に至る可能性が高くなる。非常時や紛争時には常に障害者がより多くの苦しみを味わうことになり、避難の際に取り残されたり、避難先においても交通、通信、情報へのアクセス障害により、その困難はさらに強まっている。
 WBUは、救済活動に関わるすべての政府および援助団体に対し、ウクライナの視覚障害者が忘れ去られないよう、障害者を含む戦略を策定するよう要請している。
 WBUは「ウクライナ協同基金」を通じて寄付を集め、欧州盲人連合などのパートナーと協力し、最も必要とされるところに資金を振り分け、救援活動の支援や、危機が去った後のウクライナ視覚障害者の立ち直りに直接役立てたり、盲学校が必要な備品を入手できるよう支援するなど、最終的な復興に向けた支援を行っている。

    日盲委の取り組み
 日盲委は、WBUの声明の趣旨に賛同し、ウクライナの視覚障害者支援のため下記の要領で寄付を募集し、WBUウクライナ協同基金に全額送金することにします。
 みなさんからのご寄付は短期的には視覚障害者の救援活動に、中長期的には生活訓練や支援機器の提供、精神的なサポートなど、ニーズに沿った支援に役立てられます。なお、日盲委は税額控除対象法人です。
 寄付の受付期間は、令和4年(2022年)4月15日~8月31日
 寄付方法①:郵便振替 口座番号00190-3-587919、口座名義:社会福祉法人日本盲人福祉委員会
 ※振替払込用紙をご希望の方は日盲委事務局(03-5291-7885)までお申し付けください。
 ※他の金融機関からの振込の場合は、ゆうちょ銀行〇一九(ゼロイチキュウ)店、当座 0587919
 ※振込手数料はご負担ください。
 寄付方法②:クラウドファンディング(オンライン決済)、インターネットによりhttp://ncwbj.or.jp/4Ukraineにアクセスして、クレジットカードまたは銀行振込により送金してください。
 集まった支援金は、全額WBUウクライナ協同基金に送金します。
 活動報告は随時、日盲委ホームページ(https://www.ncwbj.or.jp/)に掲載します。
 以上、ご協力をお願いします!

    通いい慣れた踏切の死角―― 近鉄踏切事故を検証する ――
    日本盲人福祉委員会評議員・災害担当/視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会代表 加藤俊和
 4月25日(月)奈良県で痛ましい踏切事故がありました。全盲の高垣陽子さん(50歳)が近鉄の特急に接触して亡くなられました。
 ご冥福を心よりお祈りいたします。
 この事故については、いろいろと報道もされ、近隣住宅の防犯カメラの映像も明らかになっています。私も4月28日と5月25日に現場の検証を行うとともに、情報の収集に努めてまいりました。今回の事故について明らかになったこと、及び視覚障害者の踏切事故を防ぐためには何が必要かについて報告いたします。

    1 踏切と事故の状況
    (1) どのような踏切か
 この踏切は、奈良県を南北に走っている近鉄橿原線の「近鉄郡山駅」の南約200mにある警報機・遮断機付きの小さい踏切です。東西に直角に交わる東行き一方通行の道路は歩車道の区別どころか車1台がやっと通れる狭さなのに10分間に50台以上と車の通行量はかなり多く、車が来ると人は道路端に避けて車の通過を待たなければなりません。人の通行は車の5分の1以下で10分間以上誰も通らないこともよくあり、「声かけ」は期待ができない踏切です。
 踏切の幅は 4.7mで遮断機のバーからバーまでは 8.2mです。なお、遮断機のバーの装置は、高垣さんが踏切に入った西側は南の隅、向こう側の東側は北の隅にあり、警報音が鳴って赤色点滅する装置は、どちらも南側についています。

    (2) 事故の状況
 事故が起こったのは、4月25日月曜日の午後6時13分でした。この日の日没はその数分後ですが、奈良盆地は少し早く暗くなり、雨の直前でどんよりと曇っていたので、事故時の踏切は徐々に暗くなっていく途中でした。
 近鉄の線路は踏切の南約370mの所で少し曲がっています。この踏切では、警報が鳴ってから約10秒でバーが動き始め6秒後にバーが閉まります。京都行き特急電車の運転手は、バーが閉じてから10数秒後に、この曲がり角を過ぎたと思われます。そして、踏切内の高垣さんを発見し、警笛を鳴らして急ブレーキをかけ、その約10秒後に現場を過ぎてから止まったと推測されます(踏切内の人を見つけてブレーキを踏むまでに2、3秒はかかり、時速約100kmの電車が止まるには400~600mの距離が必要です)。

    (3) 映像から推測する事故の原因
 今回の事故では、高垣さんの様子が映る映像がありNHKでも放映されたので、事故直前までの様子がある程度分かりました。ただ、防犯カメラの映像で解像度は低く、設置場所の関係で踏切内での見える範囲は斜めに遮られていました。
 映像では、高垣さんは西から東へ、道路の左端(北側)の白線の車道よりを、白杖の2点歩行によってまっすぐに歩いています。踏切の手前8mほどのところで、白杖を左手に持ち替えて突かずに下げて持ち、右手は後ろポケットから何かを取り出して右手に持ったまま踏切の中央部を過ぎるところまで進まれています。この間は白杖を突いていないのですが、ほぼまっすぐ一定の速さで歩いています。
 複線の4本のレールを超えたあたりで警報機が点滅して高垣さんは立ち止まり、いったん左端(踏切内の北側)に行き、少し戻って立ち止まられたところまでが報道の映像でした。その後、10秒ほど立ち止まられてから体の向きを西方向に変え、戻ろうとされたらしいことが明らかになっています。
 映像だけで断定することはできませんが、踏切の警報機が点滅し始めてから、踏切内に10秒以上立ち止まっておられたのは確かです。踏切の手前にいると勘違いされていて、電車の警笛が鳴ってから勘違いに気付かれ、戻ろうとして事故に遭われた可能性が高いと思われます。

    2 事故は防げなかったか
    (1) 「踏切内」の手がかりは三つあったが
 この踏切の「踏切内」かどうかの手がかりとしては次の三つがあったはずでした。なお、イ.とウ.については、地元の視覚障害者団体の粘り強い運動によって、2005年に実現したものでした。
 ア.この踏切の部分は20cmほど盛り上がっています。しかし、今回の高垣さんのように西から進むと、道路から徐々に上がっているため感じとりにくいようです。
 イ.踏切に入る道路の両側両隅の4か所に 30cm角の点字ブロックが各4枚正方形に貼られていましたが、その後のメンテナンスがされておらず、歩行に必要な部分は剥がれたり激しく摩耗したりしていました。
 なお、事故後の視覚障害者団体の強い要望によって、5月24日に、この4か所の点字ブロックは6枚に広げて敷き直され、足で明確に分かるようになりました。
 ウ.踏切内の路面には高さ1.5mm程度の凹凸のある硬質ラバーが貼られていました。でも、タイヤによる摩耗などで、歩行速度が早いと気付きにくくなっていたと思われます。

    (2) なぜ踏切内と気付かなかった?
 高垣さんは、現場から約2kmの奈良県立盲学校の出身で、実家はこの踏切の西側にあって治療院は東側にあり、かなり通り慣れておられたようです。事故のときも、途中で白杖を浮かして歩く部分があったのに、すたすたとけっこう速く歩いて進まれていることからも、よく通り慣れていた道路であり、あまり意識せずに歩いていたために踏切内に入ったと思っていなかった可能性があります。なお、スライド歩行なら踏切内と分かったのではないか、という意見もありますが、この周辺道路は凹凸が多く、スライド式がよいとは一概に言えないと思われます。

    3.今後の踏切事故対策は?
 今回のような踏切事故から命を守るためにはどうしたらよいのでしょうか。ハード面とソフト面の両方から考えてみたいと思います。

    (1) 踏切前や踏切内の点字ブロック
 踏切に入る手前の警告用点状ブロックが必要なことが今回の事故によってより明らかになりました。少なくとも視覚障害者がよく利用する踏切については敷設ししっかりとメンテナンスするように要望していくことが必要と考えられます。 「踏切内の歩行部分にエスコートゾーン」については、視覚障害者の強い要望によって、2010年に豊中市の阪急の踏切で実現し、大阪府内では計5か所の踏切に敷設されています。なお、「エスコートゾーン」については、その形状のJIS化すらされていませんので、早期に規格化することも必要です。

    (2) 踏切の警報音を鳴き交わし式に
 踏切に入ってから、踏切両側の警報音が95db以上もの大きな音でカンカンと前と後ろで同時に鳴ったとき、音の位置や方向性の判断が困難になります。踏切の内か外かすら分からなくなってしまった経験を何人もの視覚障害者が語られています。
 横断歩道の音響信号機については、横断の途中で方向が分からなくなる危険が指摘されていました。そのため岡山県立大学名誉教授の田内雅規先生の研究と尽力で、2003年10月に警察庁の通達が出され、「異種鳴き交わし式音響信号機」に統一されてきています。
 踏切は、横断歩道よりもさらに危険性が高いので、効果的な鳴き交わし式等を早急に検討して導入する必要があると思われます。前と後ろの二つの警報音が区別できていたら、高垣さんも踏切内にいることが察知できた可能性があります。

    (3) 踏切利用に関して注意すること
 踏切は非常に危険な場所ですので、踏切を利用する視覚障害者が歩行訓練を受けられる体制が必要です。視覚障害者自身も、危険な踏切はできる限り避けること、そしてどうしても通らないといけないときには注意力を高めることが重要になります。
 なお、今回は映像がニュースに流れ、「高垣さんはスマホを見ていたのではないか」と批判する意見も出されています。ただ、映像の解像度は低くスマホかどうかも明確ではありません。さらに、全盲の高垣さんにわずかな視力があったとしても、スマホなら眼にかなり近づけるか耳に近づけるかの姿勢になっているのでは、とも思われ、「スマホを見ているような姿勢」と断定されてしまう映像公開の怖さも浮き彫りになりました。
 できる限り注意したとしても、視覚障害者は「位置や方向の誤認」を完全になくすことはできません。今回のような悲惨な事故をなくすためには、踏切は非常に危険な場所であることを再認識するとともに、命を守るための対策をしっかりと実現していくことがより重要になったと思います。

    令和4年度点字指導員講習会(指導員研修会)及び認定再試験の開催について
 日盲社協情報サービス部会は、従来「点字指導員研修会」として、①「点字指導員資格認定講習会」と、②指導員有資格者対象の「指導員研修会」を、それぞれ1年おきに交互に開催してきました。しかしコロナ禍のため、ここ2年間は「点字指導員研修会」を開催しておりませんが、今年度は有資格者対象の「指導員研修会」と「認定再試験」をともに開催する計画です。
 まず、「点字指導員研修会」は、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、指導員有資格者を対象にZoomによるオンライン研修会(Web研修会)として11月29日に開催します。
 その詳細は8月中旬頃に日盲社協加盟施設宛にお送りします。

    点字指導員研修会(指導員研修会)
 開催日:令和4年11月29日(火)
 開催方法:Zoomによるオンライン研修会
 受講資格:点字指導員有資格者
 定員:200人

   日程
 09:30~10:00:受付/Zoom接続準備
 10:00~12:00:開講式、講義1「BESXの活用促進」
 12:00~13:00:昼食・休憩
 13:00~15:00:講義2「音訳の処理から学ぶ視覚的要素の説明技法」(予定)

 前回の点字指導員資格認定講習会の不合格者を対象とした「認定再試験」は、8月下旬に対面により実施します。詳細は対象者個別に7月初旬に通知する予定です。
 なお、新型コロナウイルスの感染状況によっては11月頃に延期する場合があることを念のため申し添えます。その場合は、再度対象者へ通知いたします。
 なお、「点字指導員資格認定講習会」は、来年度の開催を目ざして準備します。Zoom等によるオンライン研修会が流行しております。しかし、資格認定講習会の後には認定試験を実施する必要があるためにオンラインによる開催は困難なので、対面により実施する計画です。
 つきましては、上記事情をご賢察いただき、点訳指導の担当職員ならびに点訳ボランティアグループの指導者等への周知について、特段のご配慮を賜りますようお願い申し上げます。
    問い合わせ先
 〒514-0003三重県津市桜橋2-131三重県視覚障害者支援センター内
 日盲社協情報サービス部会点字指導員研修委員会委員長大澤剛
 電話:059-213-7300  FAX:059-228-8425
 E-mail:mieten@zc.ztv.ne.jp

    『日盲社協生活施設部会通信』第1号を発刊して
   日盲社協理事・生活施設部会長 茂木幹央
 さとう宗幸が歌う「青葉城恋唄」の歌詞の中にもありますように、季節(トキ)はめぐりまた今年も暑い夏がやってきました。私が経営しております盲養護老人ホームひとみ園の「カラオケ喫茶」では、「ゆきふか」という名称のかき氷の提供を始めています。「ゆきふか」とは、雪のような美味しい深谷のかき氷という意味です。
 さて、入所施設で構成しております生活施設部会では、令和3年度の事業として、『日盲社協生活施設部会通信』第1号を発刊いたしました。何かとお忙しい折にもかかわらず13施設から原稿をお送り頂く事ができました。それらの原稿の中からは、それぞれの施設の状況や雰囲気を感じ取ることができました他に、入所施設を経営していく上で必要な色々なヒントを得ることができてとても良かったと思っています。
 令和元年度までは生活施設部会では、会員施設のうちの一つの施設に当番施設をお引き受けいただき、毎年一回施設長並びに職員研修会を開催しておりました。研修会の内容は、講演が3題、研修会参加施設の職員による交流会、施設見学というものでした。この研修会に参加しますと、研修会開催地の歴史や風景や風や香りなどに触れることができること、その土地の名物を味わうことができること、3人の講師の講演により考え方や視野が広められること、他の施設の職員と対面で交流できること、それに当番施設の文化や特色に触れるという思い出を作ることができたのです。北は東北から南は九州までの入所施設をお訪ねして、映画ドラマのような思い出を作らせていただいております。
 この研修会を続けていきたいと思っておりましたが、新型コロナウイルスが全国的に蔓延しており、これまでのような研修会の開催は困難となってしまいました。それから、最近は諸事情で施設の経営が悪化しているため遠隔地で開催される研修会に職員を派遣するのは厳しい状況になっています。
 そのような理由から、「部会通信による職員研修」というものをスタートさせたような次第です。部会通信による研修内容や情報交換等が会員施設の繁栄にいささかなりとも貢献できればと願っております。生活施設部会通信の誌面を充実させることにつき、関係者のご理解とご協力をお願いいたします。

    日盲社協社内検定試験(点字技能師)募集要項
 第22回点字技能検定試験の受験者を募集いたします。
 一昨年は中止、昨年は試験会場が全国2か所。社内検定試験もこの2年間、なかなか難しい状況に置かれていました。受験者数はここ数年80人前後で推移していましたが、昨年は53人と大きく落ち込みました。外出に対する不安。試験会場から遠方にお住まいの方にとっては、移動や宿泊、そして食事に対しての不安から、受験を控えられた方も少なからずいらっしゃったと思います。
 本年についても、新型コロナに対する心配がまったくなくなった訳ではありませんが、感染防止の手立てを講じることで、全国3か所での実施にこぎつけることができました。
 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、2025年には点字考案200年を迎えます。すでに今年3月にはシンポジウムの開催もありましたし、今後も点字関連のイベントは開催されるでしょう。ただ、文化としての点字を支えていくには、質の高い点字を支えていく人材が重要になります。そのためにも、社内検定試験を広く世間にも広め、ご理解いただくことが必要です。
 以下に、今年度の開催要領を掲載いたします。

1.試験日 2022年11月13日(日)
2.時間 9時30分~16時00分
3.試験会場
 東京会場 戸山サンライズ(予定)
 大阪会場 玉水記念館(予定)
 福岡会場 クローバープラザ(予定)
4.申込期限
 2022年9月12日(月)必着(郵送に限る)
5.試験科目
 学科試験と実技試験の2科目。いずれかに合格した方は、次回の検定試験の際に一部試験免除となります。
6.受験資格
 点字経験3年以上(自己申告。詳しくは、事務局にお問い合わせください。)
7.受験料 15,000円。
 一部試験免除の方は、7,500円。(第19回~第21回の一部合格者)
8.問い合わせ他
 日盲社協のホームページに募集要項、申込手続・記入方法等が詳しく掲載されています。
 TEL:03-6240-1858
 URL http://www.ncawb.org/
 Email nichimou.su@feel.ocn.ne.jp
(担当:日盲社協社内検定試験事務局安田孔二(ヨシツグ))

    情報化対応支援者研修会――第12回情報機器コース――
    日本ライトハウス情報文化センター 松本一寛
 日盲社協情報サービス部会は、令和3年11月17日から3日間、Zoomを活用したオンラインで、標記研修会を受講者37人(26団体)で実施した。

    1日目(11月17日)
 講義1は、松本一寛(筆者)による「パソコンの基礎 PC-Talker編」
 情報機器を利用する視覚障害者を支援する初心者が主な対象だが、「Windows 11」リリースから1か月後の講習だったので、スクリーンリーダー「PC-Talker Neo」の検証に時間が取れずしっかりと説明できなかった。しかし、視覚障害者がパソコンを利用するための基本的な概要は網羅した。
 講義2は、松本一寛による「iPhoneの基礎 VoiceOver編」
 視覚障害者の情報機器のトレンドとしてこれまでiPhoneを取り上げてきたが、今回は支援者講習会のベーシックテーマとして取り上げた。これまでの的を絞った講習ではなく、iPhoneを主としたテーマとしたため、設定から操作・アプリとすべてを網羅する内容を組み立てた。

    2日目(11月18日)
 講義3は、品川博之と松本一寛による「アンドロイドスマホとiPhone徹底比較!」
 今回は、Androidを軸にiPhoneと設定・操作・機能などを比較した。Androidも2020年提供開始のOS11からトークバックのマルチフィンガージェスチャーが使える機種であれば、従来よりも多くのことができることを理解できる内容だった。だがiPhoneと比較すると文字入力など使い勝手が難しい部分もあるが、Androidユーザーで見えにくくなった利用者のサポートなどに活用できる講義だった。
 講義4は、別府あかね(医療法人旦龍会町田病院)、阪井紀夫(徳島県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター)、竹田幸代(日本ライトハウス情報文化センター)による「くらし彩るロービジョンICTケア入門」
 これまでの本講習では、ロービジョン向けの機器や設定などの講義を行ってきた。しかし昨年度はロービジョン向けの支援を目的とした講義を組み込めなかったので、今回は、ICTを活用したロービジョン向けのテーマを取り入れた。講義は、ロービジョン支援の心構えやポイントなどの概要に加えてロービジョン向けのパソコンやスマートホンの設定といった技術的内容、実際のサポート事例などを紹介した。また、今年度もZoomを使ったオンライン形式の講習会となったが、参加者同士の情報・意見交換ができる場所を作るためにブレイクアウトルームを活用し、講義内容について整理したり情報交換・交流ができ有意義だった。情報機器の利用支援講習であっても、情報機器以外の部分にも着目して、組み合わせて考えることも重要だと思われた。

    3日目(11月19日)
 講義5は、清水重人(日本点字図書館)による「視覚障害者の読書環境」
 視覚障害者の読書というと真っ先にサピエを思い浮かべるが、それ以外にも視覚障害者が読書をするには拡大読書器、音声読書器を使用する方法やiPhoneやAndroid端末にKindleアプリをインストールして電子書籍を合成音声で聴いたり、拡大表示させる方法もある。今年に入ってポニーキャニオンがサービスを開始したYourEyesが注目されていたこともあり、今講義は視覚障害者の読書環境について広範囲に紹介した。画面共有を活用しながら実際のアプリの画面や音声ガイドの様子を確認できるようにするなど工夫した内容だった。
 講義6は、山村友梨子(視覚障害者生活情報センターぎふ)を司会に「情報交換会」
 昨年度の情報交換会は参加者の自己紹介でほぼ終えてしまったので、今回はブレイクアウトルームでグループに分かれて3日間の講習会の感想や質問などを話し合った。実行委員や講師もいくつかのルームに入って参加者の様子を見て回った。参加者同士の情報交換が限られた人としかできない状況ではあったが、3日間の講義を振り返ることができたことはよかったのではないだろうか。また、各施設や地域の状況を情報交換できたことも参考になった。

    まとめ
 コロナ禍でもあり、今年度もオンラインでの講義となった。講習をより円滑に進めるために講師、スタッフだけでも集合できるようにと思ったが、各施設からの参加となった。昨年度の反省をもとに、講義間の休憩時のスタッフ打ち合わせや連絡などは、極力参加者に聞こえないようにし、参加者が講習に集中できるように取り組んだ。
 全体を通して、動的講義にすることを目指し、昨年に比べると受講生参加型講習にできたと思う。また、情報機器コースであっても、技術面だけでなく医療的知識や心理的側面のサポートの大切さを含めて講義を通して伝えることができた。
 いずれはリアル開催に戻したい講習会だが、参加者のアンケートを読むとオンラインを継続してほしいという声も一定数寄せられている。情報機器は、実機を触って理解を深めるという良さを売りにしていた部分が強かったが、リアル開催だと必要経費の関係で参加が難しい場合も考慮して、オンライン開催も引き続き検討していく必要を感じた。
 評価の高かった、ブレイクアウトルームを活用しての講義には、テーマが違う場合でも引き続き取り入れていきたい。また、初心者をメインターゲットとした講義にしては難しい内容も多かったという意見もあり、今後の講習会に向けて、より綿密な講習内容・形式を検討していかなければならないと思った。

    令和3年度情報化対応支援者研修会―― 相談支援コース・基礎 ――
    堺市立健康福祉プラザ視覚聴覚障害者センター 原田敦史
 日盲社協情報サービス部会(岡本博美部会長)は、年に一度、初心者または基礎を学びなおしたい方向けに「相談支援コース・基礎」研修会を開催している。今回で5回目となった。前年度は新型コロナ感染症の影響で開催時期を延期するということがあり、今年度は感染状況に関わらず、当初からオンラインでの開催を予定していた。これは前年度のオンライン開催の感想に参加しやすかったという声が多かったことも後押しになった。
 令和3年度は、令和4年1月13日(木)・
14日(金)に、令和3 年度情報化対応支援者研修会「相談支援コース・基礎」のタイトルで、Zoom によるオンライン研修会として開催した。

    1日目(1月13日)
 講義 1 は、仲泊聡(ネクストビジョン)による「視覚障害とは 眼疾患(最新の研究、治療)・身体障害者手帳について」
 講義 2 は、堀内恭子(日本ライトハウス)による「視覚障害リハビリテーションとは 視覚障害者リハビリテーションの歴史と必要性」
 講義3は、原田美貴(日本ライトハウス情報文化センター)による「視覚障害者が利用できるサービス 補装具・日常生活用具の申請、その他のグッズ」
 講義 4 は、住吉葉月(神戸アイライト協会)による「視覚障害者によくある困りごととその解決法 見え方・疾患での異なる問題点」

    2日目(1月14日)
 講義5は、田中桂子(神戸アイセンター病院)による「相談の基本技術 インテークの重要性、傾聴・時間管理、電話での相談」
 講義6は、原田敦史(筆者)による「ワークショップ」
 講義7は、原田敦史による「理解度確認」
 オンラインにしたことで参加者が増えると予想し、講師とも調整し定員を5人増やしたが、申込が多く最終的には定員30人で対応することになった。それでもまだお断りをする人が出た。今回は特に視覚障害当事者の参加が5回の内では最も多く、10人の参加があった。5回目ということでだいぶ研修が浸透してきた印象を受けている。業界の支援者の質の向上のためにも今後も工夫をしながら開催する予定である。

    令和3年度情報化対応支援者研修会―― 相談支援コース・応用 ――
    東京ヘレン・ケラー協会点字図書館 小倉芳枝
 日盲社協情報サービス部会は2月24日(木)・25日(金)、4回目となる標記研修会を開催した。Zoomを活用したオンラインでの実施で、定員(25人)を上回る受講希望があり、33人にご参加いただいた。

    1日目(2月24日)
 講義1は、清水智子(日本視覚障害者団体連合)による「相談者の身の守り方 セルフケアについて 支援者の健康管理」
 講義2は、白潟仁(システムギアビジョン)による「最新機器、最新情報提供(拡大機器を中心に)」
 講義3は、道面由利香(横浜訓盲院生活訓練センター)による「相談者が求めること ニーズの把握を事例報告から」
 講義4は、荒川和子(NPO法人目と心の健康相談室)による「記録の取り方、まとめ方 基本情報の収集と記載方法」

    2日目(2月25日)
 講義5は、原田敦史による「演習1 聞き上手になるための実践演習」
 講義6は、金井政紀(日本盲導犬協会)による「盲導犬について 申請方法、取得基準等について」
 講義7は、中津大介(東京視覚障害者生活支援センター)による「演習2 実践演習 ケースの情報をもとに演習を実施」
 講義8は、小倉芳枝(筆者)による「理解度確認・意見交換・修了式」

    まとめ
 北海道から沖縄まで全国から参加があり、「オンライン開催となったおかげで参加できた」という声も多く聞かれた。
 参加者の職種は情報提供施設や障害者支援施設の職員、支援団体の相談員、盲学校教員、眼科医、看護師など。現場で相談支援に関わっている方、相談という形ではないが話を聞く場面があるという方など、様様であった。
 オンライン開催だが複数の演習が設定されたこともあり、参加者からは「グループで話し合ったり、一人ずつ全員の声を聴ける時間もあり、オンライン研修に対して違和感やわずらわしさは感じなかった」「オンラインでも想像以上に集中して参加できた」等の感想が挙げられた。
 視覚障害に特化した相談支援の研修は他にないと思われる。今後も、多様な現場の方々の相談支援技術の見直しと学びの場として機能できたらと考えている。

    <訃報>
    元ロゴス点字図書館長橋本宗明氏の帰天
 元ロゴス点字図書館館長の橋本宗明氏が2月18日、東京都中野区の中野共立病院で心不全により90歳で逝去された。葬儀(ミサ)は、2月21日、長年熱心に通っていた東京都練馬区のカトリック徳田教会で執り行われた。
 橋本宗明氏は、1931年7月30日に現在の新宿区で生まれた。1945年の終戦時は旧制中学2年生の14歳で、強度の弱視でしかも眼疾を患っていた。それから2年後に完全失明したので、官立東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)に編入学し、中学3年生の秋に結核に侵され、8 年間の療養生活を余儀なくされた。
 自宅での療養が5年を過ぎ、結核予防法に基づき入所した施設は「ベタニヤの家」というカトリック系の療養所だった。そこでキリスト教と出会い「祈り」の生活が始まった。そして抗生物質を打つことで結核を完治させベタニヤの家を退所した。
 彼は、東京盲学校から国立東京教育大学附属盲学校へと改称していた母校に復学するつもりでいたが、年齢制限の厚い壁により復学はかなわず、都立文京盲学校の高等部1年に入学した。
 そこで彼は11歳下の同級生たちに囲まれる。旧制中学2年まで外の空気を吸ってきたこと、その後8年間の結核療養中に考え続け、理論武装していたことにより、彼は同級生たちに強い影響力を及ぼす。
 高等部3年生で彼はあマ指師の資格を取り、文京盲学校専攻科理療科に進み針・灸の資格を取得。1年間の修行ののち、自宅を増築して、あん摩針灸治療院を開業した。
 1992年、信仰の深さと幅広い経験を買われ、財政破綻寸前のカトリック点字図書館(カト点)の3代目館長に就任した。
 カト点を再建するには、社会福祉法人化して措置施設として公的財政支援を受けることが最も確実であった。しかし、東京都内には当時すでに3カ所に身体障害者福祉法に基づく点字図書館があり、そこに割って入ることは不可能だと言われていた。
 しかし、橋本氏は抜群の記憶力と豊富な知識、人を魅了する弁舌の巧みさと鋭さで、ついに「考える図書館」を掲げて、2001年社会福祉法人の認可を勝ち取る。かくしてカト点は、社会福祉法人ぶどうの木「ロゴス点字図書館」に改称し、彼は継続して館長に就任した。まさに不可能を可能にしたのであった。
 2004年にロゴス点字図書館館長を勇退した橋本宗明氏は、以後は同法人理事として終生関わり続けた。(編集部)

日盲社協事務局だより
1.表彰者・受賞者情報
 日盲社協理事・点字出版部会長 東京点字出版所肥後正幸理事長が、日盲社協中央推薦により、第71回障害者自立更生等厚生労働大臣表彰「身体障害者等社会参加促進功労者」受賞

2.加盟施設変更情報
(1)退会
<情報サービス部会>
 声の奉仕会マリア文庫
(令和4年3月31日付)

 (2)名称変更・住所変更等
<情報サービス部会>
 日本点字技能師協会 令和4年5月移転
新住所 〒160-0022新宿区新宿7-12-1新宿平和ビル1階  新FAX:03-6856-2861
電話番号とE-mailは変更なし
ホームページ http://nittenkyo.her.jp

<盲人用具部会>
 株式会社実業エージェンシー
(2021年4月1日本社事務所移転)
 本社新住所:〒601-8469京都市南区唐橋平垣町47番地1
 新TEL:(075)662-7133
 新FAX:(075)662-7166
 東京営業所:〒169-0075東京都新宿区高田馬場1-31-8 高田馬場ダイカンプラザ1006号室  TEL:(03)5287-5763 FAX:(03)6228-0226

 (4)施設長等変更
<点字出版部会>
 日本ライトハウス点字情報技術センター 新所長金子研一
 福井哲也前所長は情報技術顧問に(令和4年4月1日付)

<情報サービス部会>
 神戸市立点字図書館 新館長今枝正臣(令和4年4月1日付)
 日本点字図書館 新館長立花明彦、長岡英司前館長は理事長に(令和4年4月1日付)
 島根ライトハウスライブラリー
 新施設長金山和佳

<自立支援施設部会>
 障害者支援施設洛西寮 施設長田伏久士(令和4年4月1日付)
 以上、敬称略

    事務局からのお願い
 日盲社協ホームページの「部会別ページ」には、全会員施設の法人名、施設名、住所・電話番号・FAX番号・E-mailアドレス、およびホームページを持つ施設にはそのリンクを掲載しています。
 また、小誌では上記に加え、施設長の変更も紹介しております。そこで変更がありましたら、その都度、日盲社協事務局(nichimou.su@feel.ocn.ne.jp)までお知らせください。

    編集後記
 小誌は従来4月と11月の年2回発行してきました。そして全国盲人福祉施設大会は従来6月に対面で実施してきました。しかし、コロナ禍のため2020年の全国大会は中止となり、昨年(2021)は11月11日にオンラインを中心に、一部役員が配信会場で参加するハイブリッド方式で行われました。このため従来11月に発行していた号を昨年は12月に発行し、本号は7月の発行となりました。ご了承ください。
 本年3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が、わが国の国会でオンライン演説を行いました。その中で「私が大統領に就任して半年がたったころ、妻のオレナが目の不自由な子どものためにオーディオブックを作るプロジェクトに参加しました。このとき彼女がウクライナ語で音声を吹き込んだのが、日本のおとぎ話だったのです」というエピソードを紹介し、話題になりました。
 そのおとぎ話は「桃太郎」と「二ひきの蛙」ですが、後者は、幕末の心学者柴田鳩翁が書いた人の道を説く道話(モラルストーリー)「京の蛙と大阪の蛙」を翻案改題して民話にしたものです。
 原本は、「花の都と音には聞けど、大阪に少しもちがわぬ、さらばわれらも帰るべし」という講談調なので大人向けです。
 柴田鳩翁は1783年、京都の裕福な商家に生まれますが、一家は1788年の天明の大火に遭遇して没落し、11歳の時に京都の呉服店に奉公に出ます。幼い頃からたいそう読書を好み、奉公の合間にも貪るように読んで、長じて京都で講談師として活躍します。以後も読書に励み、江戸中期の思想家石田梅岩を開祖とする平易で実践的な道徳の教えである石門心学(心学)に出会い熱心に修行を積み、ついには講談家業を畳んで、道話を講ずるようになります。
 そして講談師の経歴を生かし、面白おかしく卑近な出来事の例を紹介しながら、心学が教える人の道を説き近畿地方を中心に各地を巡講し、心学講話の第一人者となりました。
 1827年、44歳のときに彼は全盲になったので、それを機に剃髪し、号を鳩翁と改めますが、その後も京都を拠点としつつ各地への巡回講話を続け、それを子息が筆記し、1835年以降『鳩翁道話』『続鳩翁道話』『続々鳩翁道話』として出版しました。
 聴衆は町人や農民から武士や公家などへと広がり、皇室とゆかりの深い仁和寺門跡や京都所司代、京都東町奉行、大坂西町奉行らからもしばしば招かれ進講します。また近畿各地を巡回した際もその地の藩主・家老などから請われて講話を行っています。1839年4月の石田梅岩百年祭の際も、鳩翁が道話を行いましたが、それが最後の講話となり、翌月57歳で逝去しました。(福山博)

    情報提供のお願い
 本誌に対する情報提供・要望・苦情・意見・感想は、日盲社協広報委員長福山博宛、メール(fukuyama@thka.jp)等でお送りください。お待ちしております。

 本誌は、教職員共済生活共同組合の助成により作成したものです。

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